ベルギーのボームにあるデ・スコルレ州立公園で2005年から行われている、世界最高峰のダンスミュージック・フェスティバル、Tomorrowland。オリンピックをも上回る世界200か国以上から、二週にわたり40万人を集める、世界最大級で最もインターナショナルなフェスティバルでもあります。全長1kmを超える会場には、ディズニーランドさながらの17のステージがあり、アンダーグラウンド・テクノからEDMにいたるまで、あらゆる種類のダンスミュージックが楽しめます。ほかのダンスフェスとは異なり、チケットが瞬殺で売り切れてしまうため、行きたくても行けない人が多いのも事実。そんなTomorrowlandの1週目、7/19-21に潜入してきました。
今年15周年を記念してのテーマは、Tomorrowland史上最も好評だったとされる“The Book Of Wisdom”(2012)の再来ということで、“The Book Of Wisdom – The Return”。といっても、メインステージのデコレーションには、2012年の素材はまったく使用せず、そのデザインをベースに、この15周年のテーマも織り込んで再構築していました。ステージ上を蒸気機関車が走ったり、本のタイトルの中に“In Memory Of Tim Bergling – Forever”があったのも印象的。
Tomorrowland 2019 WEEK1 DAY1 7/19
14:50にまずチェックしたのはハード・テクノ・シーンで注目の女性DJ、Amelie Lens。メインステージでCarl Coxの後に登場しましたが、終始一貫したバンギンなサウンドで、開演に湧くクラウドを盛り上げていました。
メインステージで16:50からプレイしたのは、元NBAのスーパースター、シャキール・オニール。MCを従えて、US BASSを中心にDJ DIESEL名義でのプレイでした。ノーヘッドフォンで、機材を神経質そうにチェックしながら、ときおり自身もMCを入れるスタイル。自分のセットが終わった後は、ほかのDJのセットでモッシュを楽しんだとのこと。
その後は、OFF-WHITEのCEO、Louis VuittonメンズのアートディレクターとしてもおなじみVIRGIL ABLOHを見に、森の中にあるCOREステージに移動。彼は、スウェーデンでの暴行事件で拘留され、出演キャンセルになってしまったA$AP ROCKYと、Swedish House Mafiaのコラボ新曲もかけていました。
続いてCamelPhatをチェックしに、屋内のFREEDOMステージへ。代表曲「Cola」からテックハウスのイメージが強い彼らですが、かなりプログッシヴ寄りのセットに変遷してきているのがわかりました。
1kmほど歩いて、反対側にあるメインに戻ると、Don Diabloがプレイ中。最先端のフューチャー・ハウスと、ソフトなMCはさすがで、会場はウォームなバイブスに包まれていました。
メインステージには、続いてSteve Aokiが登場。しっかりケーキを投げまくってくれました。それにしても、この国旗の数! ブースには、プレイを終えたばかりのDon Diabloが戻ってくる一幕も。
23時、おそらく今年のTomorrowlandで最大の注目を集めているEric Prydzのステージへ移動。彼は、自身の最新オーディオビジュアルセット“EPIC 6.0 Holosphere”を初公開。映像球体の中に入ってのプレイで、満員のFREEDOMステージを驚かせていました。
トリの時間帯には、Martin GarrixとThwe Chainsmokersが重なるという非常事態が発生。まずMartin Garrixを見に行くも、メイン横のLOTUSステージは超満員で、どうやっても前には行けず、かといって奥からではほとんど何も見えず、という状態だったので、すぐにあきらめてThe Chainsmokersへ。彼らは生ドラムを持ち込み、DrewはDJしつつ歌も歌うという半ライブセットで、こちらも超満員の観衆を満足させてくれました。
Tomorrowland 2019 WEEK1 DAY2 7/20
昼過ぎにちょっと雨が降るも、その後は快晴になったこの日、メインステージではTomorrowland看板DJの一人、Yves Vがヒット曲を巧みに取り入れたEDMセットを聞かせてくれました。
その後 、LOTUSステージでは、こちらもTomorrowlandファミリーのLost Frequenciesが、珍しいライヴセットを披露。ヴォーカリストがいて、ヒット曲があるとライブも盛り上がります。Lost Frequenciesは、Spotify世代のヒーローですね。
テックハウスがどうなっているかも気になりだしたので、ここでCOREステージへ移動して、Claude VonStrokeとSolardoをチェック。集客はそんなでもなかったものの、パーティ上級者とおぼしき音楽好き集団のバイブスは心地よかったです。
