2016年にあたって

あけましておめでとうございます!

ちょっと雑感なのですが、EDMフェスやクラブが、日本では、ただのパリピの遊ぶ場所っていう認識になったら、海外のシーンがどんなに活況を呈していても、ブームは、すぐに終わってしまうでしょう。飽きたらパリピは、他にいっちゃいますからね。VIPで札束をひけらかす意味もなくなってしまいます。すでに客層が悪いので、もうEDMフェスやクラブに行きたくないという声をたくさん聞くようになりました。

たちが悪いのは、それで数年儲けたらそれでいいっていう大人が、日本には山のようにいることです。彼らは自分たちの仕掛けがうまくいくように、海外ダイレクトの情報が入ってくることを極端に嫌がります。ステルスマーケティングメディアさえ存在します。馬鹿げた話です。

海外では、こういうムーブメントの本質を仕掛け側も知っていますから、できるだけ長く太く、このシーンで儲けることを投資家も考えます。えぐい話ですが、それは音楽ファンにとっても、アーティストにとっても良い結果となるんです。「Bro ! 一緒に儲けようぜ」なんですよ。それは金儲けですがポジティブであり、必ずしも悪いことではありません。

僕は個人的にはダンスミュージック・クリエイターでDJであり、自分は良い音楽をつくってプレイして、音楽で世界がつながって、みんなが喜ぶ顔がみたいだけなのですが、このEDMの普及活動を始めた2012年当初に比べると、日本ではレコード会社もプロモーターもクラブもフェスも、音楽を大事にしない方向に進んでいるのは明らかです。とても残念なことです。

この状況は数年以内に収束すると予測していますが、そのときほんとにEDMが好きな人だけが残ると思います。EDMは海外では、おそらくこれからも最先端の音楽として発展していくと思うので、それを見据えて、これからも良い環境づくりに微力ながら奮闘していきたいと考えています。今年も引き続きよろしくお願いいたします。

Tomo Hirata

EDM PRESS | The Best of 2015

EDM ANNUAL 2015 compiled by Tomo Hirata by Tomo Hirata on Mixcloud

2015年はFuture HouseとMelodic Progressive Houseが人気の一年でした。
Tiësto、KSHMR、Don Diablo、Oliver Heldensの活躍が目立ち、多くのアーティストがアルバムをリリースした一年でもありましたね。
はたして2016年は、どんな新しいEDMが生まれてくるのでしょう。期待して待ちましょう!

以下20曲を含む65曲のノンストップ・ミックスはこちらから。クイックミックスではないので、曲が十分に楽しめるようになっています。作業用に、2015年の思い出にお楽しみください:

01. Major Lazer & DJ Snake ft. MØ – Lean On
02. Calvin Harris + Disciples – How Deep Is Your Love
03. Axwell Λ Ingrosso – Sun Is Shining
04. Zedd ft. Jon Bellion – Beautiful Now
05. Steve Angello ft. Mako – Children Of The Wild
06. Axwell Λ Ingrosso – On My Way
07. Alesso ft. Roy English – Cool
08. Tiësto & KSHMR ft. Vassy – Secrets
09. Valentino Khan – Deep Down Low
10. Jauz and Ephwurd – Rock The Party
11. Zedd ft. Selena Gomez – I Want You To Know
12. Tiësto & Don Diablo ft. Thomas Troelsen – Chemicals
13. Avicii – Waiting For Love
14. Oliver Heldens – Melody
15. Jay Hardway – Electric Elephants
16. R3hab & KSHMR – Strong
17. Magnificence & Alec Maire ft. Brooke Forman – Heartbeat (Nicky Romero Edit)
18. Jack Ü ft. Justin Bieber – Where Are Ü Now
19. Martin Solveig & GTA – Intoxicated
20. Martin Garrix & Tiësto – The Only Way Is Up

