EDM=ナンパ箱のBGM?パリピのテーマ曲?

あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。

新年早々なんですが、日本ではEDMのイメージが微妙な形で定着していますね。
タイトルに書いたとおりに近いのかなー。

EDMはダンスミュージックとして最先端を行くもののひとつなんですが、そこはあまり理解されていないように思います。根底にあるPLUR(Peace,Love,Unity, Respect)の精神も。

日本でEDMをプレイしているDJは、トップ40のように有名アーティストの曲をクイックミックスでつないでいることがほとんどです。
これがEDMスタイルじゃないことは、もう何度も書いてきたので、いまさら言いませんが、EDMはプロデューサーカルチャーです。極端なことを言うとDJ主導じゃないんです。
Hardwellも、Don Diabloもそれをはっきり言っていますよね。

で、僕は大資本や業界のイメージコントロールには勝てないので、そろそろ白旗を揚げたい気持ちなのですがw、今年からは、軸足はいままでどおり海外に置きつつも、いまある「日本のEDMシーン」とはまったく違う「EDMシーン」を日本につくれないか模索したいと思っています。ほんとに音楽が好きな人のための、グローバルスタンダードにそったEDMシーンを。

K-POPスターのようなアーティスト写真で、有名アーティストのヒット曲をかけて、自分はステージ上で、みんなをあおる。DJとしては、オールミックスでひたすらアゲて、フロアに人がたくさんいる状態をつくればいいっていうのは、僕のやっていることやEDMのグローバルスタンダードと、あまりに違いすぎるかなと。それはそれで昔のディスコみたいなもので、ユーロビート的なEDMの使い方としてはアリだと思いますし、商業的には正解でしょうから、否定も批判もしませんが。

「Put Your Hands Up」が楽しかった時代は、もう終わりかなと思っています。
あまり話題になっていませんが、David Guettaの新曲に「The Death Of EDM」というのがあります。
その歌詞にはこうあります。
Yeah, it’s been ill for a while and now it’s gone
It had to die so it could come back strong
It had a good run, but it’s reached the end
We got a new sound now, go tell your friends
EDM is dead and I be killing it
EDM is dead

EDMの創始者とも言えるGuettaの曲なだけにインパクトありますね。
でも、これは単純に終了宣言ではありません。
It had to die so it could come back strong
であり
We got a new sound now
なのですから。

日本にも、音楽としてのEDMの真価が問われる時代、優秀なプロデューサーでなければ評価されない時代が、数年遅れでやってくるでしょう。そのときEDMシーンが焼け野原のようになっていないように、微力ながらまだまだがんばるつもりです。Takuさんからいただいた“ミスター・EDM”というありがたい称号は、しばしのあいだ返上しようかな 🙂

I play & produce ‘House music’.

USではTRAP人気でHIP HOPが復権中

このところのEDMシーンでは、FUTURE HOUSEや新世代のDEEP HOUSE、PROGRESSIVE HOUSEが活躍中ですが、ことアメリカに限ってはTRAPの人気が急上昇中です。それにともなって、TRAPのルーツでもあるHIP HOPが再び勢いを取り戻していると聞きます。

ほんとはR&BやHIP HOPが好きなんだけど、流行だからEDMをプレイしているという、そこのお兄さん、お姉さん、今こそほんとに好きなものに戻るときですよ。

自分のほんとに好きなものを通してしか、心は通い合わないと思うし、良いバイブスは生まれないと僕は思うのです。

EDMは一過性のブームで終わる?

いろんなところで、EDMは一過性のブームで二、三年で終わるという話を聞きますねー。
もちろん日本での話ですけど。

まあ、そこは日本の大資本の皆さんが、その方向で仕掛けたら日本ではそうなる可能性はありますね。
トランスのときみたいに。
日本の音楽シーンはガラパゴスなので。

ただ、トランスのときとは市場(とあえて言ってしまいましょう)規模が違います。
EDCやTomorrowlandには40万人が集まるんですよ。
CoachellaやGlastonburyと比較しても遜色ない規模になっているわけです。
ここまで規模が大きくなったものが、一過性のブームで消えてなくなった事例を、僕はここ25年では少なくとも知りません。
普通に考えると、ロックやヒップホップのように、EDMというジャンルとして定着すると考えるのが自然だと思うわけです。

さらに、ファンもレコード会社やイベンター、CDショップ経由ではなく、ネット経由でダイレクトに情報をつかんでいるので、そこでの情報操作がはたして機能するのかは微妙です。
10年前の方法論が通用するかは、わからないですね。

数日前、NMEがチケット売買サイトViagogoのデータを載せていました。
それによると
The most popular festivals of 2015:
Tomorrowland (Belgium edition)
Coachella (US)
Tomorrowland (Brazil edition)
Sensation (Netherlands edition)
Isle of Wight (UK)
Rock in Rio (Brazil edition)
Stereosonic (Australia)
Rock Am Ring (Germany)
Benicassim (Spain)
Mysteryland (NL edition)

なんだそうです。なんとTomorrowlandはCoachellaより人気あるんですよ。
あくまで数字上の話ですが。

巷ではBig Roomはもう終わりだ、という声もよく聞きますが、じゃあTomorrowlandのメインアリーナでは、DJはこれから何をプレイするのでしょう?
音楽は常に進化しているわけで、人気の上下はあるでしょうが、メインアリーナが存在する限り、Big Roomはなくならないのです。形は変わっても。

昔からハウスやテクノが好きだった人の中にはEDMを毛嫌いする人もいますが、いまはEDMファンがRobin SchulzやDuke Dumontも聴く時代です。そこからダンスミュージック全体が盛り上がるという、ポジティヴな考え方をすべきだと思います。Carl Coxのように。