Tomorrowland 2015 Report – Part 4

二日目。
Tomorrowlandの二日目は、イベントとしてはメインの日ですが、早い時間は前日飛ばしすぎた人が多すぎて比較的空いています。

というわけで、15:30のOtto Knowsからチェック。雨模様とあって、アリーナ部分がそこそこ埋まるくらいの入りでしたが、Refuneファミリーらしく、自分の曲も含め、スウェディッシュを中心としたプレイが、早い時間にはハマっていました。

続いて登場したDeorroはUSのDJらしく、バウンスを主軸にヒップホップ、はてはレッチリ、ハードスタイルまでを横断するマッシュアップ満載なプレイで、クラウドをジャンプさせていました。Deorroは、昨年からメインステージに登場するようになっています。メインステージでは、今年はあまりバウンスが流れていなかったのと、それ一辺倒ではなかったので新鮮でした。

17:30からは、日本でも人気急上昇中のBlasterjaxx。W&Wと並んでハードキックを前面に押し出してきた兄弟ですが、基本的なグルーヴ感そのままのビッグルーム全開ながらも、よりメロディアスな新曲を多数まじえて新機軸も打ち出していました。エキゾティックなメロディーを多用していたのが印象的でしたね。

昨年はSkrillexやNetskyがメインステージに登場して、幅の広さを出していたTomorrowlandですが、今年のアクセントになっていたのはDillon Francis。100-110BPM前後を混ぜ込んだUSスタイルを披露、アリーナの雰囲気を一変させていました。ヨーロッパでは、この辺のサウンドは耳慣れないとあってか、ちょっと当惑気味の反応だったかも。

ちなみに、この日のEDM系は、Laidback Lukeら人気DJがコミックヒーローのコスプレでプレイするSUPER YOU & MEステージ、HardwellがなんとサブフロアでプレイするRevealedステージなどもあって、激戦というか、EDMファンにはもうどうしようもないかぶり方でした。

Dillon Francisに続いて登場したのはTomorrowlandのレジデントDJで、最多出場回数を誇るYves V。初日に自らのV Sessionsステージでもプレイしていましたが、メインでのプレイはBig Room中心のクイックミックスで、ちゃんとセットを使い分けて、再びアリーナにクラウドを呼び込んでいました。Tomorrowlandのテーマ曲のひとつと言ってもよい「Memories Will Fade」では紙吹雪も舞い、雰囲気は最高潮に。まだリリースされていない、Yves V & Sem Thomasson feat. Ruby Prophet 「On Top Of The World」は、おそらくアフタームーヴィーに使われるんじゃないかな?この曲がかかっているときから、雨上がりの空には虹がかかり、素晴らしいプレゼントとなりました。

Rainbow驚愕の人気だったのはMartin Garrix。メインステージは、始まった時点ですでに上までいっぱいに。オリジナルもふくめて、ほとんどすべてがプリエディットのマッシュアップになっていたのが印象的でした。ブレイクとドロップが違うのは当たり前。やはりEDM DJの基本はオリジナルとマッシュアップだと再確認。ヒット曲が多いのと、若いのに力強いMCが効果的だったこともあって、20:30-21:30というスロットなのに、ハンパない盛り上がりでした。
Garrixトランス勢で唯一ピークタイムにメインステージに立ったのは、今年もArmin Van Buuren。途中、Mr.Probzが登場して大ヒット曲の「Waves」を歌うという場面では、全員が大合唱に。全体を通じて、ほとんどがArmin関連曲ながら、Tomorrowland仕様のセットでしたね。

この日、一番の盛り上がりをつくったのは、やはりTomorrowlandの看板、Dimitri Vegas & Like Mike。あおりの上手さでLike Mikeの右に出る人は現時点でいませんね。様々な大合唱をこれほどのボリュームで聞いたことは、いままでありませんでした。’Make Some Noise!’とか言わなくても勝手に常に歓声が巻き起こっているという、まさにMadness状態。中盤「The Hum」や「Tremor」がかかっているとことか、ものすごい一体感でした。ビッグルームをベースに、息つく暇もないくらい細かくマッシュアップ&エディットされた選曲も、MetallicaとかBob Marleyといった変化球を交えながら、ツボをおさえたものばかり。ブレイクとドロップの落差も、大会場での効果は満点で、もう完璧に別次元のエンターテインメントと化していました。ラストはおそらくこの日のために作られたであろう大ヒット曲「Higher Place」。

このあと、あまりのヒートアップぶりと、フェスでは掟破りのタイムテーブル押しを沈めるためにMCが入るという一幕も。

そしてトリに登場したのは、Axwell Λ Ingrosso。Dimitri Vegas & Like Mikeが矢継ぎ早の展開とあおりで盛り上げたのに対して、こちらはエモーショナルな音楽勝負。デビューアルバムに収録するであろう珠玉のオリジナル曲を中核に、ダンスミュージック、ハウスをベースとしたDJカルチャーの素晴らしさを伝えてくれるセットを見せてくれました。Axwellが最後に言っていましたが、まさに’Music is the beautiful thing.’でした。

