120 Days『120 Days II』インタビュー


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オドネ・マイスフィヨル(Vo/G/Keys)、ヒェティル・オーヴェセン(Synth)、アルネ・ストイ・クヴァルヴィーク(Dr/Effects)、ヨーナス・ダール(B)からなる、ノルウェー出身の4人組ロック・バンド、120デイズ(120 Days:ワンハンドレッド・トゥエンティー・デイズ)。メンバー全員が幼なじみで、’01年の頃にバンド活動を始めたという彼らは、’06年にリリースしたファースト・アルバム『120 DAYS ~神秘と幻想の120日間~』(日本でのリリースは’07年)で、一躍世界的に知られる存在となった逸材です。ここ日本でも、サマーソニック07、アンダーワールドがキュレーターを務めたOblivion Ballで来日し、そのサイケデリックかつダンサブルなサウンドを披露して話題を集めました。

そんな彼らが、前作から約5年ぶりとなるニュー・アルバム『120 DAYS II』をリリースしました。先行リリースした「Osaka」を筆頭に、前作以上にエレクトロニックかつダンサブルなビート、そして神秘的かつ幻想的な音響世界を構築している注目作です。

ここでは、その大きく音楽的成長を遂げた『120 DAYS II』の内容について、メンバーのオドネに話を聞きました。


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120 DAYS『120 DAYS II』インタビュー

__最新アルバム『120 DAYS II』は、前作のファースト・アルバム『120 DAYS 〜神秘と幻想の120日間〜』をリリースしてから、約5年という時間を空けてのリリースとなりましたね。この5年間は、バンドにとってどのような意味を持つ時間となりましたか?

「ファースト・アルバムのツアーを終えたあと、少し休んだ方がいいってみんな思ったんだ。あまりにも長い間くっつきあって生活していて、正直、ずっと同じ顔を眺めているのにウンザリしてきていた、っていうかね。恋愛の倦怠期と同じような感じになっていたんだよ。それで、ちょっと他の顔を眺めたりする時間を取った方がいいんじゃないか、ってことになった。そうしてこの期間、メンバー全員が別のバンドでプレイしたりツアーしたりして、ミュージシャンとして成長できたことで、新しいアイディアを120デイズ持ち帰ってくることができた、というわけなんだ」

__5年間の内で、バンドにとって重要だった出来事やエピソードって何でしょう?

「日本に行けたことは、一番大きな出来事の一つだったよ。ノルウェーの文化とは全く違う、素晴らしい文化を経験できたのは良かったね。本当に、また日本に行ってプレイしたいと思ってる。その他としては、ノルウェーのグラミー賞を受賞したり、シカゴでパーティーしたりしたことかな。数えきれないほど楽しいエピソードがあったけど…東京でアンダーワールド、ジ・オーブ、アンドリュー・ウェザーオールらと一緒にプレイしたことは、たぶん僕らが経験してきた出来事の中でも、一番クールだったと思うよ。2万人もの最高なオーディエンスも、その経験をさらに素晴らしいものにしてくれた」

__今作のリリースに先立ち、あなた達はClub Modレーベルの第一弾として「Osaka」を発表しましたが、この曲はどのようにして誕生したものですか? 大阪という街の、どんな部分が印象的だったんでしょうか。

「僕らは実際、大阪で素晴らしい時間を過ごしたんだけど、内容についての解釈は、各リスナーに委ねることにするよ。あまり多くを語り過ぎると、この曲の持つ不思議な魅力や謎を、取りあげてしまうことになりかねないからね」

__分かりました。では『120 DAYS II』について教えてください。今作の曲づくりとレコーディングは、具体的にはいつ頃から始めたんでしょうか?

「4年前に一回途中で放り投げてしまったセッションがあったんだけど、このアルバムを完成させるためのセッションが実際に始まったのは、2年くらい前だったね。で、4年前のセッションではまとめることができなかったアイディアも、この新しいセッションでいくつか使われたから、そのことを考えると、4年前から作業していたアルバムってことになるかもしれないけど」

__制作を進めていく中で、アルバムのテーマやコンセプトといったものは、何かありましたか?

「ツアー中から、少しずつアイディアは溜めていたんだ。それは曲ってわけじゃなくて、メロディーのフックとか、漠然としたムードとか、ちょっとしたパーツみたいな、自分たちが面白いと思った要素をね。で、レコーディングを始める時に、それまで溜めきたアイディアを持ち出して、一つずつ積み上げていったんだけど、そうしているうちに、次第にこのアルバムの輪郭が明らかになっていったよ。それは、相変わらず120デイズらしいサウンドではあるんだけど、いくつかの新しい音楽的影響が反映されたものになったと思うね」

