Editors『The Weight of Your Love』インタビュー/全曲試聴


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2002年にイギリスのバーミンガムで結成されたロック・バンド、Editors(エディターズ)。2005年にデビュー・アルバム『The Back Room』をリリースすると、そのポスト・パンク〜ゴス的なダークさとエッジを有した音楽性が評判となり、全英チャート2位を記録。マーキュリー・プライズにもノミネートされ、一躍トップ・アーティストの仲間入りを果たした人気バンドです。続くセカンド・アルバム『An End Has a Start』(’07)、サード・アルバム『‪In This Light and on This Evening‬』(’09)は、それぞれ全英チャート1位を記録。確固たる地位を確立しています。

そんなEditorsが、通算4作目となるニュー・アルバム『The Weight of Your Love』(ザ・ウェイト・オブ・ユア・ラヴ)をリリースしました。前作までギターを担当していたクリスの脱退を経て、トム(Tom: Vo/G)、ラッセル(Russell: B)、エド(Edward: Dr)、そして新メンバーのジャスティン (Justin: G)、エリオット (Elliott: Keys/Synth)の5人編成で制作された本作。プロデューサーにキングス・オブ・レオンらとの仕事で知られるジャックワイア・キング、ミックスにアークティック・モンキーズらとの仕事で知られるクレイグ・シルヴィーを起用したその内容は、Editorsらしい音楽性はそのままに、これまでとはひと味もふた味も違うギター・ロック・サウンド、バラエティー豊かな楽曲群が詰った注目作となっています。

ここでは、本作『The Weight of Your Love』の内容について、先日Hostess Club Weekenderで約6年ぶりに来日を果たしたEditorsのメンバー、エドとジャスティンに話を聞きました。なおEditorsは、本作の全曲試聴も現在実施中です。この機会にぜひチェックしてみてください。


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Editors『The Weight of Your Love』インタビュー

__新作『The Weight of Your Love』のリリース、おめでとうございます。

Edward「ありがとう」

__今作はバンドとして新たな変化、進展を経てのアルバムとなっていますね。まずは、ジャスティンが新メンバーとして加入した経緯について教えてください。

Justin「もちろん、もともとEditorsのことは以前から知っていて、僕が以前在籍していたバンドで、Editorsと共演したこともあったんだ。もう10年近く前になるんだけどね。まぁ、その時は直接顔をあわすような関係じゃなかったけど(笑)。あと、僕はEditorsの前作『‪In This Light and on This Evening‬』(’09)をプロデュースしたフラッド(Flood)と知り合いだから、なんとなくつながりはあったんだ。それで、クリスがバンドから脱退することになった時、僕に声がかかったんだよね。当初は、何本か決まっていたギグのヘルプとして加入したんだけど」

__なるほど。

J「でも、気付いたら一緒に曲を書いていて、そのままバンドに残ることになった。そして今に至るんだ(笑)。自然の流れだったよ」

__オーディションなどを行ったわけではなかったんですね。

E「ハハハ、そうだね。やってないよ(笑)。フラッドと友達だったことが、大きかったんじゃないかな。実は今回のアルバムは、またフラッドと一緒に制作するつもりでスタートしたんだ。で、そのプロセスの中で、ジャスティンの名前が挙がっていたんだよ。結局、その後フラッドではなく、ジャックワイア・キングと制作することになったんだけど」
J「他の名前も挙がってたんじゃないの?(笑)」
E「いや、僕の知る限り、ジャスティン以外はあたってないよ(笑)。ジャスティンは、知れば知るほど風変わりなヤツで、味があって好きだね。曲を覚えるのもがんばってやってくれるし、面白い曲のアイディアもいっぱい持ってるんだ。そういったアイディアは、もちろんこのアルバムで活かされているよ」

__新編成での曲づくりは、率直にいかがでしたか?

E「間違いなくバンドのケミストリーが変化したと思う。僕を含めたオリジナル・メンバーの三人も、みんな若返った感じがしたよ。自分達がやっていることに対して、ポジティブな気持ちになれたんだ。というのも、ジャスティンとエリオットが入る前は、何かおかしいのか分からなんだけど、バンドとしてどうも上手くいかないってムードがあったんだよね。でも、彼ら新たに入ったことでコミュニケーションもスムーズになって、まるでダークな日々から解放されたような…」
J「オレがバンドを救い上げたのかい?(笑)」
E「そうだね(笑)。確かに救い上げてくれたような気はするよ。で、今はバンドとしてのまとまりも出てきたような感じなんだ」

__最終的に今作は、プロデューサーにジャックワイア・キングを迎え、ナッシュビルでレコーディングした作品となりましたね。彼をプロデューサーに起用した経緯や理由は何だったのでしょうか?

E「まず、今回はギターを中心にしたアルバムにしたかったんだ。前作はテクノロジーを多用したサウンドのアルバムだったけど、今回はその後のアルバムだということもあって、もうちょっとロック・バンドに戻りたい、シンプルな形で音づくりをしたい、って思っていたんだよね。で、いろいろとプロデューサーを調べていく中で、ジャックワイアが手がけてきたカタログの音を聴いて、今回はこういう音がいいじゃないかってことになったんだ」

