エレコムのアウトレット・イヤホンをチェックしてみた

現代において、ほとんどの人はイヤホンで音を聴くだろう。ヘッドホンでは重すぎるし、スマホのスピーカーから出る音は音楽とは言えないクオリティだから。

イヤホンの問題は耐久性がないことで、何かのはずみにうっかり引っ張ったりすると断線してしまう。8000円もするイヤホンを、それで二つつぶしてしまった。そこで、安くてそこそこな音が出るものはないか探してみた。

安いと言えば、メーカー直販サイトのアウトレットだろうということで、エレコムのアウトレット・イヤホンを2020年1月末に5種類買った。

EHP-GB10A 858円
EHP-GB2000A 1078円
EHP-CS200A 418円
EHP-CN210A 528円
EHP-CH2000 3828円

一番高いCH2000はハイ上がりでローが弱く、解像度は高いもののダンスミュージックにはまったく向いていなかった。装着感も悪い。ハイレゾ対応ってつくと、ハイ上がりになるのがエレコムなのか?
10Aと2000AはGrand Bassシリーズで、いずれも重低音が売りだが、実際の出音は全く違う。結論から言うと2000Aは素晴らしく、10Aはローが出すぎでバランスが悪い。10Aはいらない。
200Aは最安値だが、バランスは悪くなく、解像度もそこそこある。
Groove Gangsta aka皇帝というBな名前がついた210Aは、この中で最低の音だった。論外。

ということで、普段使いには2000Aを採用することにした。
いまどきワイヤレスじゃないのか?と思うだろうが、有線のほうが音がよく、充電する必要もない。

以上、まったくの主観で、独り言でした。

EDMとDJカルチャー

EDMのアーティストは、DJセットのほとんどを自分のオリジナル曲で構成する。
Zeddは、こう語っている。
“DJの本質っていうのはクラウドを見て、感じて、みんなが聴きたいと思ってるものをプレイすることだろ。それは自分(のやっていること)とはものすごく違う”
“僕のライブショウは、DJショウではまったくない。手段はDJだけど”

Zedd: I'm An Artist Who Presents A Show, Not A DJ | Forbes

彼らにとって、DJというのは自分の作品を発表する一形態なのだ。
クラブシーンに全く所属していなかったCalvin HarrisやKygoも、DJカルチャーからたたき上げで成功したDavid Guettaでさえも、同様の発言をしている。
Don Diabloは、DJはおばあちゃんでもできる、難しいのは人々をエキサイトさせる何かをつくること(=曲作り)なんだよとインタビューで答えているし、Hardwellは、いまの若いDJはヒット曲を出していきなりDJをするのさ、と語っていた。

これは何を意味するのか?

お客さんの様子を見ながら、主に他人の曲をつないでいくプレイで空間を作り上げていくDJと、EDM DJの間には、ほぼ接点がないということだ。名前は同じDJでも、まったく別のパフォーマンスだと言ってもよい。

この変化を理解するには、ちょっとばかりDJに関する知識が必要だ。

DJは、かつては職人芸だった。不安定なアナログターンテーブルを操作し、BPMをマニュアルで合わせ、ゆがみや針飛びもあり音量感も揃っていないレコードを、大音量の中でミックスしていた。
選曲も、アンダーグラウンドかつ高価なレコードを自分の耳と価値観、そして足で探し出し、揃え、ストーリーを構成しなくてはいけなかった。
それができるだけで、特殊技能を持ったパフォーマーであり、ある種のアーティストだったのだ。

しかし、デジタルDJでは、技術習得の必要はほぼなくなり、ヘッドフォンもいらないほどになった。
選曲だって、いたるところに音源は転がっているし、人気度も再生回数やチャートですぐにわかるから、一番需要のある“盛り上げるだけ”なら誰でもできるようになった(選曲は実際は奥深いのだが、それだけで1記事できてしまうので、ここでは割愛する)。
誰でもできるのだから、いまや単純にDJができるということ自体には、ほとんど価値はない。
あなたがバトルDJじゃない限り。

そうなったとき、次の進化段階で求められるのは、アーティスト性だ。
幸いなことにデジタルは、曲作りのハードルも下げてくれた。
かつては一台数万から数十万もする箱モノの機材を揃えなければできなかった楽曲制作が、PCとDAWだけでできるようになった。
そこで起きたのがEDMムーブメントだったのだ。

EDMムーブメントの本質で最も重要なことのひとつには、他人の曲をつないでいくDJカルチャーから、自分の曲をプレイするプロデューサー(ダンスミュージック・アーティスト)カルチャーへのパラダイムシフトがあった。

ダンスミュージックが大好きな、デジタルネイティヴの若者は、DJではなく曲作りからスタートする。これはいまや世界の常識だ。
ブレイクのきっかけは99%がオリジナル曲だ。
最近では、日本からもFakeではない、実力派の新人や若手プロデューサーが続々登場し始め、彼らは海外レーベルから直接リリースするというルートを選んでいる。
彼らの多くは、国内では無名か過小評価されているが、この状況はいずれ変わっていくだろう(と期待する)。
そこに健全なEDMシーンの発展があると思う。

最後に蛇足だが、オープンフォーマットDJをやって、ディスコ箱のチーフDJになるのがゴール(なかなかの高給らしいので、それもいいだろう)だという人は、そもそもEDMシーンとは関係がない。オープンフォーマットDJからEDMシーンのトップアーティストになった人は一人もいない。このへんも日本では誤解されているので、念のため。