MarshmelloとMoe ShaliziとBass Music

Marshmello & Moe Shalizi Play 'Never Have I Ever' | Billboard

EDMがブレイクしたのは2000年代末~2010年代初めの期間で、’EDM’というのは米語です。それまでの間、’EDM’という言葉を使っているメディアは、ほぼ皆無でした。’EDM’というのは、アメリカの音楽業界が、最近のエレクトロニックなダンス・ミュージックを取りまとめるために作った言葉なのです。ヨーロッパの業界では、いまだに’EDM’という言葉を使いたがらない人も多く、彼らは「EDMってのはアメリカ産のダンスミュージックのことだろ?」なんて冗談を言うほどです。Tiestoも’EDM’ではなく’Electoro House’という言葉をつかうことがあります。

その点で、アメリカ産のエレクトロニック・ダンス・ミュージック、Bass Musicは、実は真正の’EDM’です。世界中どこにいってもSkrillexもmarshmelloもOokayもIlleniumも’EDM’扱いです。日本では最近Bass MusicとEDMを区別しようという謎の動きがみられますが、EDMという大きなくくりの中に、USを中心とするBass Musicとヨーロッパを中心とするHouse系のEDMの二大勢力があるだけです。
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ビッグルームEDMは、なぜ失速したのか?

EDMと言えば、日本でみんながまず思い浮かべるのは’1-2-3-Jump!’の、フェスティバルでアゲまくるための四つ打ちのビッグルーム・サウンドやバウンスではないでしょうか?
ところが、このビッグルーム・サウンド、2016年くらいからDJチャートで人気がなくなったばかりでなく、リリース自体が激減しています。
2017年の夏も、ダンスフェスのメインステージではヘヴィープレイされていたのに、2016年以降なぜ失速してしまったのでしょう?これは実は僕も疑問に思ってましたが、先日ヨーロッパの業界の人と話す機会があり、謎が解けました。以下のような流れなのだそうです。

EDMブーム→
プロデューサーがビッグルーム量産→
ダンスフェスブーム→
音楽自体は買わないが、フェスには行く人たちが増殖→
ビッグルームという音楽自体は(フェスは巨大化しているのに)思ったより売れない→
レコード会社は売れないものは出さない→
プロデューサーは出せないものはつくらない→
ビッグルームのリリースが激減→
かけるものがなくなったDJは他のジャンルをプレイせざるをえない / トップDJは自分の曲だけでセットが組めるようになっているので、それで問題ない→
しかし、その状況でフェスはトップDJに今までのギャラは払えない→
この状況で新進DJはビッグルームDJになろうとは思わない

EDM自体は、ポップフィールドとクロスオーヴァーして、ストリーミングを中心に勢いを増していますが、ビッグルームは、この悪循環を壊さないと復活は難しいのかもしれませんね。それには、まったく新しいビッグルーム・サウンドを誰かが提示しないといけないのかもしれません。まあ、EDM=ビッグルームではないわけで、USではベースミュージックがEDMのサブジャンルでは急伸しています。このへんのお話はまた次回。

*写真はイメージです。
Photo by Matty Adame on Unsplash

Tomorrowland 2017 ライブセットまとめ

Tomorrowland 2017のビデオがひととおりアップされ終わったようなのですが、200本近くあり、TomorrowlandのサイトやYouTubeでは、どの日のどのステージなのかわからず、ジャンルも把握しづらいのでまとめてみました。
日別、ステージ別、時間順になっています。
これらのビデオをチェックすれば、現在のダンスミュージック・シーンがどんな状況なのかわかると思います。

Tomorrowland 2017 WEEK 1

DAY1(7/21)
1週目1日目メインステージ(Carl Cox,Lucas & Steve,Chace,Sunnery James & Ryan Marciano,Jauz,R3hab,Marshmello,Eric Prydz,Tiesto,Axwell Λ Ingrosso,Steve Aoki)
TRANCE ENERGY(TRANCE ENERGYのステージ/トランス)
Monstercat(Monstercatのレーベルステージ/ベース)

DAY2(7/22)
1週目2日目メインステージ(Double Pleasure,Henri PFR,Angemi,Timmy Trumpet,Yves V,Netsky,Armin Van Buuren,Alesso)
Q-DANCE(Q-DANCEのステージ/ハードスタイル&ガバ)
PARADISE(PARADISEのステージ/テック・ハウス&テクノ)
REFUNE(Sebastian Ingrossoのレーベルステージ/EDM)

DAY3(7/23)
1週目3日目メインステージ(King Arthur,Shapov,Yellow Claw,Oliver Heldens,Solomun,LostFrequencies,Steve Angello)
SMASH THE HOUSE(Dimitri Vegas & Like Mikeのレーベルステージ/EDM)
CLAPTONE(CLAPTONEのステージ/ハウス)

Tomorrowland 2017 WEEK 2

DAY1(7/28)
2週目1日目メインステージ(Stereo Killah,Bassjackers,Regi,Martin Solveig,Tchami,Nicky Romero,Afrojack,Axwell Λ Ingrosso)
A STATE OF TRANCE(ARMIN VAN BUURENのレーベルステージ/トランス)
NETSKY & FRIENDS(NETSKYのレーベルステージ/ドラムンベース&ベース)
elrow(elrowのステージ/テック・ハウス&テクノ)

DAY2(7/29)
2週目2日目メインステージ(Dj Licious,Wolfpack,ALOK,Sunnery James & Ryan Marciano,Don Diablo,,W&W,KSHMR,Armin Van Buuren,Dimitri Vegas & Like Mike,Alesso)
AXTONE(AXWELLのレーベルステージ/ハウス)
DIYNAMIC(Solomunのレーベルステージ/ディープ・ハウス)
BARONG FAMILY(Yellow Clawのレーベルステージ/ベースなど)
LOST FREQUENCIES & FRIENDS(LOST FREQUENCIESのレーベルステージ/ハウス)
Trance Addict(トランス)

DAY3(7/30)
2週目3日目メインステージ(Martin Jensen,MATTN,Otto Knows,Robin Schulz,Paul Kalkbrenner,NERVO,David Guetta,Martin Garrix)
HELDEEP (Oliver Heldensのレーベルステージ/ハウス)
SMASH THE HOUSE (Dimitri Vegas & Like Mikeのレーベルステージ/EDM)
ANTS(ANTSのステージ/テック・ハウス)

個人的なTomorrowland 2017の音楽面での感想
1.メインステージでEDM以外が増え始めている。
2.ヘッドライナー格は別として、必ずしもメインステージに最強のラインナップを集めているわけではなく、ビッグルーム向きのアーティストを適材適所に配置している。たとえばdeadmau5はメインステージ向きの音ではない、Timmy Trumpetはトランペットが屋外で映えるといった判断が(おそらく)なされているので、格とは関係がない。実際、FREEDOMステージのほうがにぎわっている時間もあった。
3.テクノ、テック・ハウスが優遇され始めている。これはヨーロッパでのテック・ハウス人気上昇と関係しているはず。節目にさしかかっているのは確実だが、メインステージでビッグルームに代わる音が出てきていない。
4.新設のFREEDOMステージは、屋内&巨大LEDのインパクトもあって、雨がふりがちなTomorrowlandで人気ステージになっている。
5.US Bass系はmarshmello、JAUZ以外は驚くほど人気がない。