EDMは一過性のブームで終わる?

いろんなところで、EDMは一過性のブームで二、三年で終わるという話を聞きますねー。
もちろん日本での話ですけど。

まあ、そこは日本の大資本の皆さんが、その方向で仕掛けたら日本ではそうなる可能性はありますね。
トランスのときみたいに。
日本の音楽シーンはガラパゴスなので。

ただ、トランスのときとは市場(とあえて言ってしまいましょう)規模が違います。
EDCやTomorrowlandには40万人が集まるんですよ。
CoachellaやGlastonburyと比較しても遜色ない規模になっているわけです。
ここまで規模が大きくなったものが、一過性のブームで消えてなくなった事例を、僕はここ25年では少なくとも知りません。
普通に考えると、ロックやヒップホップのように、EDMというジャンルとして定着すると考えるのが自然だと思うわけです。

さらに、ファンもレコード会社やイベンター、CDショップ経由ではなく、ネット経由でダイレクトに情報をつかんでいるので、そこでの情報操作がはたして機能するのかは微妙です。
10年前の方法論が通用するかは、わからないですね。

数日前、NMEがチケット売買サイトViagogoのデータを載せていました。
それによると
The most popular festivals of 2015:
Tomorrowland (Belgium edition)
Coachella (US)
Tomorrowland (Brazil edition)
Sensation (Netherlands edition)
Isle of Wight (UK)
Rock in Rio (Brazil edition)
Stereosonic (Australia)
Rock Am Ring (Germany)
Benicassim (Spain)
Mysteryland (NL edition)

なんだそうです。なんとTomorrowlandはCoachellaより人気あるんですよ。
あくまで数字上の話ですが。

巷ではBig Roomはもう終わりだ、という声もよく聞きますが、じゃあTomorrowlandのメインアリーナでは、DJはこれから何をプレイするのでしょう?
音楽は常に進化しているわけで、人気の上下はあるでしょうが、メインアリーナが存在する限り、Big Roomはなくならないのです。形は変わっても。

昔からハウスやテクノが好きだった人の中にはEDMを毛嫌いする人もいますが、いまはEDMファンがRobin SchulzやDuke Dumontも聴く時代です。そこからダンスミュージック全体が盛り上がるという、ポジティヴな考え方をすべきだと思います。Carl Coxのように。

2015年のEDMシーンに思うこと

年が明けましたー!
みんなの2015年が、素晴らしい年となるようお祈りしています。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、僕は2012年から本格的にEDMの普及活動をしてきたわけですが、ちょうど2年の歳月がたったところでUltraがついに上陸して、それまで迷走していた日本でのEDMの方向性も国際標準にフィットしたかのように見えました。

しかし、その見方は残念ながら間違っていたようで、Ultra効果は一月ほどでほぼ消えてしまい、シーンは再び迷走状態に戻ってしまいました。

その背景には、EDMに関しては、日本のクラブシーンが、欧米のシーンと完全に切り離されてしまっていることがあります。

その証拠に、beatportのELECTRO HOUSEやPROGRESSIVE HOUSE CHARTに昨年登場した日本人アーティストは、僕とJapaRoll、それとEDMではありませんが大沢伸一さんだけでした。しかも、リリースは三人とも海外のレーベルからでした。僕はここで自慢話をしたいわけではなく、これが事実なのです。

日本には、CDを何万枚も売る人気DJや、iTunes Japanのダンスチャートを賑わせているプロデューサーがいるかもしれませんが、彼らの名前は海外ではほとんど知られていません。日本のシーンと海外のシーンには接点があまり無く、内容も違いすぎるのです。

これは、良い悪いの話ではなく、日本のシーンが、日本国内だけで完結しているということを意味しています。日本はやはり経済大国で、そのうえ島国なので、そこでは独自の文化が形成されているという見方もできるでしょう。

しかし、僕がここまで熱意を持ってEDMの普及活動をしてこれたのは、その根底にあるPeace,Love,Unity,Respectの精神をみんなに伝えたかったからです。国境はもちろん、人種も性別も超えて、EDMという音楽のもとで、みんながひとつになれる素晴らしい一瞬を味わってもらいたかったからです。それには、やはり日本と海外のEDMシーンの間に境界線はないほうがいいと僕は思うのです。