__ナッシュビルでのレコーディングはジャックワイア・キングが提案したそうですが、初の海外レコーディングはいかがでしたか?

J「ナッシュビルは、ジャックワイア・キングのホームだからね。で、僕らの側も、今回はアメリカに行きたいっていう気持ちがあったと思う。ナッシュビルとまでは考えてなかったけど、一度アメリカでレコーディングしてみたかったんだ」
E「そうだね。ロンドンとかイギリスのスタジオで作業すると、どうしても私生活と切り離せなくなっていくからね。ジャックワイアがメインで使っているそのナッシュビルのスタジオは、実際に行ってみたらとても居心地が良くて、気持ち良く作業ができたよ。完全に、レコーディングのみに集中できた。毎日、メンバー全員で車に乗って、スタジオに通う途中、まずはコーヒーショップに立ち寄って、コーヒーを飲みながらちょっと話をして、それからスタジオに行ってガンガン作業をして…という繰り返しだったよ」
J「日々、生産的だったね。やることがなくてつまらいとか作業が停滞するとかってことは、一日もなかったと思う。ちょっと上手くいかないことが出てくると、それはちょっと置いてといて次ぎにいこう、って感じだったから。どんどん先に先にと作業を進めていったんだ。とてもプロフェッショナルな感じだったね」

__楽曲自体も、サウンドの方向性も、ナッシュビルに行く前にほぼでき上がっていたんですか?

J「ほぼでき上がっていたね。もちろんナッシュビルで手直しした部分はあったけど、アルバムのだいたいの内容も、バンドとしてやりたいことも、行く前にほとんどイメージできていたよ。レコーディング前の段階でかなり楽曲を仕上げていたし、レコーディングに入ってからもさらに微調整をして、かれこれ一年近くかけて今作のサウンドを完成させた感じさ。ギターが僕になったことで、その音のパレットやスタイルは、当然これまでのEditorsとは違う雰囲気になっていると思う」
E「このアルバムのミックスは、クレイグ・シルヴィがやってくれたんだ。で、クレイグ・シルヴィとジャックワイア・キングのコンビネーションがもたらす音、というものがあるんだよね。だからこのアルバムには、この二人だからこそ出せた音、この二人にしか出せない独特のサウンドというものも実現されていると思う」

__分かりました。今作のアルバム・タイトルは“The Weight of Your Love”ですが、サウンド面や楽曲面の他に、アルバムのテーマやコンセプトとしてはどのようなものがありましたか?

E「“The Weight of Your Love”という言葉の響きが、このアルバムのサウンドと歌の内容にとてもピッタリくると思ったんだ。今回はこのタイトルが、アルバムにある様々な側面を物語ってくれているような気がする。音も歌の内容も、このアルバムにはとてもヘヴィなものからエモーショナルなものまで入っているんだけど、最終的には、そういった要素を全て網羅した“love”でまとめられる内容だと思う。このアルバムは、様々な愛の形を網羅した作品になっているんじゃないかな」
J「うん、いい説明だね。“The Weight of Your Love”は、アルバムにあるそういった要素を上手く表現できているタイトルだよ」

__では、シングル曲の「A Ton of Love」は、どのようにして誕生した曲ですか?

J「この曲は、あっという間に書けたんだ。渋谷(タワーレコード渋谷店)でやったアコースティック・ライブみたいなノリで弾いてたら、コード進行ができ上がって、メロディーができてね。楽曲を仕上げるにあたっては、あとはイントロの部分とか、どんな弾き方でやればいいのかを考える程度だったよ」

__今作の中で、現段階であなた達自身が特に気に入っている楽曲は何になりますか?

J「僕は「Two Hearted Spider」だね。ライブで弾いていても楽しいから、この曲は間違いなく僕のフェィヴァリットだよ」
E「僕は「The Phone Book」かな。とてもシンプルで、これまでのEditorsからしたら異質な曲かもしれないね。でも、かなり危険な要素をはらんだ曲になっていて、例えばライブでテンポをちょっと間違っちゃったりすると、すぐにバラバラに崩壊してしまうような曲なんだよね」
J「そうだね」
E「僕は、この曲のそこが好きなんだ(笑)。ともかく、今回はバラエティ豊かな曲が揃っているから、これからのライブ、ツアーが楽しみさ」

photo: Matt Spalding
interview: iLOUD


【リリース情報】

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Editors
The Weight of Your Love
(JPN) PIAS/Hostess / PIASR661CDJ (HSE-30305)
6月26日 日本先行発売
※ボーナストラック3曲/歌詞対訳/ライナーノーツ付 
HMVでチェック

tracklist
01. The Weight
02. Sugar
03. A Ton Of Love
04. What Is This Thing Called Love
05. Honesty
06. Nothing
07. Formaldehyde
08. Hyena
09. Two Hearted Spider
10. The Phone Book
11. Bird Of Prey
12. The Sting *
13. A Ton Of Love (Acoustic) *
14. Formaldehyde (Acoustic) *
*日本盤ボーナストラック

【アルバム全曲試聴】
http://hostess.co.jp/news/2013/06/002606.html

【VIDEO】
Hostess Sessions filmed by SLEEPERS FILM
会場:タワーレコード渋谷店


【オフィシャルサイト】
http://www.editorsofficial.com/
http://hostess.co.jp/

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