Ken Takano、Spinnin’ Records Asia 第二弾インタビュー



2020年1月17日、世界最大のダンス・レーベル“Spinnin’ Records”が送り出す新レーベル“Spinnin’ Records Asia”から、日本人第一号アーティストとして「Ken Takano & Patrick Moreno – Antidote (Feat Nico M)」 をリリースしたKEN TAKANO。ティエスト、ハードウェル、ドン・ディアブロ、オリバー・ヘルデンス、ロスト・フリクエンシーズなど海外のトップDJからサポートされ、代表曲の「Departure」はSpotifyで115万再生を記録している、掛け値なしに日本を代表するダンスミュージック・アーティストです。
そんなKEN TAKANOが、9月18日に“Spinnin’ Records Asia”からの第二弾シングル「Ken Takano – Silent All These Years (feat. Sara Phillips)」をリリースしたということで、新作について語ってもらいました。

Ken Takano – Silent All These Years (feat. Sara Phillips) [Official Music Video]

Ken Takano – Silent All These Years インタビュー

__本年1月17日に、“Spinnin’ Records Asia”初の日本人アーティストとして「Antidote」をリリースしましたが、手ごたえはいかがでしたか?

リスナーの皆さんのリアクションや各SNSのフォロワーも一気に増えて、多くの人に聴いてもらえてるなぁと実感しました。関わってくださるスタッフの数も増えたのでコミュニケーション的にも手ごたえというか「やりがい」のようなものを感じています。

__9月18日には、同レーベルからのセカンド・シングル「Silent All These Years (feat. Sara Phillips)」をリリースしましたが、リリースが決まるまでの経緯を教えてください。

僕は今までずっとフューチャー・ハウスを作ってきましたが、自分のベーシックはトラックメーカーというよりもソングライターであると思っていて、どこかのタイミングでフューチャー・ハウスを離れて、よりストレートな“歌”を作るアーティストにシフトしてゆかなければならないと考えていました。Spinnin’ Recordsと契約したとき「Spinnin’ Recods Asia的に歌モノは大歓迎だ。ディープ・ハウスやダンス・ポップが望ましい。」という話がでたので、「時が来た」と思いました。手始めにカバーを何曲か作って、A&Rに特に気に入ってもらえたのがこの「Silent All These Years」でした。

__「Silent All Years」はトーリ・エイモスのカバーで、その中にはエリック・サティ「ジムノペディ」のモチーフも出てきますよね、このアイデアはどこから生まれてきたのでしょう?

トーリ・エイモスもエリック・サティも大好きで昔よく聴いた曲です。何をカバーするか考えるとき、やっぱり自分の好きな曲を伝えたいという気持ちが基本にありました。90年代の名曲を現代風なダンス・ポップにするという点では、ジョナス・ブルーの「Fast Car」に触発されています。「ジムノペディ」をピーター・ビヨーン・アンド・ジョンの「Young Folks」みたいな口笛で…という以前から温めていたアイディアが今回ハマりました。

__ヴォーカリストのSara Phillipsや、口笛の世界チャンピオンになったことがある分山貴美子が参加していますが、彼らを起用することになった経緯を教えてください

ヴォーカリスト選びは一番慎重に行った作業でした。SoundBetterという、ミュージシャンの求人サイトに掲載されている女性ボーカルのデモを聴きまくって見つけたのがSara Phillipsでした。逆に口笛奏者の方は、“口笛 日本一”で検索したら一発で見つけられてコンタクトできました!日本一どころか世界一でしたけど(笑)。いずれもインターネットの功績による出会いですね。

__音づくりやプロダクション面で、今回特にこだわった部分、重視したことがありましたら教えてください。

曲作りにあたって、まずはフューチャー・ハウスばかり聴いていた自分の音楽に対する感覚を、よりグローバルな感覚にチューニングし直すために、いろんな曲をたくさん聴くことにしました。その中で、自分の好きな曲やカッコいいなと思う曲は、やはりボーカルの声が良いということに気づいたんですが、それが今回の音づくりやプロダクションに大きく影響しています。声が一番重要なサウンドだと注意しながら作るようにして、声と口笛とスラップ・ベース、少ない音数でも成立するようなトラックメイキングを心がけました。全体的な音像としては、ハウスよりもヒップホップ的な、ソリッドでドライな音像を意識しました。Spotifyなどのグローバルチャートを聴いてると、ヒップホップのカッコイイ曲がたくさんあって、ハウスの音圧が暑苦しく感じられてしまう…といった心境の変化があったのですが、そうゆう自分の新しい感覚は素直に信じるようにしました。

__現在ダンス・ポップ/EDMシーンを席巻しているスラップ・ハウスは意識しましたか?

もともとブラジリアンベースが大好きだったんですが、その流れでスラップ・ハウスも大好きですね。自分のお気に入りライブラリーがいっぱいになっています(笑)。自分の好きなサウンドがトレンドになっているというのは嬉しいですね。曲作りも楽しいです。スラップ・ハウスは音像も暑苦しくないので、これも時代の流れなのかなぁ〜と思います。僕の中ではスラップ・ハウスは完全にリスニングミュージックですね。

__制作にはどのくらい時間がかかりましたか?

期間で言うと3〜4ヶ月なんですが、スタジオで制作してる時間よりも、いろんな曲を聴いていた時間の方が長かったと思います。自分の感覚をチューニングし直す作業には、ゆっくり時間をかけた方がよいだろうと思ったので。

__前作がリリースされてから、世界はコロナ禍で大きく変わってしまいましたが、楽曲自体や制作に、その影響はありましたか?

僕はもともと曲作りに専念していてスタジオに篭りっきりだったので、生活や活動スタイルにはほとんど影響がありませんでした。むしろこういった時世が、大きな方向転換を目指す自分の心境とシンクロしたように感じられ、フロア向けのダンスミュージックからリスニング向けのポップスにシフトしてゆく流れが、自分の中でも自然と生まれたように思います。どんな歌を作りたいか…どんな歌を伝えたいか…サウンドメイキングよりもそんなことばかり考えるようになりました。また「自分のやるべきことを頑張る」という気持ちが東日本大震災以来また芽生えたように思います。

__今作は、どんな人に聴いてもらいたいですか?

ハウス好きな人にはもちろん、やはりダンスミュージックに詳しくない人にも聴いてもらいたいですね。そこを目指して作ったので。ガンガン踊れる曲ではないですが、日常の中でBGM的に流せるダンスミュージックとして聴いてもらえたら嬉しいです。

__今後のリリース予定、活動予定について教えてください。

引き続きポップな歌モノを届けられるよう制作を頑張ってゆきたいと思います。オリジナル曲の作詞作曲も始めたので、いつか発表できたら嬉しいです。

【作品情報】
アーティスト:KEN TAKANO
タイトル:Silent All These Years (feat. Sara Phillips)
レーベル:Spinnin’ Records Asia
フォーマット:デジタル配信
発売日:2020年9月18日
配信サイト:
https://Japan.lnk.to/SATYPu

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