それで、僕は昨年の12月26日に、Yves V、Justin Prime、Blinders、Hotlifeという4組を呼んで、ageHaさん、DeNAさんの協力のもと、インドア・フェスティバルを企画しました。Ultra Japanが持ってきてくれた、国際標準のヴァイブスを生かしていくために。

結果的に、この日のageHaには、2000人が訪れてくれました。そして、招聘した4人のDJは、僕の期待通りの、PLURなヴァイブスを、その2000人とともにつくってくれました。来てくれたみんな、素晴らしいパフォーマンスをしてくれたDJ陣、そしてそれを陰で支えてくれた日本人DJ陣、スタッフのみんなには感謝の気持ちでいっぱいです。エンディングでは、僕の制作パートナーでもあるHotlifeはもちろん、Yves VやJustin Primeといった大物までが出てきてくれて、イベントを盛り立ててくれました。

僕は自分のライフワークとして、EDMという素晴らしい音楽を通じて、日本のみんな、ひいては世界のみんなにPLURなヴァイブスを伝える力になりたいと思っています。ダンスミュージックの歴史上、最大のムーブメントをサポートしていきたいのです。

日本から世界に通用するプロデューサーやDJが出てきて、Tomorrowlandのメインステージに、誰かが立つことがあってもいいではありませんか?そんな日が来ることを信じて、これからもがんばっていきますので、引き続きおつきあいいただければ幸いです。

2015年元旦
Tomo Hirata

12/26(金)のEDMインドアフェスを前に思うこと

以前、僕は
「日本におけるEDMの流れは、Ultra Japanによって、ほぼほぼ軌道修正されたと思います。」
と書きました。

しかし、残念ながら、その見方はちょっと楽観的過ぎたようです。

日本のクラブには、大量に海外のEDM DJが来日するようになりましたが、EDMがオールジャンル箱の1ジャンル扱いされる状況はあまり変わっていません。むしろVIP箱の、ステータスを示すためのアクセサリーとして利用される傾向が強まったようにさえ見えます。

さらに、Ultra Japanの成功で、EDMへの関心が高まったため、そこを金儲けに利用しようとする有象無象の人々が、プロデューサーでもなければ、それまでEDMに関わってもいなかったDJ、モデル、謎の新人をEDM DJ/アーティストとして売りだそうとするようにさえなりました。日本語で言うと便乗商法、英語で言うjump on the bandwagonですね。

彼らが本当にEDMを愛しているのなら、シーンに新しい登場人物が生まれてくるのは歓迎すべきことです。

しかし、僕には彼らからEDMへの“愛”がまったく感じられないのです。

某日本人トップDJが「トランスの悲劇」という言葉を以前使っていましたが、日本には大きなユーロトランスのシーンは、現在ありませんよね?
海外では、いまだに大人気なのに、なんでこんなことになったかわかりますでしょうか?

便乗商法組が大きな資本を動かしてブームをつくり、本流のトランスの魅力を打ち消してしまったため、トランスのイメージが誤って伝わり、ブームの終焉とともにトランスという素晴らしい音楽も葬り去られてしまったのです。
その間5年もなかったことでしょう。
便乗商法組は、大きな資本を動かしてくるため、本当のミュージック・ラヴァーは、なかなか彼らに勝てないのです。

今回、EDMで同じことが起きてはいけません。

僕は、心からEDMを愛しています。
なぜなら、EDMは人種も国籍も年齢も貧富の差も容姿の違いも越えて、人々をひとつにすることができる音楽だからです。
そのポジティヴなヴァイブスは、Peace,Love,Unity,Respectを、このギスギスした世界で忘れてしまった人々に思い出させるのです。
だから、Tomorrowlandには、オリンピックをも越える200か国以上から40万人をも越える人々が訪れるのです。
彼らは、そのお祭り騒ぎの中で、EDMを楽しみ、人間性を取り戻すのです。

この素晴らしい音楽の本質を、資本主義主導の中で食い物にされてはいけないと僕は信じています。
そして、今の日本のEDMシーンの状況が再び危機的になってきているとも感じています。
Ultra Japanがつくってくれた、本物のEDMに触れるチャンスを誰かがサポートしていかなくてはなりません。

だから、僕はイベントも再び始めて、TOKYO EDM TVで若者たちにEDMの本質を伝えることも始めました。どうなっていくかは未知数ですが、応援いただければ幸いです。