世界的音楽ストリーミングサービスSpotifyが、EDMの起源と精神を語る

全世界における音楽ストリーミングサービス最大手のSpotify。日本には上陸していないので、そのパワーにはピンとこない人も多いでしょうが、音楽シーン全体への影響力は、いまやすさまじいものがあります。

そのSpotifyが、なんとアメリカのEDMシーンについてのショートビデオを発表しました。日本では、ほとんどの人が誤解しているEDMの起源、精神がよくわかります。

要約は以下のとおり。
「EDMは、ただのパーティのサウンドトラックではない、コミュニティをひとつにするムーヴメントでもある」
「1977年シカゴで、差別を受けていたブラック・ゲイ・コミュニティが、安全な場所として新しいクラブ“Warehouse”を発見する。中では、Frankie Knucklesがディスコ、ソウル、ユーロシンセをミックスして、新しい音楽を創造していた。それは後に“ハウス”と呼ばれるようになる」
「一方で、デトロイトでは三人のティーンエイジャー(Juan Atkins、Derrick May、Kevin Saunderson)がエキサイティングで新しい何かを発見し、未来のような音をつくっていた。デトロイト・テクノは希望に根ざした音楽であり、暗い現実から抜け出すものでもあった」
「しかし、’90年代中盤になると、それを破壊するような敵が現れる。邪悪なクラブオーナーはダンスカルチャーから搾取し、(アメリカでは)ドラッグ問題が起き、政策はレイヴやミニマルな音楽までも禁止しようとした。それに対抗して、ブルックリンのFrankie BonesとAdam Xは、不朽のコンセプトとして“PLUR”を紹介した。“Peace(平和)、Love(愛)、Unity(団結)、Respect(尊敬)”」
「今日では驚異的なEDMの成長は、差別や(弾圧)政策への抵抗という起源から離れてとらえられているかもしれない。しかし、そのポジティヴィティとコミュニティを中心に保つことによって、次世代のEDMアーティストはPLURの精神を生かしていけるだろう」

つまり、EDMの起源はシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノであり、そこにはPLUR精神があるということですね。
これはEDM PRESSの見方とも一致しています。
日本ではどういうわけか、多くの人に「ただのバカ騒ぎ音楽」、「オールミックス系」と認識されてしまっているEDMですが、まったくそういうものではなく、基本的にはハウス系譜のポジティヴィティを基調とした音楽だということを、Spotifyがクリアにしてくれた一幕でした。
逆に言うと、Spotifyがこのようなビデオを発表するほど、世界的なEDMへの関心は高いということですね。

現在、Spotifyチャートの1位はMajor Lazerの「Cold Water」、3位にはThe Chainsmokers、4位にDJ SNAKE、6位にCalvin Harrisが名を連ねています。

Tomorrowland 2016 Report – Part 6

このシリーズ記事ではメインステージを中心にレポートさせてもらいましたが、TomorrowlandはEDMフェスではなく、テクノ、トランス、ハウス、ドラムンベース、ハードスタイル、ベースミュージックといったジャンルも大々的に展開されている音楽フェスです。今回はdeadmau5 vs Eric PrydzのB2Bが話題でしたが、同ステージではAdam Beyer & Ida Engberg夫妻のB2Bも行われていましたよ。
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実はメインステージ裏にはシークレットレストランもあって、そこでの収益は慈善団体Love Tomorrow Foundation、NGO’Cunina’を通じて、まずはネパールに‘Music & Arts School’ を建設するのに充てられるそうです 🙂
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チケットは入手困難ですが、航空券と宿泊がセットになったGlobal Journeyは、売り出し当日ならまず確保できますので、一生に一度は体験してみることをオススメします。

