ゴールデンウィークに初開催されたばかりの<EDC JAPAN>や、この秋口に第四回目の開催が発表されている<ULTRA JAPAN>を筆頭に、近年日本でも盛り上がりをみせている大型ダンス系音楽フェス。グローバルに活躍するダンス系トップアーティストやDJのプレイは、すぐさま世界中でシェアされ、どんな新曲やセット、ミックスが披露されたのか常に話題となっています。
みなさんは、そんなダンスフェスの心臓部とも言えるDJブース、アーティスト/DJのプレイやパフォーマンスを支えているDJ機材についてご存知でしょうか。この記事では、最近ダンスフェスの魅力にハマったり、ダンスミュージック好きになったという方にむけて、現在の定番DJ機材と、DJミックスの基本(昔とは違い、ちょっとコツをつかめばもう誰にでもDJミックス自体はできる…という時代なのです!)についてご紹介しましょう。
1)DJ機材の定番とは?
近年、EDCやUltra、Tomorrowlandといった世界的に知られるダンスフェスの現場はもちろん、クラブに置いてあるスタンダードなDJ機材とは、実はほぼ一社でキマリです。それは、Pioneer DJ(パイオニアDJ)のCDJ(DJプレーヤー)とDJM(DJミキサー)、コレです。もちろん出演者によって特別な機材・システムを持ち込むという例外もありますが、現場には必ずPioneer DJのCDJ&DJMが設置してあるというのが基本で、フェスのメインステージに出るようなトップクラスの出演者のほとんどは、このPioneer DJのDJセットに、その日プレイする楽曲・音源の入ったUSBメモリを直接挿してプレイ(綿密に楽曲を管理・準備したい場合は、Pioneer DJのソフトウェアrekordboxを活用)…というスタイルだと思って間違いありません。
なぜPioneer DJのDJセットが定番化したのかというと、出音の良さ、耐久性に優れている点はもちろん、音楽媒体がアナログレコードからCD、デジタル音源(MP3やWAV)へと変遷していく中、そのテクノロジーの進化にいち早く対応しシーンをリードしてきた点、さらに操作性に関係する部分でもありますが、アナログ時代に培われたDJプレイの原点とも言えるアクション――DJが曲と曲をつなぐ時に行う一連の動きや身ぶり手ぶりはそのままキープできる点、などが挙げられます。
ちなみにUSBメモリが好まれている理由は、現場に来たらCDJにUSBを指すだけでスタンバイOKで、機材トラブルも起きにくい(現場ではコレ重要です)、という簡潔さです。要するに、他の出演者にもスタッフにも自分自身にも無駄なストレスがかからないし、オーディエンスにも無理なくダンス・アクトらしいパフォーマンスを見てもらえる、ということになりますね。
ではフェスの現場には、Pioneer DJのDJセットの中でも果たしてどんな機種が置いてあるのかと言いますと、もちろん上位のプロフェッショナルモデルということになります。CDJではCDJ-2000NXS2、CDJ-2000NXS、CDJ-900NXS、DJMではDJM-2000NXS、DJM-900NXS2、DJM-900NXSがそれに該当しますが、例えばセパレート上位モデルとして「CDJ-2000NXS2 (2台) + DJM-900NXS2」の組み合わせをチョイスすると、なんと約85万円! 本気でプロ・アーティストやDJを目指す人にとっては、いわば憧れのモデルに近い存在といったところでしょうか。ミュージシャンがいつか高級な楽器を手にしたい…と思うのと同様ですね。
2)ホームユース用のDJセットもある!