__それは、どういった要素ですか?

「例えば、ドローンをベースにした音楽でありながら、音楽的調和を保つ構造を進化させて、新しい方法でプレイしてみたり…っていうようなものとかね。全く違うタイプの音楽…アリス・コルトレーンとアンダーグラウンド系の音楽を一緒に聴いていたようなことも、新しいサウンドをつくる上でのヒントになったんじゃないかな。それに、あまりあからさまには感じられないと思うけど、ワーグナーのオペラ作品で聴かれるような長いメロディーラインなんかにも、影響を受けていると思う」

__なるほど。結果的に今作では、サイケデリック・ミュージック色もエレクトロニック・ダンス・ミュージック色も共にアップした、新たな音世界を披露していますね。曲づくりで特に重視したことは何でしたか?

「実際のところ、一番大事だったのは、僕ら4人がスタジオに集まってジャムを始めて、やっとアルバムをつくるタイミングが来たってことを、心から感じられたことだったよ。アルバムを完成させるまでには、乗り越えなければいけない小さな課題がいくつもあったけどね。120デイズが曲を完成させるまでの作業って、いつだって進化し続ける実験みたいなものなんだよ。いつも曲づくりの過程で何かが起こるから、最初とは全く違う曲が完成する可能性を秘めている。ミックスをしている時だって、そういうことは起こるんだ。だから、マスターができ上がるまで、ソングライティングは終わらない。僕らにとって、こういう遊びのある、何に対してもオープンなアプローチは、音楽をつくる上でいつも一番大事な一面だね。それが120デイズの音楽を特別なものにしている要素の一つだと思っている」

__今作は、あなた達のセルフ・スタジオでつくり上げたものだそうですが、サウンドメイキング面で重視したことは何でしたか?

「シンセサイザーやエコー・ユニットのノブを延々と回し続けて、コレだって思える音を探したことかな。新しいシンセや機材をいくつか入手したんだけど、今回はそれがすごく役に立った。だから、たくさん新しい音の冒険を試してるよ!それに、面白いセッションをたくさんこなしたしね。ドアを閉める音みたいな自然音も、いくつか録音したし。僕らにとってサウンド・メイキングとは、終わることのない神秘的なプロセスだね。それが、時には全く思いもよらなかった場所に、僕らを連れて行ってくれることもあるから」

__ちなみに、そもそもエレクトロニックなテイストにより強く魅力を感じるようになったきっかけは、何だったのでしょうか?

「ゆっくりと、自然にこういう形に発展していったんだ。ファースト・アルバムの後、僕らはたくさんクラビングをして、より踊りやすい音楽をつくりたいって思うようになった。だから、このアルバムでできた音楽っていうのは、これまで同様ロックからの影響をたくさん感じられる、ダーティーな要素を残しながらも、よりビート重視で、明らかにトランス・ミュージックの影響を受けた音になったと思う。それは例えば、ものすごい数のクラウドが神とシンクロしながら踊っているような雰囲気があるような…というかね」

__今作の聴きどころの一つとなっている組曲形式の「Lucid Dreams Part 1-Part 3」は、どのようなアイディアから誕生した曲ですか?

「今、本当にルシッド・ドリーム(明晰夢:睡眠中に、夢を見ていると自覚しながら見る夢のこと)にハマってるんだよね。このアルバムの多くのインスピレーションは、夢に由来しているんだ。で、この曲に関しては、もともと“Part 2”と“Part 3”をミックスした形で、1曲にまとめようとしていたものなんだ。でもレコーディングの過程で、結局2つに分けることになって、“Part 2”をポップに、“Part 3”をインストにした。で、“Part 1”は、後から付け加えたよ。家でギターを弾いて遊んでいたときに思いついたものなんだけど、アルバムに入っているイントロ部分のほとんどは、実はラップトップの内蔵マイクだけで録音されたものなんだ」

__ところで、今作のアルバムのアートワークは、黒色だった前作をそのまま反転させた、白色を基調としたものになっていますね。これには何か意図やこだわりがありますか?

「ジャケットはシンプルにしておきたい、ってだけのことさ」

__分かりました。では最後に、120デイズの次なる活動目標を教えてください。

「ずっと変わらないよ。自分たちの音楽を発展させ続けて、それでどこまで進んでいけるのかチャレンジし続けていくことだね!」

translation Nanami Nakatani
interview Fuminori Taniue


【リリース情報】

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120 DAYS
120 DAYS II
(JPN) TRAFFIC/P-VINE / PCDT-48
11月2日発売
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tracklisting
01 Spacedoubt
02 Dahle Disco
03 Lucid Dreams – Part I
04 Lucid Dreams – Part II
05 Lucid Dreams – Part III
06 Sleepless Nights #4
07 Sunkissed
08 SF
09 Osaka
10 Osaka (Bloksberg Remix) [Bonus Track for Japan]

【オフィシャルサイト】
http://trafficjpn.com/120days
http://www.facebook.com/120days

【VIDEO】

Club Mod 001: 120 Days – Osaka from Modular People on Vimeo.

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