Tomorrowland 2015 Report – Part 6

このシリーズ記事ではメインステージを中心にレポートさせてもらいましたが、TomorrowlandはEDMフェスではなく、テクノ、トランス、ハウス、ドラムンベースといったジャンルもサブステージで大々的に展開されている音楽フェスです。今年のヘッドライナーにはベルギー国立オーケストラというものまでありました。
OrchestraOrchestraBW
結婚式を行ったカップルがいたのも、ちょっとした話題でしたね 🙂
Wedding

チケットは入手困難ですが、Global Journeyは、売り出し当日ならまず確保できますし、ほぼ確実にプレミア化していますがviagogo (ビアゴーゴー)でチケットを買う(他での転売入手はTomorrowland本体サイト以外では無効なので注意)という手もあります(ちなみに真っ向勝負で、ネットでチケットだけ買えたという話は、ほとんど聞きません。競争率高すぎ)。Tomorrowlandは、EDMの魅力が最大に味わえるフェスであると同時に、様々なジャンルのダンスミュージックに触れることもできる、現実離れした異空間なので、一生に一度は体験してみることをオススメします。

最後に、2015年のTomorrowlandを象徴する曲を3曲挙げておきたいと思います。

Dimitri Vegas & Like Mike feat. Ne-Yo – Higher Place

Calvin Harris & Disciples – How Deep Is Your Love (Calvin Harris & R3hab Remix)

Major Lazer & DJ Snake – Lean On (feat. MØ)

Tomorrowland 2015 Report – Part 5

三日目。
この日のお目当ては、なんと言ってもSteve Angello。おそらくDJの間では、いま最も支持されているDJ’s DJです。今回メインステージでプレイしたDJの中では最高にアンダーグラウンド&グルーヴィーな選曲で、通なクラウドを楽しませていました。とはいえ、Tomorrowlandということでサプライズも用意されていて、途中Whitney Houston「I Wanna Dance With Somebody」がマッシュアップされましたよ。「EDMはチャラいから嫌い」という人には、一度Angelloのセットを体験してもらいたいです。

続くAfrojackは、前半けっこう四つ打ちではない曲もかけていましたが、後半は、飛ばしまくりで、「覚えてるかい?」とMCを入れて「Give Me Everything」をプレイする一幕も。注目だったのは、Dimitri Vegas & Like Mike「Higher Place(Afrojack Remix)」が初プレイされたことでした。全体に自分関連の曲を軸にしたマッシュアップが多かったですね。

このあとは、現世界No.1 DJのHardwell。ベルギーは、オランダのお隣ということで、ほぼ地元。今年はRevealedステージがあるくらい、Tomorrowlandとは仲良しです。雨の中、安定の力強いマイクパフォーマンスと得意のマッシュアップは変わらぬ爆発力で、余裕たっぷりなプレイでした。エナジーたっぷりのHands Up、Jumpで最高の楽しさを味わいたい人には、やはりHardwellは最高のDJですね。

満を持しての登場はHardwellの師匠とも言える御大Tiesto。Tiestoのセットは、その幅の広さが特徴ですが、前半はメロディアスなビッグルームへの傾倒ぶりがうかがえるプレイでした。セット中盤にはDon Diabloがステージに上がり「Tomorrowlandにいまいるみんなのために曲をつくったよ。「化学反応」っていう曲だ。僕らはみんな同じ人間だ。どこの国から来たとか、黒人だとか白人だとか、ゲイだとかストレートだとか、関係ない。もしダンスミュージック、エレクトロニックミュージックを愛しているなら、すべての国旗を揚げて」とMCして、コラボ曲「Chemicals」を披露するシーンもありました。DiabloはLaidback LukeのSuper You & Meステージでもプレイしていて、今回大活躍でしたね。後半はビッグルームからバウンスまでプレイしてましたが、Dezeko & Torresがセットに3曲も入っていたのは見逃せませんね。お決まりのTiestoトランス・コーナーがなくなっていたのは、時間が1時間だったからかな?

そして大トリはDimitri Vegas & Like Mike + Steve Aokiの3 Are Legends。これは、最後の力を振り絞っての大騒ぎみたいなもので、代表曲、有名曲のマッシュアップ連発。ステージにはNERVOのMimやUmmet Ozcanも登っていました。花火大炸裂。
Rockets
フェスティバルの最後は、ステージに光と鼓動の演出がほどこされる中、子供のバイオリニストが先頭になって、そこからシンフォニーが流れ’Live Today,Love Tomorrow,Unite Forever,Tomorrowland.’の言葉と花火で締め。そしてメロディア王国の王が退席して終了。こうした演出、コンセプトにも、Tomorrowlandが他のダンスフェスと一線を画して王座を守り続けている理由があるなぁと再確認。

