クールで力強いボーカルを持ち味とするSakurako、柔和で温かみある歌声のKaedeからなる、新星R&Bシンガー・デュオ、Sweet Licious。2007年に活動をスタートし、クラブでのライブ・パフォーマンスを通じて、人気を獲得してきた注目株だ。正式デビュー前ながら、人気ヒップホップMCユニット、クレンチ&ブリスタのアルバム、『Peace to Lovers & Out Works』に参加したことでも、話題となっている。
ここにご紹介する『Sweet Licious』は、そんなSweet Liciousの記念すべきデビュー・アルバム。Shinnosuke(SOUL’d OUT)、DJ GEORGIA(CLIFF EDGE)、AILI、Ryuichiro Yamaki、Toshikazu Kadono、UTA(Tinyvoice,Production)といった、実力派クリエイターをトラック・メイカーに迎え、バラードからダンス・チューン、エレクトロ・タッチの楽曲まで、バラエティー豊かなサウンドにチャレンジした意欲作だ。Sakurako、Kaedeが綴った歌詞には、女の子が抱くリアルな心情や、女性が根底に持つ強さが描かれている。
Sweet Liciousのパーソナリティーと、デビュー・アルバムに込めた思いを探るべく、SakurakoとKaedeに話を聞いた。
【Sweet Licious 結成のいきさつ】
—―まずは、お二人の音楽的バックグラウンドについて教えてください。
Sakurako「R&Bやヒップホップもそうなんですが、もっとさかのぼると、小学生の頃はずっとJ-POPを聴いていました。だから、J-POPのキャッチーな要素も、自分の軸になっていますね。その後、高校生の頃にAIさんを知って、AIさんのような女性シンガーになりたいと思うようになったんです。そこからクラブに行くようになり、ダンス・ミュージックに興味を持つようになりましたね」
Kaede「私は、中学生ぐらいから洋楽のR&Bを聴くようになりました。その一方で、“みんなで一緒に歌えるような音楽をやりたい”という気持ちもありましたね」
――そんな二人が、Sweet Liciousとして活動することになった、いきさつを教えてください。
Sakurako「クラブ・イベントで、友達を通して紹介してもらったのが、二人の出会ったきっかけでした。お互いそれぞれ、ボイス・トレーニングを受けていたんですけど、ある日お泊まり会をして、一緒に曲をつくってみたのが活動の始まりですね。そこからライブをやるようになり、現在に至っています」
――お二人はもともと、パーティー仲間だったんですね。
Sakurako & Kaede「そうですね」
――結成当初は、ライブを中心に活動していたそうですが、主にどういったイベントに出演していましたか?
Sakurako「ほとんどが、クラブ・イベントでしたね。デイタイムのシンガー・イベントを中心に、深夜のヒップホップ / R&Bパーティーまで、内容は様々でした」
――ライブを重ねていく中で、得たものは何かありましたか?
Sakurako「最初はお客さんが全然いなくて、誰も私たちの曲を知らないという状況からスタートしましたけど、少しずつ曲を口ずさんでくれる人が増えてきて。“みんなで歌えるような曲がつくれたら、もっと楽しいんじゃないかな?”と思うようになりました。そういう経験が、楽曲制作にもプラスの影響を及ぼしましたね」
Kaede「ライブ活動を始めた当初は、“どうすれば上手く歌えるかな?”とか、一方的なことばかり考えていたんですけど、ライブの回数を重ねるうちに、“どうやったらお客さんとつながることができるのか”を、学ぶことができましたね」
【バラードからダンス・チューン、エレクトロまで、多彩なサウンドが詰まったデビュー・アルバム】
――このたび、デビュー・アルバム『Sweet Licious』がリリースされました。自身のユニット名が、そのままアルバム・タイトルになっていますが、ここにはどんな思いを込めたのでしょうか?
Sakurako「まずは、私たちの名前を知ってもらいたいと思い、アルバムもセルフ・タイトルにしました。Sweet Liciousは、“Sweet=女の子の可愛らしさ”と、“Licious=「Delicious」、「Gorgeous」といった大人っぽい女性”のイメージで、二つの単語をくっつけた造語なんです。アルバムも、Sweetな面と、Liciousな面、両方が詰まった内容になっています」
――たしかに本作では、柔らかな雰囲気と、女性ならではの強さという、二つの要素が表現されていますね。
Sakurako「はい。一人の女の子にも、そんな風にいろんな側面があるじゃないですか。それを、Sweet Liciousとして表現したいなと思ったんです」
――その他に、アルバム全体を通してこだわったことはありますか?
