Shinichi Osawa + Supabeatz “Cyclone”インタビュー


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世界レベルのDJ/プロデューサーとして知られる大沢伸一と、LOUD誌が共同主宰で立ち上げたデジタル・レーベル、LDK。その第一弾シングルであるCROQUEMONSIEUR「Wild Cat / Tiger」に続くニュー・シングルとして、大沢伸一と、イタリアを拠点にする24歳の新鋭プロデューサー、Supabeatz(スーパービーツ)とのコラボ・トラック、「Cyclone」がリリースされました。現在は、iTunes StorebeatportJuno Downloadで配信されています。

今回、大沢伸一にコラボレーターとして抜擢されたSupabeatzは、2009年に、Franz Ferdinandのリミックス・コンテストで優勝し、一躍脚光を浴びたニューフェイス。それ以降、Mighty Dub KatzやCrookers、Brodinski、Two Door Cinema Clubらのリミックスを手がけているほか、Fatboy SlimのSouthern Fried Recordsから、制作パートナーであるKiethとの共作EP、「Some1 EP」をリリースするなど、引く手あまたの状態です。そんな彼とのコラボで生まれた「Cyclone」は、テクノとフォークロアという最新モードを織り込んだ、起爆力抜群のキラー・エレクトロ・チューンとなっています。

そこで、「Cyclone」の制作背景について、大沢伸一とSupabeatzに話を聞きました。


Shinichi Osawa + Supabeatz

LDK第二弾は、インターナショナルなコラボ・トラック!

【interview with SHINICHI OSAWA】

__Supabeatzとコラボすることになったきっかけは何でしたか?

「まだ、実際彼に会ってはいないんだけど、彼が送ってきてくれたプロモの中に、結構好きな曲があったから、“一緒に何かやってみる?”って連絡したんです。面白いと思った曲は、頻繁にDJで使ってるし、彼が手がけた、Brodinski「Arnold Classics」のリミックスがすごく好きなんですよ。そこからですね」

__「Cyclone」の制作を始める段階で、何かコンセプトなどはありましたか?

「何もなかったですよ。最初にSupabeatzからデータを送ってもらって、それを聴いてから、3時間くらいででき上がりましたね。翌日に少し手直しして、彼に“変えるとこある?”と確認して終わりました」

__そうだったんですね。本作では、大沢さんがソロでは使わないシャッフル・ビートを使っているのが、コラボならではだと思いました。

「シャッフル・ビートは、確かに全然使わないですね。でも今作では、跳ね具合のパーセンテージを、ドラムとシンセ・ブラスで、それぞれ違うものにしたり、いろいろ実験してみました。全部一緒にすると、チャカチャカした、祭り囃子みたいなビートになる気がしたんで。シンセ・ブラスも、正統派なダンス・ミュージックに使うものじゃない音を使いました(笑)」

__シンセ・ブラスは、他の音と混じって、フォークロア風というか、今人気のバルカンものっぽい音になっていますよね。コラボの面白さは、どんなところにあると思いますか?

「やっぱり、裏切りじゃないですか? 特に、顔を合わせないセッションの醍醐味は、いかに相手の予想と違うものを、こちらが返すかにありますね。そもそも、Supabeatzは、事前に「Arnold Classics」が好きだって言ってあったのに、僕が期待していたものと全然違うデモを送ってきましたからね。だったら俺もやり返してやろうと思って(笑)」

__なるほど(笑)。「Cyclone」のクラブでの反応はどうですか?

「ものすごく起爆力があるんですよ。この曲がないとDJセットを組めないくらい大人気で、最近の鉄板になっています。そういう意味でも、今回のコラボは、素晴らしい取り組みになりましたね。コラボ曲って、完成までが早いし、制作工程もシンプルだけど、それでフロアが狂喜乱舞するわけです。そこには、ダンス・ミュージックの醍醐味があると思うんですよね」

