Zeddが、アメリカへの難民・移民入国制限に反対するACLU支援のイベントを企画、Skrillexも出演

ドナルド・トランプ米大統領が命令した移民・難民の入国制限に反対するACLU(米国自由人権協会)をサポートするイベントをZeddが企画、4/3にロサンゼルスのStaples Centerで行われることが決定しました。

現時点で出演者にはDaya、Skrillex、Incubus、Zedd、Imagine Dragons、Halsey、Macklemore、Tinasheの名前が上がっています。

Zeddは、このイベントについて、「自分も移民の一人として、正しいと信じることのために立ち上がらなくてはと感じたんだ」とツイートしています。

Ultra Europeが2016年のAftermovieを公開

昨年7/15-17にクロアチアで行われたUltra Europeのアフタームーヴィーが公開されました。
Martin Garrix, Matisse & Sadko – Togetherが映像とぴったりハマっていますね。
Hardwell、David Guetta、deadmau5らトップDJも多数登場します。
素晴らしい景観も見どころです。

The History of EDM – 3 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – UK編

’90年代のUKは、まさに“ダンス・ミュージックの中心地”と言えるほど勢いがありました。
その動向を見ていきましょう。

まず、’80年代末から、UKではハウス、(ブレイクビート・)ハードコア、インディー・ダンスなどがミックスされたレイヴが爆発的に増殖、ダンス・ミュージックのシーンは、瞬く間に巨大化、ポップチャートにもアンダーグラウンド・トラックが大量にチャートインするという現象が起きました。
このシーンから生まれた最大のスターがThe Prodigyです。EDCの創設者Pasquale Rotellaは、こうしたUKのレイヴ・シーンに影響を受けてパーティを始めたと語っています。
The Prodigy – Charly (’91)

このレイヴ・シーンに呼応する形でロック側からもインディー・ダンスの動きがあり、これらの音楽はUKのバレアリック・シーン、マッドチェスター・ムーブメントの中心となりました。
Primal Scream – Loaded (’90)
The Stone Roses – Fools Gold (’89)
Happy Mondays – Step on (’90)

Happy Mondays – Step On (Official Music Video)

その延長線上にあるJunor Boy’s Ownレーベルは、Underworld、The Chemical Brothersを輩出しています。
EDM系のフェスでOasisがかかったりするのには、こんな背景もあるんですね。
Underworld – Born Slippy (Nuxx) (’96)
The Chemical Brothers – Setting Sun (’96)

その流れでFatboy Slimや、ブレイクビーツ&ロックの要素が強いジャンル、Big Beatのブレイクがありました。
Fatboy Slim – Rockafeller Skank (’98)

よりアンダーグラウンドに近いところでは、トリッピーなプログレッシヴ・ハウスが生まれ、Sasha、John Digweedが象徴となりました。
プログレッシヴ・ハウスは、90年代前半と90年代末から’00年代前半にかけての二度ピークがあります。
Bedrock – For What You Dream (’93)
Sasha – Xpander (’99)

またこのシーンからは、ヨーロッパのフェスでヘッドライナー格まで上り詰めたFaithlessが生まれています。
Faithless – Insomnia (’95)

“UK産ハウス”で、そのあと歴史に名を残しているのは、’90年代末~’00年代初頭に、ラテンやフィルター・ハウスをうまく取り入れたBassment Jaxxでした。
Basement Jaxx – Red Alert (’99)

話を’90年代初頭のレイヴに戻しますが、この頃の(ブレイクビート・)ハードコアからは、ジャングル~ドラムンベースが生まれています。
高速のブレイクビーツをリズムにしたこのジャンルは、レゲエのサウンドシステムからの影響も強く、ハウスの四つ打ちのグルーヴ感から離れたUK独自のものとなりました。
Goldie – Inner City Life (’94)

Goldie – Inner City Life (Official Music Video)

ちなみにハードコアからは、ハッピー・ハードコア~ハードスタイルが生まれたほか、ドラムンベース経由で2-ステップ、グライム、そしてダブステップが生まれており、EDMとハードコアの関連性は低くありません。

The History of EDM – 1 (’80年代)~ルーツをたどればシカゴ・ハウス
The History of EDM – 2 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – US編
The History of EDM – 3 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – UK編
The History of EDM – 4 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – ヨーロッパ編
The History of EDM – 5 (’00年代)~エレクトロの台頭
The History of EDM – 6 (’09年~’10年)~EDMの起点
The History of EDM – 7 (’10年代)~ダンスフェスの爆発的人気上昇
The History of EDM – 8 (’10年代)~EDMシーンが巨大化
The History of EDM – 9 ~まとめ

The History of EDM – 2 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – US編

’90年代に入ってからのハウス・ミュージック・シーンは、UKを中心に様々な方向へ大躍進となりました。
一方、ハウス発祥の地はUSでしたが、USではハウス・ミュージックは依然としてアンダーグラウンド発信であり続けました。

そんな中、USから存在感を発揮したのがFrankie Knuckles、David Moralesを中心とするDef Mix Productionsで、ここには日本人のSatoshi Tomiieも参加しました。彼らは美しいピアノとストリングスを武器に、Michael Jackson、Madonna、David Bowie、U2、Mariah Careyといった超大物も含むリミックスを’90年代を通して大量に手掛け、メジャー・シーンからも、なくてはならない存在となります。中でも’90年に発表されたAlison Limerick – Where Love Lies (Classic Mix)は、名曲中の名曲に数えられています。