Merk & Kremontの投稿より

Merk & Kremontが、Facebookに、とても興味深い投稿をしてた。
以下、和訳。

「数年前にホームタウンでDJをはじめたとき、プロモーターは僕らに、ラインナップに名前をのせるためには‘友達をクラブに連れてきて、チケット買わせて’って求めてきた。この戦略について僕らは判断しないけど、ただ自分たちのギグを確保するためだけに、友達にチケットを買ってと頼むことは悩ましいし、自分の才能ではなく、誰かほかの人の力によってのみパフォーマンスができるということは、満足できることではないと理解するのは簡単なことだった。なので、僕らはDJをやめて、僕らのトラックと音楽ゆえにプレイできるようになるまでスタジオにこもった。
数年がたち、ついに僕らはホームに戻ってきた、今回は新しい友達を連れて!
ありがとう、ミラノ。」
https://www.facebook.com/merkandkremont/photos/a.293165184068246.83803.291348837583214/1042810899103667/?type=3&theater

「年間300件のDJをこなす」とか「ディスカウントリスト100人は呼べます」って言う人たちは、このMerk & Kremontの投稿を見たら、どう思うんだろう?

現代のEDM DJが目指すべきところは、この投稿にはっきり出ていると思う。
プロモーターも日銭ばかり追わないで、こういう考え方を尊重してくれたらいいのになって思う。
経営上の判断でいろいろ難しいのはもちろんわかるけれど、クラブで音楽が大事だと思うのなら、それだけじゃいけないんじゃないかな。
Big Shout Out To Merk & Kremont!

Paris HiltonにEDM Tunesがインタビュー

Paris Hilton – Foam & Diamonds @ Amnesia Ibiza 2013 by Amnesia Ibiza on Mixcloud

こんにちは、Tomo Hirataです。
いろんな意味でよく話題になるParis Hiltonですが、EDM Tunesがなんと彼女にインタビューしてきましたよ。そういや、彼女のプレイって一度も聴いたことがなかったなと思ったので探してみたら、2013年のですが、ちゃんとイビサの名門Amnesiaのオフィシャルにありました。それが上のですね。Paris Hiltonは、ここ3年Amnesia土曜<Foam & Diamonds>のレジデントをしています。7/4のプレイを見たEDM Tunesいわく、Traktorのコントローラと2台のCDJを使って“NOW: That’s What I Call EDM”の領域に近いプレイだったということですが、上のもそうですね。なんかいちおうマッシュアップ入ってて、すごいミックスですが。。。日本のEDMをプレイしているDJも、これをクイックミックスにした感じの人がほとんどかなと思います。

インタビューから、返答のおもしろいところをピックアップしてみましょう。
「Daft Punkは今でもわたしのインスピレーションよ。素晴らしいわ」
「自分のやっている何よりもDJが好き」
「わたしを嫌っているすべての人が間違ってると証明できたと思うわ」

自分のDJにめちゃくちゃ自信を持っていて真剣に取り組んでいるようです。
2009年に起きた、Steve Angelloを酷評したあげくに、Angelloがリクエストに答えなかったということで大騒ぎになった件についても
「ほんとに謝罪します。ほんとにばかげていたと感じているわ」
と反省の言葉を口にしています。

彼女は、まったく下積みもクラブヒットもなしに、有名人からDJに転身してきたわけですが、彼女のパーティを楽しんでいる人がいて、そこに需要があるのなら、それでいいのだろうなと個人的には思っています。それはそれで、EDMカルチャーとは違う世界で成立しているわけなので。結果的に、彼女がEDCやTomorrowlandに出ることは現時点では予想できないわけですが。。。