上位モデルが高級すぎるからといって、DJへの興味をあきらめる必要はありません。せっかくダンスフェスが好きになったり、ダンスミュージックに興味を持ったのであれば、ちょっとでもDJ機材のことやDJの仕方を知るだけでも、あなたの音楽ライフはより豊かなものになるでしょう。Pioneer DJには、ニーズに応じて様々なモデルが用意されています。先にピックアップしたセット「CDJ-2000NXS2 + DJM-900NXS2」以下では、
・セパレート中位モデル:XDJ-1000MK2 + DJM-450(約35万円)
・セパレート下位モデル:XDJ-700 + DJM-250MK2(約20万円)
・一体型モデル:XDJ-RX(約18万円)
・DJコントローラー上位モデル:DDJ-RX(約12万円)
・DJコントローラー中位モデル:DDJ-RR(約8万円)
・DJコントローラー下位モデル:DDJ-RB / DDJ-WEGO4(約3万円)
などがオススメでしょう。
より現場の雰囲気に近いセットでDJをやってみたいという本格派の方は、DJプレーヤーとDJミキサーを組み合わせて使うのが一番ですが、ポイントはDJセットの基本ということであればプレーヤーは2台で、そうするとミキサーの縦フェーダーは2チャンネルでOK、ということになります。
例えばここでピックアップした「XDJ-1000MK2」(写真 左上)と「XDJ-700」(写真 左下)は、MP3などの音楽ファイルの再生に特化(CD再生はできません)したDJプレーヤーで、「XDJ-1000MK2」はプロフェッショナルモデル同等の操作性と多機能性を備えたモデル、「XDJ-700」はコンパクトさを重視した自宅向けモデルとなっています。
「DJM-450」(写真 右上)と「DJM-250MK2」(写真 右下)は共に2チャンネルのDJミキサーで、「DJM-450」はプロフェッショナルモデルの基本機能を踏襲した自宅向けモデル、「DJM-250MK2」はPioneer DJのDJミキサーの中で最もシンプルでベーシックな最新モデルです。
一体型モデルの「XDJ-RX」は、DJプレーヤーとDJミキサーが一体化したオールインワンDJシステムで、コンパクトかつ、プロフェッショナルモデルの機能やレイアウトも踏襲したものとなっているので、自宅向けには最適ともいえるでしょう。実は、配線やメカに疎い方にとって一番使いやすいモデルかも知れません。
DJコントローラーは、ラップトップPCとセットで使用することを前提にしたシステムで、自宅向けであることはもちろん、様々なシチュエーションでDJを行うモバイルDJや、PCで準備・仕込んだものをそのまま現場に持ち込みプレイしたいケース等に最適なシリーズです。
「DDJ-RX」(写真 上)、「DDJ-RR」(写真 中)、「DDJ-RB」(写真 下)は、PC内にある音楽ファイルをこのコントローラー(と同梱のrekordbox djソフト)でそのままDJミックスできてしまうという、Pioneer DJのDJコントローラーの中ではスタンダードなモデルになりますね。ちょっとDJをやってみたいという場合は、「DDJ-RB」で十分楽しめます。PCを持っているなら、DJコントローラーはお手軽ですしリーズナブルでもあるので、魅力的でしょう。
また、「DDJ-WEGO4」は、PC/MacやiPhone/iPadといったデバイスと接続して簡単にDJプレイが始められるDJコントローラー(使用アプリはdjay2)です。気軽さという点では、この「DDJ-WEGO4」が一番かも知れませんね。なんと、Spotifyの音源を使ってDJすることもできちゃいます。
各モデルの詳細は、コチラをチェックしてみてください。
DJプレーヤー:https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/player/
DJミキサー:https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/mixer/
いずれにせよPioneer DJのモデルであれば、基本的な操作感や機能には統一性があるので、何かワンセット揃えて使い方を覚えてしまったら、他モデルでのDJプレイにもすぐ慣れると思います。
3)DJをしてみよう!