Kaede「やっぱり、私たちはライブを数多く重ねてきたので、ライブでお客さんと一緒に歌える、キャッチーな曲をつくりたいと思いました。アルバムの曲をみんなで歌うことで、リスナーにも楽しさを味わってもらえたら嬉しいですね」
――初のアルバム制作を経験した、感想はいかがですか?
Sakurako「インディー時代は二人で曲と詞をつくっていたので、私たちが良しとするものを、そのまま発表していたんです。でも今回は、プロのクリエイターさんと一緒にやらせてもらって、いろんな意見をいただいたので、“それを自分でどう表現するか”ということに、すごく苦労しましたね」
Kaede「アルバムには10曲を収録しましたが、いろんなトラック・メイカーさんにプロデュースしてもらったのもあり、今までやってきたことよりも、バラエティー豊かなサウンドになっています」
――バラードからダンス・チューン、エレクトロ・タッチのものまで、様々なタイプの楽曲に挑戦して、どんな手応えを得ましたか?
Kaede「今まで知らなかった自分が発見できて、新しいサウンドに挑戦する楽しさを実感しました。自分たちのボキャブラリーや歌い方の幅も広がったし、曲によって様々な自分を見せられるよう、もっと勉強していかなきゃとも思いましたね。今後も、ジャンルにとらわれず、いろんな音楽を楽しんでいきたいです」
――また本作には、Shinnosuke(SOUL’d OUT)さん、DJ GEORGIA(CLIFF EDGE)さん、AILIさん、Ryuichiro Yamakiさん、Toshikazu Kadonoさん、UTA(Tinyvoice,Production)さんといった、豪華な顔ぶれがトラック・メイカーとして参加していますね。彼らとの制作はいかがでしたか?
Sakurako「デビュー・アルバムで、これだけの人たちと一緒にできるなんて、思ってもいませんでした。SOUL’d OUTのShinnosukeさんには、「Treasure Heaven」をプロデュースしてもらったんですが、SOUL’d OUTって、“ヒップホップのクールなかっこ良さ”っていうイメージがあるじゃないですか。でもこの曲では、そのスタイルでありつつも、“女の子らしいキラキラ感もある曲にしてほしい”と、お願いしたんです」
――そのほか、クリエイター勢との制作で、印象的だったエピソードは何かありますか?
Sakurako「「キラキラ ☆ LADY feat. Lisa Halim, jyA-Me」では、私たち二人と、Lisa Halim、 jyA-Meちゃん、DJ GEORGIAさんの5人で集まって、どういう曲にしようか相談したんです。私たちのガールズ・トークに、DJ GEORGIAさんも参加してくれたんですけど、DJ GEORGIAさんが一番、恋愛の話で盛り上がっていましたね(笑)」
――そうだったんですね(笑)。
Kaede「あと、AILIさんは、楽曲にも女性らしさが出ているんですけど、服装やヘアスタイルもすごくカワイイんですよ。そんな話で盛り上がりましたね」
――AILIさんのように、楽曲プロデュースやトラック制作まで積極的に行っている女性アーティストって、そう多くはないですよね。そういった点も、刺激になりましたか?
Sakurako「そうですね。私もトラック制作に興味があって、まだ趣味の段階なんですが、打ち込みの曲づくりを家でやっているんですよ。なので、制作も歌も両方やっているAILIさんは、憧れの存在ですね」
Kaede「女性にしか出せないものって、絶対あると思うんですよ。AILIさんにトラックをつくってもらったことで、女の子に共感してもらえる楽曲ができたと思います」
【身近な思いをつづった、温かい歌詞】
――リード曲「夜空のメロディー feat. C」は、切なさ満点のバラードですが、これはどんなテーマの楽曲なのですか?
Sakurako「この曲は、女の子に一緒に歌ってほしいという思いで制作しました。女の子の大部分を占めていることって、恋愛じゃないですか。好きな人がいると、普段しないようなことをしちゃったり、夜空を見上げちゃったりもする(笑)。そんな気持ちをテーマにしています。今、いわゆる“泣き歌”ってたくさんありますけど、「夜空のメロディー feat. C」の歌詞には、古い言い回しや、“帚星(ほうき星)”みたいな、普段使わない単語を取り入れています。ちょっと懐かしいテイストを入れることで、より切ない曲になるんじゃないかと思ったんです。そういった私たちの案を、作詞 / 作曲を手がけてくれたToshikazu Kadonoさんに伝えて、相談しながら制作した曲ですね」
Kaede「好きな人がいると、いつもその人のことを考えちゃうし、会えない時に、“今彼は何をしているんだろう?”とか、“私のことどう思ってるんだろう?”とか思いますよね。そういう思いを、歌で描写したかったんです」
――楽曲のテーマづくりには、お二人も積極的に携わったんですね。
Sakurako「はい。この曲の制作では、“メロディー通りに歌えた!”っていうだけじゃ、メッセージや思いは伝わらない、ということを学びましたね。感情を表現する上で、“この言葉を、どういう人に、どうやって伝えたいのか”を、繰り返し考えました」
――アルバムに先駆けて配信リリースされ、話題となっていた「Destiny」は、生のストリングスを用いた、アルバム・バージョンで収録されていますね。この曲では、Sakurakoさん、Kaedeさんが作詞 / 作曲を手がけていますが、どんなことを大事にして曲づくりをしましたか?
