2007年1月に結成され、いまやクラブ・シーンからポップ・リスナーまで、多くの人々から支持を獲得している、次世代エレクトロ・ユニット、80kidz。DJユニットとして活動をスタートし、自主制作で発表した二枚のミックスCDや、リミックス・ワークで注目を集めた彼らは、2008年に12インチ・シングル『Disdrive EP』、初のCD作品『Life Begins At Eighty』をリリース、両作品が評判となり、クリエイターとしても頭角を現している。2009年には、ファースト・アルバム『This Is My Shit』をスマッシュ・ヒットさせ大ブレイク、その人気を確実なものとした。また、海外アーティストとも親交が厚く、これまでに、The Shoes、tHe pEneLOpe[s]、Black Kidsなどの楽曲リミックスを担当。autoKratz、Lovefoxxx(CSS)とは、コラボレート曲も発表している。最近では、DJギグに加え、バンド編成でのライブも行っており、
ここにご紹介する『Weekend Warrior』は、そんな80kidzが放つ、約1年半ぶりとなるニュー・アルバム。ギターを前面に押し出した、バンド的なエレクトロ・トラックから、アシッド・サウンド、インディー・ポップ / チルウェイヴの要素までをも飲み込み、エレクトロの固定概念に縛られない、新しいサウンドを提示した意欲作だ。ボイス・サンプル以外は歌を用いず、インスト・トラックのみで構成されている点も、話題となっている。
80kidzの新たなフェイズを示すアルバム、『Weekend Warrior』。その制作背景に迫るべく、メンバーのAli&とJunに話を聞いた。
__前作『THIS IS MY SHIT』のリリースで、80kidzは大きな躍進を遂げましたが、ご本人としてはどんな手応えを感じていましたか? p>
Ali&「それまでは、まだクラブ・ミュージック・シーンだけでの認知度だった。でも『THIS IS MY SHIT』のリリース以降は、様々なジャンルのリスナーに、自分たちの音楽を手に取ってもらえたから、ロックが好きな人も、僕らのギグ / DJに足を運んでくれるようになったと思います。でも、まだ手応え的なものは感じていないですね」
Jun「自分でも信じられないほど、いろいろな経験をさせてもらいましたが、どんなこともステップを経てのことだったので、それほど驚くようなことはなかったですね。僕が音楽をやる、もしくは音楽ができる、なんて思っていなかった周りの人も、徐々に評価してくれるようになったのは嬉しかったです」
__そこから現在までの約1年半で、80kidzとしての音楽性やマインド、方向性に何か変化はありましたか? p>
Ali&「基本の部分は変わらないんだけど、ひたすら歪んでるサウンドには飽きてきましたね。その楽曲に歪む必要性があれば歪ませる、必要性が無ければ歪ませないようになりました。あとは、リスナーをそこまで意識しなくなった。逆に自分達の本質を、意識しだしたかな。音楽性に関しては、僕個人としてはテクノ再考と、静けさの中に潜む攻撃性とか、そんな感じ」
Jun「時代性として、エレクトロというジャンルが、アーティストそれぞれの原点に回帰する方向で進化 / 細分化している中で、僕らも純粋にそうなっただけかな」
__そんな変化を経て発表されたニュー・アルバム、『Weekend Warrior』は、どんな音楽的コンセプトで制作したのでしょうか? p>
Ali&「自分達の起源でもあるシンセ・リードを押して、ボーカル曲を入れないことが重要でした。わかりやすいメロディーなんだけど、アンサンブルに関しては結構練りましたね。あとは、エレクトロクラッシュとか、エレクトロ初期の音づくりかな。6月にリリースしたEP『Spoiled Boy』も、初期のエレクトロクラッシュとマンチェスターがコンセプトだったし。それと、『Weekend Warrior』では、TB-303とかTR-808の音を多用しています。あとは、OVER2010感。2010年から先を見据えて制作しました」
Jun「まあ、もともとコンセプトを元にはつくっていなくて、制作過程で“これはアリ、ナシ”というのを選択していくことで方向性が決まり、コンセプトが見えてくる感じでしたね」
__本作には、ギターを前面に押し出したバンド的なエレクトロ・サウンドから、アシッド・トラック、インディー・ポップ / チルウェイヴの要素がうかがえるものなど、これまでの80kidzサウンドから、さらに進化した楽曲が詰まっている印象を受けました。 p>
Ali&「僕は、アシッドとかテック・ハウスはもともと結構好きだったんだけど、上手く80kidzの音に落とし込めるタイミングないかなーって思っていたんです。ちょうど世界の流れ的にも、アシッドやテック・ハウスで面白い曲が結構出てきたんで、今回取り入れてみました」