最後に、2016年のTomorrowlandを象徴する曲をチェックしていきたいと思います。ここ数年のリリース・ラッシュで、ヘッドライナー級アーティストのセットが最低でも6-7割は自分関連の曲になってしまったため、誰もがプレイしているピークタイムチューンというのはなくなっています。その関係で、各自のヒット曲は数年前のものでも本人によってプレイされていますし、多くの人が音楽ファンでアーティストのことをよく知っているので、相当古い曲でも盛り上がります。今年のトレンドになっているディープハウス、トロピカルハウスはサブステージで活躍していましたね。ちょっと意外だったのは、ハードキックはまだかなり人気があったこと。やっぱりTomorrowland級のメインステージになるとBig Roomは効果絶大です。

そんな中、オリジナル曲の間に重宝されていたのがこの三曲。


よく聴いたのはこのへん。


マッシュアップやエディットで使いまくられていたのはこのへん。




で、もちろんテーマ曲はこれでしたね。

Tomorrowlandはダンスミュージック・シーンが大きくなり始めてから30年にもおよぶヨーロッパのベルギーで2005年から開催されている、今回が12回目の歴史あるフェスです。2016年のチケット完売速度は史上最速、今年も地球上に存在するほぼすべての国に近い世界200か国以上から集まった、のべ18万人が’Live Today, Love Tomorrow, Unite Forever’のメッセージのもと、ともに音楽とフェスを楽しんだほか、その模様はTomorrowland TVやオフィシャル・パートナー・ラジオ(日本からもアジアで初めてRakuten.FMが現地にスタジオを設置しました)を通じて、今年初となる中国も含めた世界中に配信されました。7/22-24の週末には、なんと1億7500万人以上の人々がこの配信やSNSに触れたということです。ダンス・ミュージック・シーンが生んだこの巨大フェスは、いまやフェスを超えたムーブメントとして、さらなる躍進を遂げようとしているのでした。

Martin Garrix & Bebe Rexha – In The Name Of Love

オランダ出身のエレクトロニック・ダンス・ミュージック・プロデューサー/DJ、Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)が、Bebe Rexha(ビービー・レジャ)とコラボレーションした「In The Name Of Love」のPVをApple Musicで公開しました。「In The Name Of Love」は、Martin Garrixが自身のSTMPD RCRDSからリリースしたニュー・シングルです。

この「In The Name Of Love」は、「Now That I’ve Found You (ft. John & Michel)」「Lions in the Wild (w/ Third Party)」に続くSTMPD RCRDSからのシングルとなっています。

Porter RobinsonとMadeonのコラボ曲「Shelter」が突如リリースに

Porter Robinson(ポーター・ロビンソン)とMadeon(マデオン)のコラボ曲「Shelter」が、昨日8/11にiTunesでリリースされました(8/12 8:30現在まだ日本では購入できませんが、以下YouTubeで試聴可能です)。

Porter Robinsonのエレクトロニックな要素と、Madeonのフレンチ・エレクトロ系譜のメロディ・センスが生かされた素敵な一曲に仕上がっていますね。

彼らは9/29から北米でSHELTER LIVE TOURを予定しています。
日本にも来てくれないかな?

Thomas Jack & Jasmine Thompson – Rise Up

オーストラリア出身で米マイアミを拠点に活動するハウス・ミュージックDJ/プロデューサーで、トロピカル・ハウスを代表する存在として知られるThomas Jack(トーマス・ジャック)が、イギリス出身でまだ15歳の女性シンガー、Jasmine Thompson(ジャスミン・トンプソン)とコラボレーションした「Rise Up」のリリックビデオを公開しました。「Rise Up」は、Thomas Jackがリリースしたニュー・シングルです。

Thomas Jackは、トロピカル・ハウスというワードの名付け親ですね(最初は冗談だったそうで、この点はTchamiが名付け親のフューチャー・ハウスと似てますね)。この「Rise Up」は、昨年話題を集めた「Rivers (feat. Nico & Vinz)」に続く、第二弾シングルとなっています。サーフィンでヒッピーなフィーリングが、トロピカル〜でしょうか。