昨年、初のベスト・アルバム『19972007』と、通算7作目となるニュー・アルバム『TO THE LOVELESS』を発表し、全国17ヶ所をまわる初のライブハウス・ツアーと、全国5都市をまわるアリーナ~ホール・ツアーを行った人気エレクトロ・ロック・アクト、BOOM BOOM SATELLITES。彼らが、そのツアー・ファイナルとして、10月2日に幕張イベントホールで開催したライブの模様を捉えた、初のライブCD+DVD作品『EXPERIENCED』を2月23日にリリースします。
気になるその内容は、圧倒的なスケールを感じさせる音世界と、臨場感あふれるパフォーマンスをダイレクトに収めたもの。彼らのライブ・アクトとしての魅力を凝縮した、好作品となっています。
ここでは、そんな本作『EXPERIENCED』の内容と、記念碑的一夜となった当日のライブについて、中野雅之と川島道行の二人に話を聞きました。
BOOM BOOM SATELLITES
幕張での一夜を余すことなく捉えた、初のライブCD+DVD作品をリリース!
__昨年BOOM BOOM SATELLITESは、6月からライブハウス・ツアー<JAPAN TOUR 2010 1st STAGE>を、そして夏フェスをはさんで、9月からアリーナ・ツアー<JAPAN TOUR 2010 2nd STAGE>を行いましたが、いかがでしたか?
中野雅之「<1st STAGE>も<2nd STAGE>も、すごい充実したツアーでしたね。僕らとしては、ここ何年かのうちで一番本数の多いツアーになったんですけど、悪いライブは一つもなかったと思います。ライブハウスでのライブは、特に新鮮でした」
__昨年は、ツアーを通じてオーディエンスと直接触れ合う機会が多かったわけですが、その中で改めて感じたことは、何かありましたか?
中野「やっぱり、求められている感覚というのが、ダイレクトに伝わってきましたね。なんで、僕らもそういう場所をもっと大事にしていきたいって、改めて思いました。仮にCDの売り上げがなくなったとしても、音楽を聴きたい、共有したいと思っている人達は絶対的にいるんだなって、勇気づけられたというか。何より、楽しかったですしね」
川島道行「いつものツアーでは、いわゆる主要都市と呼ばれる大きな街をまわっていたわけですけど、去年のツアーでは、それ以外の街、まだ行ったことのない街に、同じツアー・クルーと共にバンに乗って行ったんで、いつも以上に直接手で音楽を届けているような感覚がありましたね。そして、いろんなことを吸収できる機会に恵まれたと思います。やっぱり、ライブをやる機会を多く持つと、日々、誰に音楽を届けているのかというモチベーションが高まりますし、否が応でも鍛えられますから。だから、ツアーというものは、自分にとってすごく大事な経験になってますし、これからもっと重要性が増していくような気がしてます」
__では、この度リリースされる初のライブCD+DVD『EXPERIENCED』について教えてください。今作は、昨年10月2日に幕張イベントホールで開催された、<JAPAN TOUR 2010 2nd STAGE -Final->の模様を収録した内容になっていますが、ツアー・ファイナルを幕張でやろうという計画自体は、いつ頃から温めていたんですか?
中野「一昨年くらい前から、何となく考えていたと思います。新しいアルバムを出す段階になると、必然的に“じゃあ、ライブはどうしよう?”って話になりますからね。で、僕は、個人的にスタジオコーストが好きなんですけど、そこだと、どうしてもツアー・ファイナル2日間みたいな形になってしまうし、かといってZEPPとかだと代わり映えがしないし…ということで、意外とハコがなくて困っちゃってたんですよ。日本武道館も、もういろんなアーティストがやってますしね。それで、自分達的にちょっと面白いことを打ち出せる場所を探していた時、ダフト・パンクのオープニング・アクトをやった時の印象で、幕張イベントホールを思いついたんです」
__なるほど。幕張イベントホールの規模になると、ステージ演出の重要性もより高くなっていくかと思いますが、そういったことも自分達で綿密に準備していったんですか?
中野「そうですね。でも、綿密じゃない方だったんじゃないかと思います(笑)。けっこう突貫工事的で、ギリギリまで何も決まりませんでしたから。映像の制作がスタートしたのも、1ヶ月前くらいでしたからね。だから、よくできたなって感じかもしれません。危なかった(笑)」
__当日は、映像演出はもちろん、移動式のせり出しステージが印象的でした。このアイディアも、ギリギリで決まったんですか?
中野「そうですね。いろんなアイディアがあったんですけど、僕らの希望は、ステージが動くということではなくて、ああいう会場であっても、オーディエンスに近い位置で演奏したい、ということでしたね。で、その希望をクリアするアイディアとして、移動式のステージが出てきたんです。センター・ステージでやろうという案もあったんですけど、最終的にあの形になりました。あのステージは、面白かったですよ」
