EDC創設者Pasquale RotellaとPLUR


こんにちは、Tomo Hirataです。
世界三大ダンスイベントと言えば、Tomorrowland、EDC、Ultraなわけですが、最大なのはEDC Las Vegasです。特にアメリカ国内において、その力は強大です。そのEDCの創設者であるPasquale Rotellaさんは、僕が一番好きなプロモーターの一人でもあります。

彼は、いまでは超大金持ちなわけですが、もともとはイタリア系移民の家庭に生まれた労働者階級で、UKのレイヴに大きな影響を受けて1992年にLAの違法パーティからキャリアをスタートさせています。そこから見ても、彼が現在のアメリカン成金EDMバブルみたいなものに傾倒していないであろうことはあきらかです。逆に、それがEDCを成功に導いたのだと僕は思います。

EDCの「ヘッドライナーはあなただ」というポリシーや、DJをスーパースター扱いせず、アルファベット順に同じ大きさでフライヤーに乗せているあたりに、独自の芯の強さを感じます。なんというか、「おれは金や業界のしがらみだけでは動かないぞ」というイメージですよね。音楽だけではなく、ダンスカルチャー全般への愛からこの仕事をしているんだなという気概を感じます。なんと彼は、あのSFXからのオファーを「Wall Street play」だという理由で断っているんですよ。

実際、Pasquale RotellaはFacebookの投稿で、こんなことを言っています。

「人々が、時たま僕にビジネスに関してのアドバイス、または彼らがどの様にしたら自らの夢や目標を現実化できるかを聞いてくるんだ。
これまで常に僕にとって最適で、一番の方法を彼らに伝えるならこれ。ーー『自分が好きなことをする。』本当にただこれを、ずっとこの20年間毎日ひたすら続けてきたんだ。
ある人は、『今となってはInsomniacは大成功でEDCもとても大きくなっているし、自分が好きなことをするのは楽なことでしょう』と、言うかもしれない。けれど、1992年にまだ150人しか集らなかったマイナーなイベントをしていた頃と正直、想いは全く変わらないんだ。
昔から変わらず、人々が楽しんでいる姿、彼らの笑顔を見るのが大好きなんだ。そして、クリエイティブな環境を人々に提供したり、その計画を立てることが大好きで、これが僕にとってのパッションなんだ。この強い思い入れがなければ、経済的にとても苦しかった時期、失敗を何度も何度も繰り返した時期を通り越すことはできなかっただろう。
もし僕にこの熱意がなければ、もうとっくに全てを諦めていたと思う。
この業界で生きていくのは常に楽なことではないが、簡単に物事が進んで大満足できるというのは極まれなことでしょう。僕は、昔ながらの仕事をハードに一生懸命こなすスタイルのファンで、どんなに目標からかけ離れていても課題をクリアし頑張ることができる。これができるのはママ・イレーナ(注:先ごろお亡くなりになったPasquale Rotellaの母親です)のおかげで彼女に感謝している。
まだまだ話を続けられるけど、ここでクローズさせてもらうね。とにかく、日々、自分が好きなことをしてね。絶対に価値がある人生を築けるはずだから」

さらに、EDMイベントの根底を流れる思想であるPLUR(Peace, Love, Unity & Respect)についても、こんな投稿をしています。

「僕が初めてP.L.U.R.というコンセプトを知って触れることになったのは90年代前半のまだ世間に知られていないようなマイナーな場所でだ。
その頃、集った人々はP.L.U.R.という言葉を口にしたり、それについての話し合いをしたりしていた。また、その言葉がフライヤーの端に書かれているのもたまに目にした。
P.L.U.R.というコンセプトがイベントに参加することに最も価値がある理由とされていた….そしイベントに集った人々はこのコンセプトがイベント内だけでなく、普通の生活やイベント以外の場所でも順応できるように試みていたんだ
これはKandi(ビーズのアクセサリー)、イベントに関する商品など、全て今のシーンが注目される前の話なんだけどね。
プロモーター達はLA(ロサンゼルス)にある倉庫の鍵を壊して中に入って、電球が1個か2個しかないこの倉庫の中で彼らは、自分達の所持金全てを大音量が流せるサウンドシステムに費やしていたんだ。
警備員もいない時もあったけれど、最高なことに、当時は警備員がいなくても平和だった。ドラッグクイーン達やギャングのメンバー達、ゴシック達、ブレイクダンサー達、当時の僕みたいなキッズ達、そして僕の西海岸の友達など、皆が分け隔てなく仲良くできた。喧嘩やドラマなしでパーティーをしていた!
P.L.U.R.というコンセプトが皆をまとめていたんだ。これは本当に事実だ。昔から変わらず今でも僕にとってはとても大切なコンセプトなんだ。
いつからP.L.U.R.が人々の間で、ポピュラーになったというか『クール』な存在になったかは定かではないけれど、彼らは本来の昔のP.L.U.R.の意味が分かってないんだ。だから「PLURRRRR ブラザー」と聞くと、彼らにビッグなハグをするものの笑っちゃうんだ。
PLURが理由で僕はイベントを開催し続けているし、PLUR精神が何回か訪れた僕の人生で大変な時期からも救ってくれたんだ!
もっと後でまだこの話は続けるけれども、今回はP.L.U.R.についての話で終わりにするね… ‪
PEACE(平和):他者と同じ場所で争うことや、ネガティブな影響や態度なしで、皆で仲良く一緒に過ごすこと。
‎LOVE(愛):無条件に皆に愛を与えること、そして人種、性別やそれぞれの信条関係なく友好的なこと。
‎UNITY‬(団結):皆で集り、似たような興味をシェアし、どんな人とでも友達になれて、仲間はずれと感じている人達にも幸せを分け与えることができ、どんな人でも受け入れ、仲良くなれること。
‎RESPECT(尊敬):他者のあなたへの期待は気にせず、ありのままの自分自身でいれること。そして、他者と助け合うことができること。自分の周りの人々に、誇り、勇気を分け与え、自分自身に対してと同じように彼らを敬えること。」

そう、Pasquale Rotellaは、シーンが巨大化して産業化が進み、EDMがVVIPやセレブリティといったイメージと結びついてしまっている今でも、アンダーグラウンドから生まれたPLURの精神を忘れずにEDCを運営しているのです。僕は、Pasquale Rotellaと同じ時代をリアルタイムで体験してきたので、彼が言いたいことには共感しかありません。

表面的なEDMシーンだけを見るのではなく、なぜこの時代にダンスミュージックシーンが史上最大の規模になっているのか、ぜひ考えてみてください。EDMはただの元気なアゲ音楽ではなく、アンダーグラウンドから生まれたダンスカルチャーの一部なのです。

Pasquale Rotella投稿翻訳:Risa Clark

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