とはいえ、メインステージでDimitri Vegas & Like Mikeがプレイしている時間だったので、長居もできず、メインへ移動。DVLMは、やっぱりTomorrowlandのメインアクトでした。大観衆をコントロールさせたら、彼らの右に出るDJはいないでしょう。これぞビッグパーティな雰囲気でしたね。EDMは、ダンスミュージック初心者の入り口として、やはり最高です。
メインの大トリはDJ Snakeでしたが、なんとなく日本でいつでも見れるイメージなので、あえて無視してThe Garden of MadnessステージのNetskyをのぞいてみると、これが超満員。地元ベルギーの底力を見せつけてくれました。このあとのAlison Wonderlandに代わったところで、みんなSnakeのほうへ民族大移動しだしたあたりに、お客さんはしっかりスケジュール組んで見てるんだなということを再確認。
この日の締めに選んだのはNina Kravitz。終盤のサブステージは、なかなか集客厳しいんですが、それなりに入っていて、テクノの好調ぶりを確認できました。音はめちゃハードでしたね。この日は、新世代のAFTERLIFEレーベル・ステージも大人気でした。
Tomorrowland 2019 WEEK1 DAY3 7/21
この日まず向かったのは、Paris HiltonのプレイするSMASH THE HOUSEステージ。Tomorrowlandに彼女が出るのには賛否両論あると思いますが、まあお祭りなんでネタとして、という感じでしょうか。オールミックスDJみたいに、古いEDMヒットを連続でかけるのを数曲聞いたところで、この日の目玉、オーケストラの時間になったので、走って移動。
3分遅れで会場に到着すると、60人編成のオーケストラ“SYMPHONY OF UNITY”が、ちょうど演奏を始めるところでした。指揮は、その筋では有名なDirk Brosse。Paul Van Dyk 「For An Angel」からFisher「Losing It」にいたるまで、新旧のダンスアンセムをクラシック・アレンジで演奏するこの15周年特別企画は、パーティ一辺倒ではない、Tomorrowlandらしさあふれるものでした。
19:00からはFisherを1時間半堪能。「Losing It」で、EDMファンにも知られるようになった彼ですが、淡々としたベースヘヴィーなセットは、まさにテックハウスでしたね。二週目にはメインステージでのプレイが予定されているとあって、もちろんフロアはいっぱいでした。
その後、Purple Disco Machineが名前通りDiscoなのを確認しつつ、Charlotte de Witteを見に行くと、なんと巨大テントから人があふれていて中に入れない。ハードテクノの女性DJたちは、人気急上昇中ですが、ここまでとは思いませんでした。ヨーロッパのテクノシーンには長い歴史がありますが、それを強く感じさせる出来事でした。
入れないのではしょうがないので、DVLMのSMASH THE HOUSEステージに戻ると、ステージ上には彼ら以外にもたくさんの人が笑。鎧を身に着けたエレクトリックダンサーからParis Hiltonまで、バカバカしくも楽しい面々がステージを盛り上げていました。終盤にはSMASH THE HOUSEファミリー全員参加でのLEFT-RIGHTまでアリ。
フェスティバルの締めは、メインステージでの3 Are Legend。DVLMとSteve Aokiからなるユニットです。ここ数年のTomorrowlandアンセム、EDMバンガーはもちろん、Aviciiへのトリビュート、Daft Punkまで交えて、超満員のメインステージのエネルギーを最高潮に持っていっていました。Timmy Trumpet、Lost Frequencies、Afrojack、NERVOも乱入してのステージは15周年の締めにふさわしいものでした。
Tomorrowland 2019 まとめ
見たいDJがかぶりまくりのTomorrowland、そこにはEric Prydzの素晴らしいオーディオビジュアル、人気急上昇中のハードテクノから、ハウス、トランス、ベースミュージック、ハードスタイル、はてはDVLMのスーパー・ビッグルームEDMまで、あらゆるダンスミュージックが集結していました。コアなダンスミュージック・ファンからフェス・アニマルまで、いつにも増して誰もが大満足の巨大フェスティバルだったと思います。
この続きは、17ステージの様子、参加者、会場の雰囲気などをお伝えするTomorrowland特集で!
Photos : ©Tomorrowland / George Kazakov