Tomorrowland 2015 Report – Part 4

二日目。
Tomorrowlandの二日目は、イベントとしてはメインの日ですが、早い時間は前日飛ばしすぎた人が多すぎて比較的空いています。

というわけで、15:30のOtto Knowsからチェック。雨模様とあって、アリーナ部分がそこそこ埋まるくらいの入りでしたが、Refuneファミリーらしく、自分の曲も含め、スウェディッシュを中心としたプレイが、早い時間にはハマっていました。

続いて登場したDeorroはUSのDJらしく、バウンスを主軸にヒップホップ、はてはレッチリ、ハードスタイルまでを横断するマッシュアップ満載なプレイで、クラウドをジャンプさせていました。Deorroは、昨年からメインステージに登場するようになっています。メインステージでは、今年はあまりバウンスが流れていなかったのと、それ一辺倒ではなかったので新鮮でした。

17:30からは、日本でも人気急上昇中のBlasterjaxx。W&Wと並んでハードキックを前面に押し出してきた兄弟ですが、基本的なグルーヴ感そのままのビッグルーム全開ながらも、よりメロディアスな新曲を多数まじえて新機軸も打ち出していました。エキゾティックなメロディーを多用していたのが印象的でしたね。

昨年はSkrillexやNetskyがメインステージに登場して、幅の広さを出していたTomorrowlandですが、今年のアクセントになっていたのはDillon Francis。100-110BPM前後を混ぜ込んだUSスタイルを披露、アリーナの雰囲気を一変させていました。ヨーロッパでは、この辺のサウンドは耳慣れないとあってか、ちょっと当惑気味の反応だったかも。

ちなみに、この日のEDM系は、Laidback Lukeら人気DJがコミックヒーローのコスプレでプレイするSUPER YOU & MEステージ、HardwellがなんとサブフロアでプレイするRevealedステージなどもあって、激戦というか、EDMファンにはもうどうしようもないかぶり方でした。

Dillon Francisに続いて登場したのはTomorrowlandのレジデントDJで、最多出場回数を誇るYves V。初日に自らのV Sessionsステージでもプレイしていましたが、メインでのプレイはBig Room中心のクイックミックスで、ちゃんとセットを使い分けて、再びアリーナにクラウドを呼び込んでいました。Tomorrowlandのテーマ曲のひとつと言ってもよい「Memories Will Fade」では紙吹雪も舞い、雰囲気は最高潮に。まだリリースされていない、Yves V & Sem Thomasson feat. Ruby Prophet 「On Top Of The World」は、おそらくアフタームーヴィーに使われるんじゃないかな?この曲がかかっているときから、雨上がりの空には虹がかかり、素晴らしいプレゼントとなりました。

Rainbow驚愕の人気だったのはMartin Garrix。メインステージは、始まった時点ですでに上までいっぱいに。オリジナルもふくめて、ほとんどすべてがプリエディットのマッシュアップになっていたのが印象的でした。ブレイクとドロップが違うのは当たり前。やはりEDM DJの基本はオリジナルとマッシュアップだと再確認。ヒット曲が多いのと、若いのに力強いMCが効果的だったこともあって、20:30-21:30というスロットなのに、ハンパない盛り上がりでした。
Garrixトランス勢で唯一ピークタイムにメインステージに立ったのは、今年もArmin Van Buuren。途中、Mr.Probzが登場して大ヒット曲の「Waves」を歌うという場面では、全員が大合唱に。全体を通じて、ほとんどがArmin関連曲ながら、Tomorrowland仕様のセットでしたね。

この日、一番の盛り上がりをつくったのは、やはりTomorrowlandの看板、Dimitri Vegas & Like Mike。あおりの上手さでLike Mikeの右に出る人は現時点でいませんね。様々な大合唱をこれほどのボリュームで聞いたことは、いままでありませんでした。’Make Some Noise!’とか言わなくても勝手に常に歓声が巻き起こっているという、まさにMadness状態。中盤「The Hum」や「Tremor」がかかっているとことか、ものすごい一体感でした。ビッグルームをベースに、息つく暇もないくらい細かくマッシュアップ&エディットされた選曲も、MetallicaとかBob Marleyといった変化球を交えながら、ツボをおさえたものばかり。ブレイクとドロップの落差も、大会場での効果は満点で、もう完璧に別次元のエンターテインメントと化していました。ラストはおそらくこの日のために作られたであろう大ヒット曲「Higher Place」。

このあと、あまりのヒートアップぶりと、フェスでは掟破りのタイムテーブル押しを沈めるためにMCが入るという一幕も。

そしてトリに登場したのは、Axwell Λ Ingrosso。Dimitri Vegas & Like Mikeが矢継ぎ早の展開とあおりで盛り上げたのに対して、こちらはエモーショナルな音楽勝負。デビューアルバムに収録するであろう珠玉のオリジナル曲を中核に、ダンスミュージック、ハウスをベースとしたDJカルチャーの素晴らしさを伝えてくれるセットを見せてくれました。Axwellが最後に言っていましたが、まさに’Music is the beautiful thing.’でした。

