LDK第三弾、Croquemonsieur「Moroccantea」インタビュー


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トップDJ/プロデューサーとして活躍する大沢伸一と、本誌LOUDが共同主宰で立ち上げたデジタル・レーベル、LDK。その第三弾リリースに、大沢伸一の変名プロジェクト、CROQUEMONSIEUR(クロックムッシュ)の新曲「MOROCCANTEA」が決定し、本日iTunes Storeでの配信がスタートしました。

LDKからこれまでに発表してきたCROQUEMONSIEUR「WILD CAT / TIGER」(LDK001)、Shinichi Osawa + Supabeatz「Cyclone」(LDK002)同様、既存のジャンルに囚われないアイディアが詰まった本作。そのサウンドは、大沢伸一らしいセンスが光る、斬新なものとなっています。

そこでLOUDでは、大沢伸一本人に、今作「MOROCCANTEA」の内容について聞いてみました。


CROQUEMONSIEUR

LDK第三弾リリースは、大沢伸一の変名プロジェクトによる、
エキゾチックでトリッピーなエレクトロニック・クラブ・トラック

__LDKレーベル第三弾となるCROQUEMONSIEUR「MOROCCANTEA」は、昨年10月に、既にSoundCloudでデモをプレビュー公開していた曲になりますね。

「そうですね。つくろうと思ってつくった曲ではなく、スケッチしていたらそのまま曲になったんで、デモをネット上で公開してみたら、なかなか評判が良かったんですよ。で、DJでもプレイしてみたら、必ずしも爆発するようなタイプのトラックではないんですけど、現場での評判も良いんで、何かの形で出したいなって思っていたものですね。その際、自分の名義用として温存しておくよりは、LDKで早く出したいと思いまして」

__なるほど。それで、LDKからCROQUEMONSIEUR名義で出すことにしたんですね。曲のスケッチをはじめたきっかけは、何だったんですか?

「ラウンド・テーブル・ナイツ(Round Table Knights)の「Calypso」という、DJでよく使っている曲があるんですけど、そのままプレイするにはちょっと弱いんで、上村君(上村真俊:OFF THE ROCKER/bonjour records)が、“この曲、ちょっと使えるようにしませんか?”って言い出して、僕がちょちょいと20〜30分でエディットしたんですよ。ただ、そのつくり直した「Calypso」をかけたいのに、つなげてプレイできるトラックがなかったんですね。で、自分でつくってみようと思ったのが、「MOROCCANTEA」になったんです」

__「MOROCCANTEA」は、もともと「Calypso」をプレイするためのつなぎ用、ブリッジ用のトラックだったんですか。とてもDJ的な発想から生まれたトラックなんですね。

「そうなんです。それが意外と良くできたので、出したいな、と。だから、今でも「Calypso」と「MOROCCANTEA」は、セットでかけることが多いですよ」

__“MOROCCANTEA”とは、モロッコ茶のことですが…。

「タイトルに、深い意味はないですよ(笑)。でも、Sugar Bytesというメーカーから出ている、ステップシーケンサーのプラグイン・ソフトをいじっている時に、このちょっとエキゾチックなフレーズが出てきて、それがモトになっていますかね。僕は、もともとフォークロアな音楽が好きですし、モロッコ茶も好きなんですよ」

__ちなみに、モロッコ茶は、どんな味なんですか?

「ミントティーみたいな感じですね。小さくて細いカップに、砂糖をたくさん入れて飲むんですよ。モロッコって暑い所だから、糖分を補給して、体力を維持するために飲むみたいですね。美味しいですよ。モロッコ茶を飲みながら、水パイプを吸って…そんなイメージです」

__正にエキゾチックですね。

「SoundCloudにアップしたデモに対するレビューやコメントも面白くて、“前半はすごく統合失調症的で、聴いていて悩むけど、後半の圧倒的なアッパー具合は大好き”とか書いてありましたね(笑)。確かに、言わんとしていることは分かるんですけど、それを言い出すと、それこそトルコ音楽とか中東の音楽って、全部、聴いているとなんか不安になるような、気持ち悪くなる音階が含まれてるでしょ? インド料理屋さんで何かご飯食べている最中に、“あ、いま食べたらいけないもの食べてしまったんじゃないかな?”みたいな、シュワ〜ンって感じるような音階があるというかね(笑)」

__ナチュラル・トランスって感じですね(笑)。話を戻しますが、「MOROCCANTEA」の曲づくりに関しては、LDKの第一弾リリース、CROQUEMONSIEUR「WIKD CAT / TIGER」と同様、何か鍵盤や音色を弾いてつくったものじゃなかった、ということですね。

「ええ。いつもよりも、さらにアブストラクトなつくり方をしましたね。ステップシーケンサーを使って音楽をつくる人って、ダンス・ミュージックの世界では、今あんまりいないと思うんですよ。やっぱり自分で鍵盤を弾いたりしてると思う。そのステップシーケンサーもね、使い方自体が難しいんですよ。でも、みんながちょっと敬遠するようなところにこそヒントがあるというか、それを使うと、実際に人と違う音になるでしょ。そういう意味で、無理めなことにトライアルをしているんですよ」

__こういったアブストラクトなアプローチには、まだまだ可能性がありますか?

「余地はあると思ってます。ただ、なかなか曲には、なっていかないかな。やっぱり、そういうアプローチで一曲の歌を構成していくのは、難しいですから。だからこそ、ダンス・ミュージックに落とし込んでいっているんですけどね。なんで、こういった実験的なものは、LDKから出していきたいと思ってますよ」

__ダンス・ミュージックのフォーマットの方が、実験的なことをやりやすいですか?

「僕は、そう思いますけどね。ダンス・ミュージックの方が、偶然生まれるものが多いというか、ダンス・ミュージックは、“ああいうことやろう、こういうことやろう”って思って取り組むと、結局何かに似てしまうでしょ。だから「MOROCCANTEA」のように、ある種デタラメな発想から曲づくりを始めた方が、面白いものができると思うんですよ」

__では最後に、今後のLDKのリリース・プランを教えてください。

「OFF THE ROCKERのトラック、ナカ君という大阪出身のクリエイターがつくった作品なんかを、出していきたいと考えてます。1ヶ月に1タイトルずつでも、コンスタントにリリースしていければ、と思っているんですけどねえ」

interview LOUD Magazine


【リリース情報】

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CROQUEMONSIEUR
MOROCCANTEA
(JPN) LDK / LDK003
※デジタル・リリースで配信中
iTunes Store
beatport
Juno Download

【オフィシャルサイト】
http://www.l-dk.com/

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