__コラボには、ソロとはまた違う面白みがありますよね。

「そうですね。僕は今、一人で作品をつくるより、コラボでやる方が好きですね。人間が頭で意図して構築できる音楽って、もう限界に来てると思うんです。でも、今回のコラボみたいに、自分のコントロールできないところから、アクシデント的に降ってきたものに対してリアクションすることで、自分が元々持っていない、新しいものが生まれるんですよね」

【interview with SUPABEATZ】

__まずは、音楽活動を始めた経緯から教えてください。

「音楽制作は、8年前、16歳のときに始めたんだ。その頃は、たくさんのハウスを聴いて、お気に入りのプロデューサーを研究していたよ。彼らのパターンやグルーヴは、絶えず心の中に流れていたから、自分自身のトラックをつくろうとするのは、かなり自然なことだったよ。そのちょっと後に、Supabeatzを始めたんだ」

__制作面で最も重視していることは何ですか?

「僕は、サウンドの選択が、プロデューサーのキャラクターを決めると思っているんだ。だから、いつも自分特有の印を見つけるようにしているよ。サンプルやビートをカットしたり、エディットしたりして、反復させすぎないようにもしている。あとは、インスピレーションと楽しさに従って、直感的につくっているね」

__なるほど。あなたが大沢さんに送った音源がきっかけで、今回コラボすることになったそうですね。

「僕は、いつもリミックスや作品ができたら、お気に入りのDJやプロデューサーに、プロモ音源を送っているんだ。それを受け取ったシンイチが、“すごく気に入ったよ、何か一緒にやるのもいいね”ってメッセージをくれたんだ。これには驚いたなぁ」

__そうなんですね。「Cyclone」は、どんなサウンドに仕上がりましたか?

「「Cyclone」は、とてもイギリス的で、本当にサイケデリックな曲なんだ。アシッドで、テクノで、スイングで、エレクトロなのさ。全ては、ベースになっているフックの周りを回っていて、5分の間に繰り返され、発展していく。大勢の人が踊りながら手を上げているような状況に、完璧にハマる曲だよ」

__大沢さんとコラボしてみた感想はどうでしたか?

「僕はシンイチのビッグ・ファンなんだ! 彼は、自身のフィールドで威光を放っているし、近年の僕にとって、偉大なインスピレーション源なんだ。僕は、MONDO GROSSOをリスペクトしているし、シンイチの最新アルバム『SO2』や、彼が手がけたリミックスは、どれも素晴らしい作品ばかりだ。そんな彼と仕事ができて、すごく楽しかったよ」

__「Cyclone」は、あなたの名前が日本で知られるきっかけになりそうですね。最後に、今後の活動予定を教えてください。

「11月に、Kiethとつくった新しいEPが、Southern Friedから出るよ。あと、同レーベルの年間コンピに、僕の「Pancho」が収録される予定なんだ。今は、Giggs & Shola Ama、Tony Senghore、2 Bearsのリミックスを制作しているよ。今後は、面白いフィーチャーがたくさん入ったアルバムをつくってみたいな。あと、日本に行って、シンイチに会うのも楽しみだよ。WOMBでプレイするのを、いつも夢見ていたしね!」

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【楽曲情報】

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SHINICHI OSAWA + SUPABEATZ
Cyclone
(JPN) LDK/LDK002
Juno Downloadbeatportで配信中。


tracklist
1. Cyclone (original mix)
2. Cyclone (Tomo Hirata dub)

【PARTY INFORMATION】
12/25(SAT) THE YES @ WOMB
OPEN: 23:00
DOOR : ¥4000 W/F ¥3500 MEMBER ¥3000
MUSIC: ELECTRO, TECHNO

RESIDENT: SHINICHI OSAWA
GUEST: SUPABEATZ (SOUTHERN FRIED RECORDS)
LINE UP: MASATOSHI UEMURA, TECHRIDERS
BOMBYX LOUNGE: BOMBYX (BOMBYX SOUND), SC14 (BEAT RESPECT), HEALTHY GOOD BADBOY (GR8), SHINGO (PARTY TUNE), VODKATRONIC (BLACKOUT), NACCHO, TMRIK

【LINK】
http://www.shinichi-osawa.com
http://www.myspace.com/djsupabeatz

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