冒頭でも触れましたが、今はちょっとコツをつかめば、もう誰にでもDJミックス自体はできる時代です。もちろんDJミックスについては、細かなことを挙げるとキリがないくらい様々なテクニックやノウハウがあり、また各アーティスト/DJの経験やスキルに基づく、彼らにしか出せない雰囲気やグルーヴ感というものも存在します。ですが、DJミックスの第一歩は、実はとてもシンプルです。
ここでは、初めてDJをしてみるヒト向けに、現在ダンスフェスで主流のサウンドとなっている4つ打ち(4/4ビート)の楽曲をノンストップでプレイしていく、ハウス系ビートミックスの仕方を簡単にご紹介しましょう。いわゆるビッグルーム系EDMや、プログレッシヴハウス、フューチャーハウス、ベースハウス、トランスやテックハウスなどは、全てこのミックス方法が基本です。で、細かな手順や方法を省くと、行う作業は以下のことのみです。
(1)4つ打ちの楽曲を2曲用意します。
(2)コントローラー/DJセットの一方のチャンネルから、まず1曲目(曲A)を再生します。
(3)もう一方のチャンネルに2曲目(曲B)を用意します。ミキサーの曲Bの音量はゼロにしておきます。
(4)ヘッドホンで曲Bを聴きながら、テンポを曲Aと揃えて、アタマ出しをしておきます。
(5)曲Aの拍子に合わせて、曲Bの再生ボタンを押して、音量を徐々に上げていきます。
(6)その後、曲Aの音量は徐々に下げていきます。
…簡単でしょ? もっとも、コレがいざ始めてみるとなかなか奥深くて、やればやるほど面白くもなり、難しさも理解できるようになり…ということでハマるヒトが大勢いるわけです。ただ、リズム感のよい方や勘のよい方は、購入したその日その晩の内に、ある程度のところまでできちゃうと思います。
初めてのDJで一番難しい作業は、曲と曲のテンポ(ピッチ)合わせになるかと思いますが、Pioneer DJの機材には“ビートシンク”機能という、曲のテンポを自動で揃えてくれる魔法のような装置も付いているので、初めはこの機能を活用して、ミキシングのスキル磨きに集中してみたりするのもいいでしょう。少しDJミックス自体ができるようになると、自然とDJミキサーに付いているイコライザー、フィルター、エフェクターなどの機能を駆使して、より流麗なミックス、巧みなプレイというものを追求したくなるはずです。
機材の使い方については、DJコントローラー「DDJ-RB」のチュートリアル動画がありますので、チェックしてみてください。また、ハウス系ビートミックスについては「DDJ-SB Mixing House Tutorial」という動画もあります。英語ですが、映像を見るだけでも参考になると思います。
最後に、楽曲の入手方法についても簡単にご紹介しておきましょう。USBメモリやDJコントローラーでDJをする場合は、ダンス系音楽ダウンロードサイト等から楽曲を購入するというのが基本です。世界的に知られているのは、Beatport(最近日本語対応されました)やJuno Downloadなど。ここでは、プロが現場で使う音質クオリティの320kbps MP3やWAVファイルでの楽曲購入が可能です。もちろん日本国内の音楽ダウンロードサイトでも、同等クオリディの音楽ファイルを販売しているところがありますよ。また、iTunes音源でもプレイできますが、iTunesの音楽ファイルは256kbps M4P(AAC)で、320kbps MP3と比較するとちょっと音質に差があります。
いずれにしても、DJ用に楽曲をゲットする際は、DJミックスしやすいバージョンになっている曲(Extended Mix、Club Mix、Original Mixといった表記が付いているケースが多いです)を求めましょう。こうしたDJ用~ダンス・バージョンの楽曲のほとんどは、曲のイントロとアウトロの部分がビートで構成されています。
DJミックス/プレイは、お気に入りアーティストの曲をピアノやギターでコピーするのと同じくらい面白く、より気軽に楽しめる点が魅力です。これを機に、DJの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか!
Text:Futuregroove
Live photo:RUKES.COM
Pioneer DJ
Official Site:https://www.pioneerdj.com/ja-jp/
Facebook:https://www.facebook.com/PioneerDJJPN/
Twitter:https://twitter.com/PioneerDJJPN