Tomorrowland 2015 Report – Part 3

初日、まずはW&Wをチェック。歌ものサンプルや、ハードキックではないビッグルームを大量に取り入れてリニューアルしたセットで、確実にフロアをロック。オリジナルのエディットやマッシュアップを多用する典型的EDMスタイルで、現在トップクラスのスキルを見せつけてくれました。まだリリースされていないJack U「Where Are U Now(W&W Remix)」は、W&Wだけじゃなく、この後かなりのDJがプレイしていましたね。ラストはもちろん最新ヒットの「The One」。

続いてはUltra Japanで初来日も決まっているNicky Romero。Melodic Progressive Houseのキングと化しているNickyは、未発表も含め、自分のレーベルPROTOCOLの曲がほとんどというプレイで、貫禄たっぷりなところを見せてくれました。得意のマッシュアップも交えながら、じわじわアゲていく構成も素晴らしかったです。

そのあとのAlessoは、のっけからMaroon 5とのコラボ曲という、いつもと違った始まり方。その後は、自分のヒット曲でかためた鉄板のセット。自分の曲以外はAxwell Λ Ingrossoのセットと共通項も多く、スウェーデン色全開でした。「Years」はクラシックとして、もはや定着していましたね。

日暮れ時21:30からはDavid Guetta。Tomorrowlandのときは必ずやる演説も含めて、この人がUnity感の演出はやっぱり一番うまいですね。飛び道具は、Glow In The Darkが登場してのGuettaとの新曲披露。これが「幸せなら手をたたこう」という驚愕の展開。この頃には、もうメインステージは上までいっぱいに。このあとAfrojackが登場してGuettaとの新曲を披露するサプライズもあり、締めの「Titanium(Alesso Remix)」では、大合唱が起こり、花火も盛大に打ちあがりました。
DavidGuettaいきなり「Waiting For Love」で始まったAvicii。基本、あまりミックスをしない、相変わらずのプロデューサー・プレイで、2曲目にはもうZac Brown Bandとの新曲を披露。その後も自分関連の曲でクラウドを盛り上げていました。中盤、音を止めてMCをしたのは意外でしたね。そのあと初出の新曲連発で、ニューアルバム『Stories』の雰囲気が見える場面も。3曲目の新曲がかかっているところで、降り続く雨のせいか、音が止まってしまいましたが、ここはある意味初日の音楽的ハイライトのひとつでもありました。
Nightsightそしてトリは、やはりこの人、Steve Aoki。シャンパンをかけまくり、スマホのライトを振らせ、国旗を揚げさせて写真を撮りつつ叫ばせ、エンターテイナーぶりも暖まったところで投下したのは、なんとCelineDionの「My Heart Will Go On(タイタニックのテーマ)」。これには会場全体、唖然としていました。その後もブースに登って手を振らせるわ、合唱の掛け合いはあるわ、もちろんケーキ投げはあるわで、他のDJとは一線を画したパーティ・アニマルぶりは健在でした。

Tomorrowland 2015 Report – Part 2

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今年のTomorrowland、ステージの数は17に増えていて、例年通りメインのEDMのみならず、エレクトロニックなダンスミュージック全般がカバーされていました。去年はあったMad Decentステージがなくなり、US勢がちょっと減った印象でしょうか。BARONG Familyステージができて、ジャングル・テラーにスポットがあたっていたので、それで相殺かな?ちなみに地図真ん中にあるのは、湖のようなもので、これが演出に大きな役目を果たしています。

Night12:メインステージ
Stage1111:HardwellのRevealed、Yves VのV Sessionsなどが行われているメイン近くのステージ
DonDiabloStage41:Laidback LukeのSuper You & Me、Carl Cox & Friendsなどが行われているメインから一番遠い人気ステージ
by Philippe Wuyts Photography4:Steve AokiのDim Mak、DVLMのSmash The Houseなどアリのステージ
MazdaJourneyIsland14:今年は小さいながらもMAZDAのステージがありました。残念ながら日本人の出演はなし。中華風?

音楽的には、メインステージで、配信で販売されている曲をクイックミックスでそのままかけている人は一人もいませんでした。これは、EDMシーンでは当然のことなのですが、日本とは大きく状況が違います。メインステージ(というかサブステージでさえそうなのですが)でプレイするには、自分のオリジナル・ヒットが複数ないとお話にならないわけで、そういう意味では各DJは持ち曲をプレイするDJコンサートのようなものをやっていると言ってよいと思います。さらに、このクラスのフェスになると、各DJがプレイする曲の半分くらいは、まだリリースされていない曲だったりします。アジア圏でよく見られる、ドロップをつないでいくスタイルもご法度です。本場ではブレイクとドロップの緩急がないと単調と見られてしまうのです。そういう意味では欧米のEDMシーンはものすごくレベルが高く、DJ的視点で見ると、いつも遠さを感じずにはいられません。DJの方々は、YouTubeでもいいので、各DJのセットをチェックしてみてください。

次の記事からは、三日間のメインステージを、DJ視点でレポートしていきますね。