コメント欄にひとつ共感できるものがあったので、ちょっと引用してみますね。
「Paris Hiltonがやっていることと、deadmau5やDaft Punkのようなアーティストがやっていることの間には大きな違いがあるよ。彼らはオリジナルのアルバムを出しているし、それを長いこと続けている。彼女はDJだから、クラブっぽいセッティングで、他人の曲をかけてクラウドを盛り上げているんだ。DJはちゃんとやるなら世界で一番簡単なことではないよ。彼女は他のアーティストが到達しているレベルには、はるかに及ばない。彼女がアルバムを出し始めたら、真剣に受け取るよ。それまでは、彼女はただのセレブリティから転身したDJ」

アルバムはポップアルバムを彼女も出してますけど、いわんとしていることは、アーティスト/プロデューサーと、ヒット曲をそのままかけるDJは違うんだよということですね。

現代のEDM DJは、Hardwellも言っていましたがアーティスト/プロデューサー出身です。そうでなければ、一流と認められるレベルには到達しないのです。そういう意味では、beatportヒット(というかトップDJにサポートされるようなフロアヒット)が何曲か出たところで、やっとスタート地点に立てるのだと僕は思います。

EDM Tunesのインタビュー記事

EDC創設者Pasquale RotellaとPLUR

こんにちは、Tomo Hirataです。
世界三大ダンスイベントと言えば、Tomorrowland、EDC、Ultraなわけですが、最大なのはEDC Las Vegasです。特にアメリカ国内において、その力は強大です。そのEDCの創設者であるPasquale Rotellaさんは、僕が一番好きなプロモーターの一人でもあります。

彼は、いまでは超大金持ちなわけですが、もともとはイタリア系移民の家庭に生まれた労働者階級で、UKのレイヴに大きな影響を受けて1992年にLAの違法パーティからキャリアをスタートさせています。そこから見ても、彼が現在のアメリカン成金EDMバブルみたいなものに傾倒していないであろうことはあきらかです。逆に、それがEDCを成功に導いたのだと僕は思います。

EDCの「ヘッドライナーはあなただ」というポリシーや、DJをスーパースター扱いせず、アルファベット順に同じ大きさでフライヤーに乗せているあたりに、独自の芯の強さを感じます。なんというか、「おれは金や業界のしがらみだけでは動かないぞ」というイメージですよね。音楽だけではなく、ダンスカルチャー全般への愛からこの仕事をしているんだなという気概を感じます。なんと彼は、あのSFXからのオファーを「Wall Street play」だという理由で断っているんですよ。

実際、Pasquale RotellaはFacebookの投稿で、こんなことを言っています。

「人々が、時たま僕にビジネスに関してのアドバイス、または彼らがどの様にしたら自らの夢や目標を現実化できるかを聞いてくるんだ。
これまで常に僕にとって最適で、一番の方法を彼らに伝えるならこれ。ーー『自分が好きなことをする。』本当にただこれを、ずっとこの20年間毎日ひたすら続けてきたんだ。
ある人は、『今となってはInsomniacは大成功でEDCもとても大きくなっているし、自分が好きなことをするのは楽なことでしょう』と、言うかもしれない。けれど、1992年にまだ150人しか集らなかったマイナーなイベントをしていた頃と正直、想いは全く変わらないんだ。
昔から変わらず、人々が楽しんでいる姿、彼らの笑顔を見るのが大好きなんだ。そして、クリエイティブな環境を人々に提供したり、その計画を立てることが大好きで、これが僕にとってのパッションなんだ。この強い思い入れがなければ、経済的にとても苦しかった時期、失敗を何度も何度も繰り返した時期を通り越すことはできなかっただろう。
もし僕にこの熱意がなければ、もうとっくに全てを諦めていたと思う。
この業界で生きていくのは常に楽なことではないが、簡単に物事が進んで大満足できるというのは極まれなことでしょう。僕は、昔ながらの仕事をハードに一生懸命こなすスタイルのファンで、どんなに目標からかけ離れていても課題をクリアし頑張ることができる。これができるのはママ・イレーナ(注:先ごろお亡くなりになったPasquale Rotellaの母親です)のおかげで彼女に感謝している。
まだまだ話を続けられるけど、ここでクローズさせてもらうね。とにかく、日々、自分が好きなことをしてね。絶対に価値がある人生を築けるはずだから」