Tomorrowland 2015 Report – Part 3

初日、まずはW&Wをチェック。歌ものサンプルや、ハードキックではないビッグルームを大量に取り入れてリニューアルしたセットで、確実にフロアをロック。オリジナルのエディットやマッシュアップを多用する典型的EDMスタイルで、現在トップクラスのスキルを見せつけてくれました。まだリリースされていないJack U「Where Are U Now(W&W Remix)」は、W&Wだけじゃなく、この後かなりのDJがプレイしていましたね。ラストはもちろん最新ヒットの「The One」。

続いてはUltra Japanで初来日も決まっているNicky Romero。Melodic Progressive Houseのキングと化しているNickyは、未発表も含め、自分のレーベルPROTOCOLの曲がほとんどというプレイで、貫禄たっぷりなところを見せてくれました。得意のマッシュアップも交えながら、じわじわアゲていく構成も素晴らしかったです。

そのあとのAlessoは、のっけからMaroon 5とのコラボ曲という、いつもと違った始まり方。その後は、自分のヒット曲でかためた鉄板のセット。自分の曲以外はAxwell Λ Ingrossoのセットと共通項も多く、スウェーデン色全開でした。「Years」はクラシックとして、もはや定着していましたね。

日暮れ時21:30からはDavid Guetta。Tomorrowlandのときは必ずやる演説も含めて、この人がUnity感の演出はやっぱり一番うまいですね。飛び道具は、Glow In The Darkが登場してのGuettaとの新曲披露。これが「幸せなら手をたたこう」という驚愕の展開。この頃には、もうメインステージは上までいっぱいに。このあとAfrojackが登場してGuettaとの新曲を披露するサプライズもあり、締めの「Titanium(Alesso Remix)」では、大合唱が起こり、花火も盛大に打ちあがりました。
DavidGuettaいきなり「Waiting For Love」で始まったAvicii。基本、あまりミックスをしない、相変わらずのプロデューサー・プレイで、2曲目にはもうZac Brown Bandとの新曲を披露。その後も自分関連の曲でクラウドを盛り上げていました。中盤、音を止めてMCをしたのは意外でしたね。そのあと初出の新曲連発で、ニューアルバム『Stories』の雰囲気が見える場面も。3曲目の新曲がかかっているところで、降り続く雨のせいか、音が止まってしまいましたが、ここはある意味初日の音楽的ハイライトのひとつでもありました。
Nightsightそしてトリは、やはりこの人、Steve Aoki。シャンパンをかけまくり、スマホのライトを振らせ、国旗を揚げさせて写真を撮りつつ叫ばせ、エンターテイナーぶりも暖まったところで投下したのは、なんとCelineDionの「My Heart Will Go On(タイタニックのテーマ)」。これには会場全体、唖然としていました。その後もブースに登って手を振らせるわ、合唱の掛け合いはあるわ、もちろんケーキ投げはあるわで、他のDJとは一線を画したパーティ・アニマルぶりは健在でした。

Tomorrowland 2015 Report – Part 2

TML2015Floor72
今年のTomorrowland、ステージの数は17に増えていて、例年通りメインのEDMのみならず、エレクトロニックなダンスミュージック全般がカバーされていました。去年はあったMad Decentステージがなくなり、US勢がちょっと減った印象でしょうか。BARONG Familyステージができて、ジャングル・テラーにスポットがあたっていたので、それで相殺かな?ちなみに地図真ん中にあるのは、湖のようなもので、これが演出に大きな役目を果たしています。

Night12:メインステージ
Stage1111:HardwellのRevealed、Yves VのV Sessionsなどが行われているメイン近くのステージ
DonDiabloStage41:Laidback LukeのSuper You & Me、Carl Cox & Friendsなどが行われているメインから一番遠い人気ステージ
by Philippe Wuyts Photography4:Steve AokiのDim Mak、DVLMのSmash The Houseなどアリのステージ
MazdaJourneyIsland14:今年は小さいながらもMAZDAのステージがありました。残念ながら日本人の出演はなし。中華風?

音楽的には、メインステージで、配信で販売されている曲をクイックミックスでそのままかけている人は一人もいませんでした。これは、EDMシーンでは当然のことなのですが、日本とは大きく状況が違います。メインステージ(というかサブステージでさえそうなのですが)でプレイするには、自分のオリジナル・ヒットが複数ないとお話にならないわけで、そういう意味では各DJは持ち曲をプレイするDJコンサートのようなものをやっていると言ってよいと思います。さらに、このクラスのフェスになると、各DJがプレイする曲の半分くらいは、まだリリースされていない曲だったりします。アジア圏でよく見られる、ドロップをつないでいくスタイルもご法度です。本場ではブレイクとドロップの緩急がないと単調と見られてしまうのです。そういう意味では欧米のEDMシーンはものすごくレベルが高く、DJ的視点で見ると、いつも遠さを感じずにはいられません。DJの方々は、YouTubeでもいいので、各DJのセットをチェックしてみてください。