Jun「ビート感に興味があって、いろいろと試しています。試していく中での流れとして、多少ユルい曲もアルバムには収録していますね」
__ここ数年、クラブ・ミュージックからポップスまで様々なフィールドで、“エレクトロ”というスタイルを掲げるアーティストが、一気に増えた感があります。そんな中80kidzは、初期からエレクトロにフォーカスしており、巷では、その代表格と言われることも多々あったかと思いますが、今作ではそこから脱却し、次なるサウンドを追求したいという意識もありましたか? p>
Ali&「あまりそこまでは考えてないけど、でも80kidzっていうプロダクトは、その時代を僕らなりの解釈で、80kidzのフィルターを通してアウトプットしているものだから、このアルバムには、次なるエッジーな要素もあるとは思う。あまりにもストイックな内容のアルバムも、つくろうと思えばできるんだけど、あえてそれはしていないかも。ティーンエージャーが僕らの音を聴いて、そこから細分化して、いろんなジャンルを聴いてもらいたいなーと。もともと、エレクトロって括り自体が曖昧なものだったから、最近は単純に、“エレクトロ!”って言いづらい部分も出てきてるからね」
Jun「エレクトロから脱却…うんぬんとかは、考えてないけど。いわゆる“エレクトロ”っていうバキバキした音は、僕らももうほとんど聴いていないから、そういう曲をつくりたいとは思わなかった」
__アップデートした音楽性を見せるというのは、とても挑戦的なことに思えます。そういった点で、試行錯誤したことは何かありますか? p>
Ali&「まったく無理はしていないです。自分達は雑食で音楽を聴いてきたし、今もそう。自分達のアーカイブをもとに、80kidzの音をアップデートしているのかは、わからないけど、挑戦ではなくて、むしろ必然で自然なことだったんです」
Jun「僕たちが興味を持っている範疇を、80kidzというフィルターを通して、アウトプットしただけかな。いろいろ試すことは実験みたいで楽しいし、そういう過程はあまり疲れない。逆に、無理して過去の音を模索する方が疲れますね」
__なるほど。アルバムの全体像を決定づける、きっかけとなった楽曲はどれでしょうか? p>
Ali&「EPでリリースした、「Spoiled Boy」と「Blow」を制作した直後に、アルバムの全体像が見えました。『Spoiled Boy EP』を出した時には、もうアルバムのデモが上がっていて、“さあ、これからどうしよう?”って感じだったんだけど、あのEPを出したことで逆に、“EPの路線とは、違うことをしよう”って、無意識に思い始めたんです。もう、好きにやっちゃえ的な」
Jun「アルバムの楽曲だと、「Agenda」や「Weak Point」は、僕がデモをつくったんですが、それを収録することが決まった時に、ちょっと気持ちがラクになりました。この2曲は80kidzっぽくないから、“Ali&君やマネージャーから、ダメが出るかな?”って思っていましたからね…。でも、そこまでスタイルの幅を広げてもいいんだなって感じました」
アルバム情報
01. NAUTILAS
02. VOICE(REWORK)
03. RED STAR
04. PRISMA
05. FLOW WITH IT
06. I WISH
07. AGENDA
08. CZERNY 13
09. WEAK POINT
10. PRIVATE BEATS
11. SPECTACLE
12. WHEN YOU SEE
13. TWO POCKETS
14. FADED PINK
15. WEEKEND WARRIOR
【Party Information】
11/5(金)@ WAREHOUSE702(東京)[DJ]
with The Shoes / BREMEN / TA-1
11/12(金)@ LONDON(UK)[LIVE]
12/3(金)@ 名村造船所跡地(大阪)[DJ]
12/7(火)@ SHIBUYA O-EAST(東京)[LIVE]
with The Mirraz / avengers in sci-fi
80kidz WEEKEND WARRIOR TOUR ’11
2011/1/18(火)@ BIG CAT(大阪)
2011/1/19(水) @ 名古屋CLUB QUATTRO(愛知)
2011/1/21(金)@ LIQUIDROOM(東京)
【Official Website】
http://80kidz.net/