以前、僕は
「日本におけるEDMの流れは、Ultra Japanによって、ほぼほぼ軌道修正されたと思います。」
と書きました。
しかし、残念ながら、その見方はちょっと楽観的過ぎたようです。
日本のクラブには、大量に海外のEDM DJが来日するようになりましたが、EDMがオールジャンル箱の1ジャンル扱いされる状況はあまり変わっていません。むしろVIP箱の、ステータスを示すためのアクセサリーとして利用される傾向が強まったようにさえ見えます。
さらに、Ultra Japanの成功で、EDMへの関心が高まったため、そこを金儲けに利用しようとする有象無象の人々が、プロデューサーでもなければ、それまでEDMに関わってもいなかったDJ、モデル、謎の新人をEDM DJ/アーティストとして売りだそうとするようにさえなりました。日本語で言うと便乗商法、英語で言うjump on the bandwagonですね。
彼らが本当にEDMを愛しているのなら、シーンに新しい登場人物が生まれてくるのは歓迎すべきことです。
しかし、僕には彼らからEDMへの“愛”がまったく感じられないのです。
某日本人トップDJが「トランスの悲劇」という言葉を以前使っていましたが、日本には大きなユーロトランスのシーンは、現在ありませんよね?
海外では、いまだに大人気なのに、なんでこんなことになったかわかりますでしょうか?
便乗商法組が大きな資本を動かしてブームをつくり、本流のトランスの魅力を打ち消してしまったため、トランスのイメージが誤って伝わり、ブームの終焉とともにトランスという素晴らしい音楽も葬り去られてしまったのです。
その間5年もなかったことでしょう。
便乗商法組は、大きな資本を動かしてくるため、本当のミュージック・ラヴァーは、なかなか彼らに勝てないのです。
今回、EDMで同じことが起きてはいけません。
僕は、心からEDMを愛しています。
なぜなら、EDMは人種も国籍も年齢も貧富の差も容姿の違いも越えて、人々をひとつにすることができる音楽だからです。
そのポジティヴなヴァイブスは、Peace,Love,Unity,Respectを、このギスギスした世界で忘れてしまった人々に思い出させるのです。
だから、Tomorrowlandには、オリンピックをも越える200か国以上から40万人をも越える人々が訪れるのです。
彼らは、そのお祭り騒ぎの中で、EDMを楽しみ、人間性を取り戻すのです。
この素晴らしい音楽の本質を、資本主義主導の中で食い物にされてはいけないと僕は信じています。
そして、今の日本のEDMシーンの状況が再び危機的になってきているとも感じています。
Ultra Japanがつくってくれた、本物のEDMに触れるチャンスを誰かがサポートしていかなくてはなりません。
だから、僕はイベントも再び始めて、TOKYO EDM TVで若者たちにEDMの本質を伝えることも始めました。どうなっていくかは未知数ですが、応援いただければ幸いです。