Spinnin’ Records Asia初の日本人アーティストとして、2020年に「Antidote」、「Silent All These Years」の二曲を送り出してきたKen Takano。ティエスト、ロスト・フリクエンシーズなど海外のトップDJ達からサポートされてきたダンスミュージック・シーンの実力派であり、と同時にポップスのプロデューサーとしてオリコンヒットも放ってきた多彩なアーティストです。
そんなKen Takanoが、クラシックの名曲「Adagio For Strings」を大胆にリメイク&アレンジし、Spinnin’ Records Asiaからの第三弾シングルとしてリリースしました。クラシックとエレクトロニック・ミュージックの要素を融合させたそのサウンドは、現在ストリーミング・シーンを中心に世界を席巻しているダンス・クロスオーバーに新境地を切り開くもの。常に進化を続けるKen Takanoに話を聞きました。
Ken Takano – Agnus Dei (Adagio For Strings) インタビュー
__「Agnus Dei (Adagio For Strings)」は、約1年ぶりの新作となりますね。今回のリリースに至った経緯を教えてください。
前作から方向性をフューチャー・ハウスからダンス・ポップにシフトして、Spinnin’ Recordsブランドでリリースされるダンスミュージックと、僕のイメージするポップスの接点を探りながら、いろいろ曲を作ってきました。その中で、「Adagio For Strings」はポピュラーなクラシック・メロディーであり、ダンスミュージックとしても多くカバーされているので、ボーカル・バージョンを作ればバランスの良いダンス・ポップになるのでは…というアイディアが生まれました。Spinnin’ RecordsのA&Rにもそのアイディアを気に入ってもらえたようでリリース契約に至りました。
__Spinnin’ Records Asiaからの第三弾リリースということで、制作していく中で何か意識したことはありましたか?
自分のサウンドとトレンドのサウンドを融合させることを意識して作りました。Spinnin’ Records Asiaは自由なレーベルカラーなので、細かいカテゴライズに拘らずに、あくまで「ポップス」という枠組みで自由にできたように思います。
__「Adagio For Strings」を題材にしようと思ったのはなぜですか?
「Adagio For Strings」を初めて聴いたのは、高校生の時に観た「プラトーン」という映画の中でだったのですが、「なんて綺麗な曲なんだろう!」と衝撃を受けたのを覚えています。初めて好きになったクラシック曲なので、ずっと心の片隅にあったのだと思います。「どんなカバー曲を作ろう?」と考えたとき、自然と頭に浮かんできました。
__「Agnus Dei (Adagio For Strings)」は、どのようなイメージ、コンセプトの楽曲ですか?タイトルや歌詞についても教えてください。
目指したのは、原曲の持つ弦楽曲の美しさを踏襲したダンス・ポップ、トレンディなハウス・ミュージックですね。「Adagio For Strings」には「Agnus Dei」という声楽曲バージョンもあります。「Agnus Dei」とは「神の子羊」という意味で、賛歌や合唱曲として数多く歌われてきたテーマです。【祈り】は【信じる】ということ。何か一つ、希望の光に導かれてコロナ禍を乗り越え歩んでく…そんなイメージで自分なりの歌詞を書いてみました。
__英語詞の作詞は難しくありませんでしたか?
難しいですね(笑)。毎回チャレンジです。ネイティブでは無いからこそ書ける歌詞…シンプルだけど確信を突く言葉(深みのある言葉)を心がけるようにしています。
__音づくりやプロダクション面で、今回特にこだわった部分、重視したことがありましたら教えてください。
去年くらいまでのトレンドであったスラップ・ハウスの流れを受けて、ストリーミングで心地よいサウンドを心がけました。重視したことは、派手過ぎず、古く聴こえないようにバランスをとることでした。
__「Agnus Dei (Adagio For Strings)」の制作にはどのくらい時間がかかりましたか?
延で3ヶ月くらいでしょうか。歌詞は割とすぐ完成して、ボーカル録音、アレンジメント、ミックスと作業を進めて、最終的にベースのサウンドを決定するのに一番時間をかけました。一月半くらいだったでしょうか。
__「Agnus Dei (Adagio For Strings)」を歌っているボーカリストは、どんな人ですか?どうやってつながりましたか?
海外のミュージシャン求人サイトで見つけたボーカリストで、イギリス在住のクラシックシンガーです。オペラ風かつポップス的な発声もできる人を探していたので、彼女の歌声はぴったりハマりました。
__最近の音楽シーンをどのようにとらえていますか?今回の新曲制作にあたって刺激になったアーティストがいれば教えてください。
数年前までのEDMブームがなくなり、コロナ禍の影響もあるかと思うのですが、現場でどんどん新しいサウンドを生み出していたダンスミュージック・シーンは小さくなって、今は原点回帰とポップス路線…2つの方向性があるのかなと思います。新しいサウンドよりは懐かしく親しみのあるサウンドの方がトレンドに入りやすいですかね。Lo-Fiブームとピアノ・ハウスもしくはオルガンベース・ハウスは同じ原点回帰と言えると思いますし、テック・ハウスやシンセウェーブも、面白いものはやはり懐かしさが上手くフィーチャーされていると思います。そういった中でJoel Corry、Tiesto、Meduzaといったプロデューサーの作るハウス・ヒット曲は、懐かしさと新しさが上手く融合したプロダクツで、強く影響を受けました。
__今作は、どんな人に聴いてもらいたいですか?
ダンスミュージックを好きな人にはもちろん、クラシックが好きな人にも聴いてもらえて、ふと「あ、知ってる曲だ!」って思ってもらえたら嬉しいですね。歌詞を聴いてもらえて、救済・ヒーリング的なメッセージを感じてもらえたら、さらに嬉しいです。
__今後のリリース予定、活動予定について教えてください。
引き続きSpinnin’ Recordsからリリースしてゆく予定です。多くの人に届くようなダンス・ポップを作れるよう頑張りたいと思います!
【作品情報】
アーティスト:KEN TAKANO
タイトル:Agnus Dei (Adagio For Strings)
レーベル:Spinnin’ Records Asia
フォーマット:デジタル配信
発売日:2020年11月19日
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