次の記事からは、三日間のメインステージを、DJ視点でレポートしていきますね。

Tomorrowland 2015 Report – Part 1

DayWithFlagsGood
Tomorrowland。ダンスミュージック界のグラミーと言ってもいいIDMAでBest Music Eventを4年連続受賞している、ダンスミュージック・イベントの最高峰です。2015年には国連の事務総長からメッセージまでもらっています。

‘Yesterday Is History. Today Is A Gift. Tomorrow Is Mystery’を掲げるこのイベント、2005年からベルギーで開催されているのですが、EDMの躍進とともにここ数年で急成長し、昨年は10周年ということで、二週にわたって、オリンピックの参加国数を上回る世界214か国から36万人を集めました。チケットの入手困難ぶりは有名で、通常18万人の枠に250万人が殺到すると言われています。その人気の秘密は、素晴らしいDJのラインナップのみならず、綿密なコンセプト、ストーリーに基づいた巨大な舞台装飾(メインステージには城が建ちます)、演出、会場の雰囲気作りにあると言ってよいでしょう。この日のために、ベルギーの州立公園の中に、ヨーロッパの伝統文化に影響されたアミューズメントパークができて、そこでダンスミュージックの祭典が繰り広げられているというイメージです。世界中のダンスミュージック・ファンが集まっているというのもポイントで、会場内は国旗とフレンドリーさに包まれています。ここまで国際色豊かなダンスイベントは、他にはありません。音も、どうやったらこんなに遠くまで、こんなにいい音が飛ばせるんだろうというほどすごいです。

NightWhole
この巨大イベントにEDM PRESS、取材で行ってきました!7/24金曜日からのイベントに行くことが月曜日に決まるというドタバタぶりでしたが、今回は水曜夜のエールフランスでパリまで行き、そこからTGVでベルギーの首都ブリュッセルに入るというルート。ちなみに普通は、こんな特殊なルートではいきません。ノーマルなのは、ルフトハンザでフランクフルト経由、KLMでアムステルダム経由でしょうか。

さて、Tomorrowlandが行われているボームは、アントワープとブリュッセルの中間にあり、ブリュッセルからは車で30分くらいかかります。Global Journey(ホテルと航空券セット)や旅行会社のツアーじゃない人は、Tomorrowlandのサイトで予約するシャトルバスを使うことになるのですが、人数が多い場合はUberを使う手もありということで、今回はUberを使うことに。

Tomorrowlandの開催時間は12:00-01:00(最終日00:00)ですが、三日フェスなので、フルに楽しむと確実に体力が持ちません。また、会場から帰りのシャトルバス乗り場まではバス移動なので注意が必要です。意味わからないかもしれませんが、バス乗り場までバスに乗っていくのです。この移動がけっこう大変なので、会場隣接のDreamville滞在じゃない方は、各日エンディンングまでは見ないほうが無難です。天候はまったく予測できず、とりあえず雨は降ると思っていたほうがよいので、足元はハイカットの防水スニーカー、ナイロンなど防水素材のパーカーなど持参が無難ですね。今年は異様に寒くて最高気温20度、最低気温12度とかで、長袖Tに秋冬物のジャケットとかでもいいくらいでした。もっとも最高気温30度の年もあったので、ここは悩みの種です。雨も今年は集中豪雨的なのはありませんでしたが、猛烈に降ることがあり、それで全身びしょ濡れになると、帰りにものすごい寒さを味わうことになります。都市型フェスではなく、どっちかと言うとフジロックに近いと思っておいたほうがいいです。とはいえ、ダンスフェスの場合、特に女子はファッションを楽しむ側面もあるので、そこは綿密に計画練りたいですね。客層はEDMがメインということで圧倒的に20代が多いのですが、コンフォートゾーンやVIPエリアには40代くらいまでいて、ヨーロッパにダンスミュージックの文化が根付いていることがよくわかります。ちなみに日没は21:00-22:00くらいで、時間感覚がなくなります。

KingQueen
今年のTomorrowlandですが、テーマは“The Kingdom of Melodia(メロディア王国)”。ちゃんと王様も女王もいて、ヨーロッパ情緒たっぷりでしたよ。メインステージで使われていた、パイオニアCDJ-2000Nexus + DJM-900Nexusまで、カスタムメイドの王国仕様になっていてびっくり。ここまで細部にこだわるのかと思いましたね。そこに、ものすごい数の国旗と人種が入り乱れていて、「これは世界最大の国際交流イベントのひとつだな」とも思いました。女子は当然としてw、記者のような男子に話しかけてくる人もけっこういて、毎度のことながらダンスミュージックは世界をつなぐなぁと実感しました。

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Dimitri Vegas & Like Mike ft. Ne-Yo – Higher Place

ベルギーの兄弟EDMデュオ、Dimitri Vegas & Like Mikeが、Ne-Yoをフィーチャーした「Higher Place」のPVを公開しました。「Higher Place (ft. Ne-Yo)」は、Dimitri Vegas & Like Mikeが自身のレーベル、Smash The Houseからリリースしたニュー・シングルです。

この「Higher Place」は、Bassjackers、Regi & Wolfpack、Filterheadz、Angemi、Tujamo、Afrojack、Marcus Schossowらのリミックスも話題になってますね。