ダフト・パンクがRollingStoneのインタビューで「Electronic music right now is in its comfort zone and it’s not moving one inch,」と答えたので、「ダフト・パンクのニューアルバムが出たらEDMは終わりだ」的なことを言う人がいるんですけど、過去にダフト・パンクの新譜が出て、クラブミュージックのトレンドが大きく変わったことはないと記憶しています。なぜならダフト・パンクはダフト・パンクで、孤高の存在だからです。それはアンダーワールドやケミカル・ブラザーズ、プロディジーなんかにも言えますね。彼らはDJカルチャーとは、もはやあまり関係ないんです。
ちなみにダフト・パンクは前出のインタビューで「Skrillex has been successful because he has a recognizable sound」と、スクリレックスを評価する発言をしています。つまり、彼らはアンチEDMじゃないんですよ。その後、スクリレックスみたいな音がたくさん出てきて区別がつかなくなっていることを問題視しているだけなんです。
で、現在のEDMに否定的な発言をしている人には、サシャ、ケミカル・ブラザーズのエド、ファットボーイ・スリム、ディプロ、ウルフギャング・ガートナーとかいますが、どの人も現在のEDMフェスでヘッドライナーを務めるような人ではありません(ケミカル・ブラザーズはロック・フェスのヘッドライナーにはなれますが)。
たとえばゲッタやティエストが「EDMは危機に直面している」と言ったら、僕はそれを重く受けとめますが、シーンのど真ん中にいない人がいろいろ言うのはいかがなものかと思います(勝手ですけどね)。なんか、自分の都合のいい方向に持っていきたいだけに見えちゃうんですよね。
僕はEDMが大好きで、その動きをずーっと見てますけど、ちゃんと今でも毎週進化してますよ。シーンの中にいない人には、それがわからないだけなんだと思います。そもそも、それを判断できるほど聴きこんでないはずですから。
あと、EDMは基本的に「楽しい時間を過ごすための音楽」であって、本来は難しく考えたり論争のネタにするような音楽ではありません。日本の現状みたいに言葉の解釈自体やイメージがデタラメになりつつある場合は、軌道修正したりする必要もありますけど、踊って楽しければそれでいいではありませんか。
UMFに33万人集まったり、EDC Vegasのチケットが売り切れたり、Billboard音楽賞にEDMジャンルが新設されたり、EDMは相変わらず勢いがありますし、シーンには若いアーティストもどんどん参入してきているので、僕はEDMの未来に楽観的です。