僕のサイトのCONTACTコーナーや、Twitterから、「僕もEDMのDJをしています。こんなプレイをしています。僕をブッキングしてください!」というメールをよくいただくのですが、ちょっと説明が必要なので、記事を書くことにしました。
まず、根本的な話ですが、僕もDJであって、オーガナイザー/プロモーターではないので、誰かをブッキングする立場にはありません。僕も雇われる側なんです。あしからず。
では、プロのDJになりたい場合は、どうやったらいいのか?
まず、友達をたくさん集めて、小さなスペースで、自分がオーガナイザーになってパーティを始めることです。僕も最初は、渋谷のバーを借りてパーティを始めました。友達以外の人なんて、どんなに宣伝したとしても、ほとんど来てくれませんから、5人とか10人の前でプレイすることになります。もちろん毎回大赤字です。この辺は、バンドがライブハウスを借りて、チケットを友達に手売りで売って最初のライブをやるのにそっくりです。
次に、そういうことをやってがんばっているということと、どんなプレイをしているかが分かるようなプロフィールを作って、小さなバーやクラブにアプローチしてみてください。うまくいけば、そのクラブでパーティができるようになるかもしれません。その際、相手のクラブのことをちゃんと研究してから行ってくださいね。それは礼儀です。
それで集客ができるようになったら、今度は「自分はこれだけ集客できる」ということをプロフに加えて、少しづつ大きなクラブにアプローチしていってください。この段階になると、僕のような、ブッキングする立場に無い人にアプローチしても、誰かコネクションを紹介してくれることさえあります。
これだけです。
アプローチ先は、基本的にはクラブのブッキング担当ですが、今はクラブのパーティも外部のオーガナイザー/プロモーターが仕切っていることが多いので、そういうところにアピールしてみてもよいでしょう。
難しいですか?
はい、難しいです。iFlyerさんのアーティスト登録者は1万人いるといいますから、かなりの難関と言ってもよいでしょう。しかも、DJをやりたい芸能人とかモデルとかは、最初から集客力があるので、スキルや経験が無くても優先的にブッキングされます。そういう状況が良いとはまったく思いませんが、DJにもショウビズの側面はあるので、やむをえません。
では、ショートカットはないのか?
あります。
自分でトラックを作って、それをリリースし、beatportなどのチャートに食い込ませることです。先日のbanvoxのケースは好例でしょう。そうやって話題になれば、「DJはできないか?ライブはできないか?リミックスはできないか?」というオファーが来るようになります。
もっとも、そこまで完成度の高いトラックを作れるようになるには、普通だと何年もかかりますし、才能も必要ですから、これは簡単な近道ではありません。
どっちのコースを選ぶかは、性格によると思います。友達100人作れるような外向的な人には前者、芸術家タイプの人には後者が向いています。最近のEDM DJには、圧倒的に後者が多いですね。
次に、EDM DJの特徴を書きますね。EDM DJは、テクノやハウスのDJとは、まったくスタイルが違います。
まず、かける曲の6〜7割位は自分が手を加えた曲です。オリジナルが多ければ多いほどよく、それはゲッタやカルヴィン・ハリスのDJを見れば分かります。といっても、ほとんどの人はオリジナル曲を大量に持っていたりはしませんから、リミックス作品や、マッシュアップをかけることになります。つまり、beatportで買った曲を、そのままつないでも、EDMのDJとしては半人前にしかならないということです。かといって、他人が作ったマッシュアップをたくさんかけても、それは自分の個性にはなりませんから、あまり意味がありません。
要するに、最低でも自分でマッシュアップが作れる程度のDAWスキルは必要なのです。これが、EDM DJにトラック制作から有名になる人が多い理由です。
次に、クラウドとコミュニケーションを取る力が必要です。ゲッタのように自分でガンガンMCをする人もいれば、専属のMCを抱えている人、はてはマーティン・ソルヴェグみたいに歌っちゃう人までいます。デッドマウスの被り物も、コミュニケーションの一種と言えるでしょう。下を向いて、淡々と曲をつないでいてはいけないのです。アヴィーチーとか例外もありますが、彼の場合は、曲が圧倒的にいいですからね。かけるのは、ほとんど自分関連の曲ですし。
そんなわけで、EDMは楽しい音楽ですが、本格的なEDM DJになる道のりは楽ではありません。僕もまだまだ勉強中です。オススメは、EDMの有名なDJがプレイしているところをYouTubeとかで見ることです。彼らのセットリストも参考になります。
簡単に言ってしまえば、「EDM DJ=自分が手を加えた曲を、コンサートのように披露すること」なんです。だから、ギャラがあんなに高いんですよw
最後に、EDMをやるなら、EDMに専念することをオススメします。例えば、今までやってきたソウルフル・ハウスのDJと並行して変名でやるとか、サイドプロジェクト的にやるのは、どうかと思います。だって、世界的に見たらEDMはメインストリームなんですよ。ティエストでさえ、今までやってきたユーロトランスを封印してEDMをやってるじゃありませんか。EDMは、それだけ魅力のある音楽なんです。