Alison Limerick – Where Love Lives


Def Mixに迫る勢いだったのは、”Little” Louie VegaとKenny “Dope” Gonzalezからなる、ジャズ、ラテンのテイストを持つ、Master At Workで、こうしたDef MixやMAWのサウンドが’90年代のUSハウスをリードしました。

この時代には、当時世界最高のサウンドシステムを持つと言われていたSound FactoryのJunior Vasquezらのハード・ハウスや、Danny Tenagliaらのトライバル・ハウスも人気を博しました。

The History of EDM – 1 (’80年代)~ルーツをたどればシカゴ・ハウス
The History of EDM – 2 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – US編
The History of EDM – 3 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – UK編
The History of EDM – 4 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – ヨーロッパ編
The History of EDM – 5 (’00年代)~エレクトロの台頭
The History of EDM – 6 (’09年~’10年)~EDMの起点
The History of EDM – 7 (’10年代)~ダンスフェスの爆発的人気上昇
The History of EDM – 8 (’10年代)~EDMシーンが巨大化
The History of EDM – 9 ~まとめ

The History of EDM – 1 (’80年代)~ルーツをたどればシカゴ・ハウス

EDMはいまや世界中でメインのダンス・ミュージックになっていますが、その成り立ちは、ここ日本ではあまり知られていなくて、2010年代に入ってヒップホップ、オープンフォーマットやトップ40系の流れで出てきたという、とんでもない誤解まで見受けられます。

そこでこの「The History of EDM」シリーズでは、DJやプロデューサー、音楽ファンが覚えておきたい、EDMが発生するまでの音楽的流れを、楽曲例を上げながら、できるだけ簡単に時系列でまとめていきたいと思います。
とりあえず大まかな図表は、こちらをご覧ください。

まず、みんなが「EDM」と思っている音楽のほとんどの起源は、さかのぼろうと思えばどこまでもさかのぼれますが、「ハウス・ミュージック」と言い切ってよいでしょう。
逆に言うと、「ハウス・ミュージックが、よりたくさんの人たちに受け入れられるような、ポップな形や、大会場を意識した形に発展したものがEDM」というのが歴史的、音楽的には最も大きな流れなのです。

では、ハウスの起源はどこか、と言う話になりますが、「ハウス」という名前は、’77年に開店した、シカゴのクラブ“Warehouse”からつけられています。
そこで活躍したFrankie Knucklesが、ハウスのパイオニアであり、彼が’80年代中盤にリリースした「Your Love」は初期シカゴ・ハウスの代表曲です。

Your Love

ほぼ同時期にニューヨークで開店したParadise Garageは、ハウス・ミュージックが隆盛となる直前期の伝説的ディスコで、そのレジデントDJ、Larry Levanがプレイしていたサウンドは「ガラージ」と呼ばれ、ソウルフルなガラージ・ハウスの源泉となりました。Larry LevanはFrankie Knucklesの盟友でもあり、ハウス・シーンへ与えた影響も巨大であったと言えるでしょう。

Don't Make Me Wait (Extended Version)

’80年代中盤は、ハウスがアンダーグラウンドから飛躍した時代で、シカゴ・ハウス・シーンからは「ディープ・ハウス」の元祖となるサウンドも生まれました。その代表格がMr.Fingersの「Can You Feel It」(’86)です。

Can You Feel It

ビキビキしたベース・シンセサイザーTB-303の音をフィーチャーしたアシッド・ハウスも、この頃シカゴから生まれています。
代表曲はDJ PierreらによるPhutureの「Acid Trax」(’87)です。

Acid Tracks

シカゴのお隣デトロイトでは、こうしたシカゴ・ハウスの動きに呼応するようにデトロイト・テクノが生まれました。このシーンのパイオニアはJuan Atkins、Derrick May、Kevin Saundersonです。
現在「テクノ」と呼ばれているダンス・ミュージックの多くは、ここにルーツがあります。

Strings of Life

USのアンダーグラウンド・シーン、ゲイカルチャー、サブカルチャーの中から生まれたシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノが世界的に注目を集めるきっかけとなったのは、UKを通してでした。
’87年にはSteve “Silk” Hurleyの「Jack Your Body」が、なんとUKシングル・チャートの1位になっています。
UKでは、この頃から野外レイヴや、イビサ島からのバレアリックの流れ、インディー・ダンスがハウス人気と合流して、’88年の“Second Summer of Love”を起爆点に、巨大なダンス・ムーヴメントが生まれ始めます。

The History of EDM – 1 (’80年代)~ルーツをたどればシカゴ・ハウス
The History of EDM – 2 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – US編
The History of EDM – 3 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – UK編
The History of EDM – 4 (’90年代)~ハウス大躍進の時代 – ヨーロッパ編
The History of EDM – 5 (’00年代)~エレクトロの台頭
The History of EDM – 6 (’09年~’10年)~EDMの起点
The History of EDM – 7 (’10年代)~ダンスフェスの爆発的人気上昇
The History of EDM – 8 (’10年代)~EDMシーンが巨大化
The History of EDM – 9 ~まとめ