__川島さんの希望は、どのようなものだったんですか?
川島「スケジュール面での希望をちょっと出したくらいで、ステージ・セットに対しての異論は全くなかったです。お客さん目線のステージでいいな、と」
__当日のライブで、一番心に残ってることは何ですか?
中野「せっかくの幕張だからパーフェクトにやりたい、と思ってたんですけど、やっぱりライブなんで、トラブルもあればミスもありましたね。自分達しか気づかないような、小さなことかもしれませんけど。なんで、ツアー・ファイナルでも、完全というものにはたどり着けなかったなぁという印象が、まずあります。でも、それが次に向けての原動力になるんですけどね。もし、日々ああいいう会場でツアーをしていたら、もっと違っていたのかもしれない。やっぱり、結構緊張しましたから。“すごいステージが揺れるなぁ…”とか(笑)」
川島「半年以上かけて、かなりの本数をやってきたツアーだったんですけど、ファイナルの幕張に立った時は、やっぱりあの日だけの感覚、気持ちになりましたね。このツアーで経験してきたことを、ここでフルに出し切りたいとか、いろいろ思うことがありました。でも、何度もやってきた曲なのに、思い通りにいかない部分があったりして、そういう瞬間瞬間を一番よく覚えていますよ」
__お二人とも、上手くいかなかった部分の方が、記憶に残っているんですね。
中野「…なぜ、そんなライブを作品としてリリースするのか?(笑)」
川島「ハハハ」
__当日会場で観させてもらいましたが、ツアー・ファイナルに相応しい、正にビッグなライブでしたよ。話を戻しますが、このライブをCD+DVD化するにあたって、特に意識したことは何でしたか?
中野「やっぱり、リアルな感じを出したかったですね。あの日のライブに対してネガティヴに思うことって、挙げたらいくらでもあるし、逆に良かったこともあるんですけど、それを脚色しないで出したかったですね。ライブ・バンドとしての佇まいが、ちゃんと伝わる内容にしたかった。なんで、ライブ本編の流れを変えたくなかったんですけど、CDの方は収録時間が限られているんで、多少削りました。あとは、ファンが喜んでくれるんじゃないかということで、ライブでしかやってこなかった「DIG THE NEW BREED」を初音源化しました。DVDの方は、カメラの位置など、かなり細かくやりとりしたんで、あまり観たことのない作品になっていると思います」
__そうですね。ちなみに当日、カメラは全部で何台入れたんですか?
中野「25~30台って聞いているんですけど、大掛かりなクレーンとかレールは使わず、全部ハンディー・カメラで撮ったんですよ。大きな会場で、あえて手持ちカメラを使うというのは、重要なコンセプトでしたね。人が持って動くカメラがステージ上に入っていく映像って、ライブDVDではあんまり観られないと思うんですよ。ライブの最中に、バンド・メンバーじゃない人がステージ上にいることになりますから。でも、そこはあえて積極的に入ってきてもらって、DVDを観ている人が、ステージ上にいる気分になれるような臨場感、緊張感を出したかったんです」
__実際に完成したDVDを観てみて、当日のライブの様子はいかがですか?
中野「一回しかちゃんと観てないですけど、これまでに出してきたライブDVDよりも、納得いくところまで自分達で手を入れられたこともあったせいか、比較的ユーザー目線で観ることができましたね。それでも、自分が映っている映像を観るというのは、だいぶ自虐的な気持ちになりますけど(笑)」
__お二人の考える、今作の聴きどころ、観どころはどこでしょうか?
中野「やっぱりライブ本編の流れですね。特に「TO THE LOVELES」「STAY」「FOGBOUND」「RISE AND FALL」の流れは、好きです。ここのストーリー性は、聴きごたえ、観ごたえがあると思います。ライブをやっている時から好きな流れでしたし」
川島「DVDに方に関しては、作品全編に渡って展開されるカット割りと、そのタイミングから得られるライブ感というものを、ぜひ楽しんでもらいたいですね」
中野「こういう作品の場合、カット割りのテンポ感って、どうしてもミュージシャンの方が分かっちゃっているところがあるんで、今回は監督と一緒に、その部分もかなり詰めていったんですよ」
__では最後に、今後の活動予定を教えてください。
中野「ここ5~6年は、休む間もなくリリースとライブを繰り返してきたんで、ちょっと腰を据えて、次にやるべきことを考えたいと思ってます。今年は、スケジュールをまだあんまり入れてないんですけど、その感じが、今はすごく気持ちいいですね(笑)」
interview & text Fuminori Taniue
【アルバム情報】
BOOM BOOM SATELLITES
EXPERIENCED
(JPN) SONY/gr8! / SRCP428~429(CD+DVD)
2/23発売
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tracklisting
DISC 1 – CD
01 BACK ON MY FEET
02 MORNING AFTER
03 DRAIN
04 UNDERTAKER
05 TO THE LOVELESS
06 STAY
07 FOGBOUND
08 RISE AND FALL
09 KICK IT OUT
10 DIG THE NEW BREED
DISC 2 – DVD
01 BACK ON MY FEET
02 MORNING AFTER
03 DRAIN
04 UNDERTAKER
05 TO THE LOVELESS
06 STAY
07 FOGBOUND
08 RISE AND FALL
09 KICK IT OUT
10 LOCK ME OUT
11 DIVE FOR YOU
12 DRESS LIKE AN ANGEL
【オフィシャルサイト】
http://www.bbs-net.com/
http://www.bbs-smoj.com/