Kaede「私たちの大切な人、全てに贈りたいという思いで制作しました。こうやって歌えるのも、友達や家族、曲を聴いてくれるみんながいるからなので、その気持ちをストレートに表現したかったんです。その思いが伝わりやすいように、メロディーづくりは、かなり試行錯誤しましたね。メロディーと歌詞がマッチしてこそ、心に届く曲になると思うので、そこに一番こだわりました」
――作曲に関して、今後挑戦してみたいことはありますか?
Sakurako「恋愛の切ない曲っていうのももちろんですが、ライブやパーティーで盛り上がれるようなダンス・ミュージックも、力を入れていきたいですね」
Kaede「あとは、男に媚びない強い女性像も、曲で表現していきたいと思っています」
――ところで、本アルバム・ジャケットのケーキは、人気ギャルママ・モデルの、ありっくまさんがプロデュースをしたそうですね。これは、どういう経緯で実現したのですか?
Sakurako「たまたま、ありっくまちゃんのブログを発見したのが始まりだったんです。最初は、“どうして、こんなに人気があるのかな?”って思っていたんですけど、ブログや本で、娘の珠那ちゃんとの生活や、ファンへの思いを赤裸々につづっているのを読んで、“可愛らしさと、女の子の強さ、両方を兼ね備えている女性なんだな”って感じて。それがまさに、私たちのアルバム・コンセプトにリンクしていたので、ケーキのプロデュースをお願いしたんです」
――また、『Sweet Licious』の初回限定盤に付属しているDVDでは、「夜空のメロディー feat. C」のPVが楽しめますね。このビデオの撮影模様についても教えてください。
Sakurako「楽曲ができた時に、“このビデオは、プラネタリウムで撮影したいね!”っていう話になり、それが実現したんです。ビデオにも、ありっくまちゃんが出演しているんですけど、彼女が迫真の演技を見せてくれて、感動しましたね。楽曲の切なさが、映像でも表現できていると思います」
Kaede「ビデオの撮影は初めてだったんですけど、ライブをやってきた経験を、そこで生かすことができましたね。意識しなくても、自分の感情を歌に込めるだけで、表情は自然とできるものなんだなって気づいて、ライブの重要さを改めて実感しました」
――現在は、渋谷のClub atomにて、毎月レギュラー・ライブを行っているそうですね。ライブ・パフォーマンスに関しては、今後どんな部分を磨いていきたいですか?
Kaede「もっともっと、みんなで楽しみたいというのもあるし、ダンスとか、オーディエンスが目で見て楽しめることにも、挑戦していきたいですね」
Sakurako「atomのライブは、平日なのに毎回満員で、すごい盛り上がりなんですよ。その場でしか味わえない空気があるので、私たちが先導を切って盛り上げられるように、もっと頑張りたいです!」
interview & text EMIKO URUSHIBATA
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【アルバム情報】
Sweet Licious
Sweet Licious
(JPN) Venus-B / KING
KICS-91620 [初回限定盤 CD+DVD]
収録曲
CD
01.夜空のメロディー feat. C
02.Destiny (Album Version)
03.Sweet Girl & Delicious Lady ~interlude~
04.Treasure Heaven
05.キラキラ ☆ LADY feat. Lisa Halim, jyA-Me
06.So Scandalous
07. 言えなかった、ありがとう
08. 最後のBye Bye ~outro~
[Bonus Track]
09. サマードリーム peace to Sweet Licious / クレンチ&ブリスタ
10. 初恋 feat. Sweet Licious / R. Yamaki Produce Project
DVD [初回限定盤のみ]
夜空のメロディー feat. C [MUSIC CLIP]
【Live Information】
10/10(日)@ GOOst [WonderGOO 守谷店](茨城)
10/11(月・祝)@ @イオン浜松市野ショッピングセンター セントラルコート (静岡)
10/23 (土) @ 渋谷VUENOS (東京)
10/24(日) @ 二子玉川PINK NOISE (東京)
10/26(火) @ 渋谷Club atom (東京)
【Official Website】
http://www.sweetlicious.jp/
【Official Blog】
http://ameblo.jp/sweetlicious/