英レスターシャー出身のインディー・バンド、カイト(Kyte)。2007年にデビューして以来、その叙情性あふれるサウンドとメロディーで話題を集め、ここ日本ではツアーやフェスティバルでのライブ・パフォーマンスも手伝い、本国に先行する形で人気を獲得。コンスタントに作品を発表してきた存在です。
そんなカイトが、前作『Dead Wave』から約2年ぶりとなるオリジナル・アルバム、『Love To Be Lost』(ラヴ・トゥ・ビー・ロスト)を6/27にリリースします。Nick Moon、Tom Lowe、Scott Hislopの3ピース編成で取り組んだ初作品となる本作。ウィーザーやデスキャブ・フォー・キューティーとの仕事で知られるジョン・グッドマンソンをプロデューサーに迎え、彼のシアトルにあるスタジオでレコーディングした注目作です。
ここでは、本作『Love To Be Lost』の内容について、そのお披露目公演のため5月に来日を果たしたカイトのメンバー3人に話を聞きました。
Kyte『Love To Be Lost』インタビュー
__最新作『Love To Be Lost』の完成、おめでとうございます。『Dead Wave』以来約2年ぶりとなりますが、制作はいつ頃スタートしたんですか?
トム「2年くらい前から徐々に作業をすすめてきたよ。デモ段階まで僕の自宅で作業して、それを持ち出して外のスタジオでレコーディングしたのが、今年の4月だった」
__レコーディングは、プロデューサーにジョン・グッドマンソンを迎え、シアトルで行ったそうですね。
ニック「以前から一緒に作品をつくりたいと思っていたジョン・グッドマンソンはシアトルに住んでいるから、そこに行ってレコーディングすることにしたんだ」
トム「ジョンは、僕らが好きな素晴らしいアーティストのアルバムをたくさん手がけてきたからね。デス・キャブ・フォー・キューティーとか、ブロンド・レッドヘッドとか、ロス・キャンペシーノス! とか…」
スコット「ナダ・サーフとかね」
トム「そうそう。デモを送ったら、僕らのサウンドを気に入ってくれてね。それで今回は、ジョン・グッドマンソンのいるシアトルのスタジオに行くことにしたわけさ」
__実際のレコーディングはいかがでしたか?
トム「ジョンは気さくで、一緒にいてとても過ごしやすい人物で、レコーディング中は四人目のメンバーみたいな感じだったよ。とても良い時間を過ごせた」
ニック「面白いアイディアをいっぱい持ってたよね」
スコット「レコーデォング・スタジオの隣にバスケットコートがあったんだけど、そのコートにドラムをセットして、スタジオの窓を開けてそのドラム音をレコーディングしたりとか、面白いこともいろいろやった」
__『Love To Be Lost』は通算4作目のアルバムとなりますが、作品全体のテーマ、コンセプトはどのようなものだったんですか?
トム「特にこれと言ったコンセプトはなかったんだけど、プロダクション面、サウンド面で何か新しいことをやりたい、という気持ちは強かったよ。よりバンドらしいサウンドを目指したかったんだ。ジョン・グッドマンソンは、デモを聴いた段階で、僕らがどういう方向性に持っていきたいと思っているのかをすぐ解ってくれたから、適任だったと思う」
__今作では、よりスケール感の大きい音世界が印象的だと感じました。具体的にはどのようなサウンドを完成させたかったのでしょうか?
トム「よりオーガニックなサウンドを際立たせたかったね。あとは、ライブを通じて僕らも成長を遂げてきたから、そういった部分でよりライブのサウンドに近いアルバムにしたいとも思っていたよ」
__あなた達の特徴の一つでもあるエレクトロニック~シンセ・サウンドの要素に関しては、いかがですか?
トム「エレクトロニックな部分に関しても、徐々にいろんなことを学んで、自分でも成長してきていると感じているから、アルバムにはもちろんそういった部分も反映されているはずさ。よりオリジナルなサウンドをつくりたいと思っていたから、自分でイチから音をつくり出して、それを打ち込みする時に使ってみたりとかね。一方、グランドビアノやオルガンの音に関しては、今回は本物の生楽器を使ってレコーディングしたから、聴いた時の印象がこれまでとは違うと思う」
__正にオーガニックなサウンド、ですもんね。タイトル曲の「Love To Be Lost」は、どのようにして誕生した曲ですか? この曲が、言わば今作全体のリード役になった感じなのでしょうか。
ニック「「Love To Be Lost」に対しての思いは、メンバーそれぞれ違うと思うな」
トム「そうだね。僕にとっては、確かにアルバムの突破口になったというか…他の曲とつないでくれているような曲かもしれない。それで、この曲名をアルバム・タイトルにもしたんだ」
__今回ライブ会場で配った「Friend of a Friend」は、どのようにして誕生した曲ですか?
トム「この曲は、印象的なアルペジオのパートからつくり始めて、徐々に楽曲に発展していったんだけど、ベースとなるトラックができた段階でニックに送って、ボーカル・メロディーをつくってもらった感じかな。結果的には、’80年代っぽい雰囲気のある曲になったと思う。スタジオで生ギター、生ドラムを入れたら、すごく楽曲として成長したね」
__ちなみに、今作の中であなた達が個人的に特に満足している楽曲は、どれですか?
ニック「どの曲も気に入っているんだけど、僕は「Scratches」かな。デモ段階から気に入っていた曲なんだけど、この曲もスタジオでギターやドラムを入れたらより良くなったね」
トム「僕は…「Breaking Bones」。スタジオに入ってから一番変化した曲だと思う。スローで、なんというか…ゴシックな気持ちになるような雰囲気が気に入ってるんだ」
スコット「僕は「You & I」だね。壮大なオルカンやドラムのサウンドが気に入ってるよ。自分の家でもよく聴いているくらいさ」
__ところで、先ほどバスケットコートでドラム録りしたエピソードを教えてくれましたが、ジョン・グッドマンソンとの作業で一番印象に残っていることは何ですか?
ニック「僕らはおバカ同士だから、ジョンのスタジオでもいつもふざけ合って、イタズラしたり変な言葉使いで話たりしてたんだけど、ジョンもそれにいちいち付き合ってくれたよ。ジョンもプリティーなヤツだったね(笑)」
スコット「僕らの音楽はとてもシリアスで、音楽と向かい合う時もいつもシリアスだから、普段の生活や暮らしまでシリアスだと、本当に重く暗い気持ちになってしまう(笑)。だからユーモアを忘れないようにしているんだ」
トム「寝起きするスペースもスタジオにある環境だったから、本当に家で過ごしているような感じだったんだ。犬と遊んだりとか、そんな感じで」
__最後に、今後の活動目標を教えてください。
ニック「まずは各国でアルバムをリリースして、その後はツアーだね。秋くらいにはまた日本に戻ってこれたらいいなって思ってるよ」
interview iLOUD
【リリース情報】
Kyte
Love To Be Lost
(JPN) Hostess / HSE60106
6月27日日本先行発売
HMVでチェック
tracklisting
01. Love To Be Lost
02. You & I
03. Breaking Bones
04. Almost Life
05. Friend Of A Friend (featuring Alessi’s Ark)
06. Every Night Mare
07. Over, After
08. September 5th
09. Aerials
10. Half Alone
11. Scratches
12. Blood Anger
13. Hopes And Twisted Dreams (ボーナストラック)
14. Somewhere Else Inside Your Head (featuring Alessi’s Ark) (ボーナストラック)
【全曲試聴】
http://hostess.co.jp/news/2012/06/001822.html
【オフィシャルサイト】
http://hostess.co.jp/
http://www.facebook.com/kyteband