さらに、EDMイベントの根底を流れる思想であるPLUR(Peace, Love, Unity & Respect)についても、こんな投稿をしています。

「僕が初めてP.L.U.R.というコンセプトを知って触れることになったのは90年代前半のまだ世間に知られていないようなマイナーな場所でだ。
その頃、集った人々はP.L.U.R.という言葉を口にしたり、それについての話し合いをしたりしていた。また、その言葉がフライヤーの端に書かれているのもたまに目にした。
P.L.U.R.というコンセプトがイベントに参加することに最も価値がある理由とされていた….そしイベントに集った人々はこのコンセプトがイベント内だけでなく、普通の生活やイベント以外の場所でも順応できるように試みていたんだ
これはKandi(ビーズのアクセサリー)、イベントに関する商品など、全て今のシーンが注目される前の話なんだけどね。
プロモーター達はLA(ロサンゼルス)にある倉庫の鍵を壊して中に入って、電球が1個か2個しかないこの倉庫の中で彼らは、自分達の所持金全てを大音量が流せるサウンドシステムに費やしていたんだ。
警備員もいない時もあったけれど、最高なことに、当時は警備員がいなくても平和だった。ドラッグクイーン達やギャングのメンバー達、ゴシック達、ブレイクダンサー達、当時の僕みたいなキッズ達、そして僕の西海岸の友達など、皆が分け隔てなく仲良くできた。喧嘩やドラマなしでパーティーをしていた!
P.L.U.R.というコンセプトが皆をまとめていたんだ。これは本当に事実だ。昔から変わらず今でも僕にとってはとても大切なコンセプトなんだ。
いつからP.L.U.R.が人々の間で、ポピュラーになったというか『クール』な存在になったかは定かではないけれど、彼らは本来の昔のP.L.U.R.の意味が分かってないんだ。だから「PLURRRRR ブラザー」と聞くと、彼らにビッグなハグをするものの笑っちゃうんだ。
PLURが理由で僕はイベントを開催し続けているし、PLUR精神が何回か訪れた僕の人生で大変な時期からも救ってくれたんだ!
もっと後でまだこの話は続けるけれども、今回はP.L.U.R.についての話で終わりにするね… ‪
PEACE(平和):他者と同じ場所で争うことや、ネガティブな影響や態度なしで、皆で仲良く一緒に過ごすこと。
‎LOVE(愛):無条件に皆に愛を与えること、そして人種、性別やそれぞれの信条関係なく友好的なこと。
‎UNITY‬(団結):皆で集り、似たような興味をシェアし、どんな人とでも友達になれて、仲間はずれと感じている人達にも幸せを分け与えることができ、どんな人でも受け入れ、仲良くなれること。
‎RESPECT(尊敬):他者のあなたへの期待は気にせず、ありのままの自分自身でいれること。そして、他者と助け合うことができること。自分の周りの人々に、誇り、勇気を分け与え、自分自身に対してと同じように彼らを敬えること。」

そう、Pasquale Rotellaは、シーンが巨大化して産業化が進み、EDMがVVIPやセレブリティといったイメージと結びついてしまっている今でも、アンダーグラウンドから生まれたPLURの精神を忘れずにEDCを運営しているのです。僕は、Pasquale Rotellaと同じ時代をリアルタイムで体験してきたので、彼が言いたいことには共感しかありません。

表面的なEDMシーンだけを見るのではなく、なぜこの時代にダンスミュージックシーンが史上最大の規模になっているのか、ぜひ考えてみてください。EDMはただの元気なアゲ音楽ではなく、アンダーグラウンドから生まれたダンスカルチャーの一部なのです。

Pasquale Rotella投稿翻訳:Risa Clark