ジャスティスやDJメディなど、ユニークなクリエイターを数多く抱えるフレンチ・エレクトロ・レーベル、Ed Banger。ニュー・エレクトロ・シーンの牽引役として世界的に注目を集めている彼らが、7月9日に第三弾となるコンピレーション『Ed Rec vol.3』をリリースします。というわけでLOUDでは、Ed Bangerを支える名物オーナー、ペドロ・ウィンター(ビジーP)に、本作の話を聞きました。誌面の関係上、本誌(LOUD163号)では掲載しきれなかったインタビューですよ! 早速どうぞ。
→PEDRO WINTER(BUSY P)・インタビューを読む
――『Ed Rec Vol.3』のリリースおめでとうございます! Ed Bangerの筋が一本ビシッと通った、クールなコンピレーション・アルバムですね。改めて、エド・バンガーの活動スタンスを教えてください。
「これはレーベル運営のカギになる秘密なんだけど、実は僕にはポリシーってないんだよ(笑)。基本的にはアーティストをすごく信頼してるし、アーティストも僕を信頼してくれている。それで彼らがやりたいことを、何でもやってもらってるだけなんだ。みんなが自由に自分たちのつくりたい音楽をつくってる。もちろん、それで何をリリースするかって決定するのは僕だけど、基本的にアーティストには自由でいてもらってるんだよ。楽しんでつくってもらわなきゃ、意味がないから」
――Ed Bangerは、あなたの下にキャラクターの濃いジャスティスやアッフィーをはじめとしたアーティストたちが集まっていて、その連帯感やコミュニティー感も魅力となっていますね。
「うん、確かに僕らは“エド・バンガー・ファミリー”みたいなものになってるよ。パリは小さな街で、僕らはみんなパリに住んでいるから、よく一緒に集まったり、お互いに声を掛け合ったりしている。旅をする時も仲間と一緒のことが多いしね。いつも楽しい時間を共有してるんだよ。だからこそ、このレーベルにはファミリー的スピリットがあるんだ」
――本作『Ed Rec Vol.3』はもちろん、Ed Bangerのリリースしてきた作品には、エレクトロやオールドスクール・ヒップホップを中心に、ディスコ、ロック、テクノ、’80sポップなど、様々な音楽へのリスペクトが感じられますね。リリースするアイテムの音楽性については、どんなポリシーをお持ちですか?
「基本的には、どんな音楽だっていい。ロックだっていいし、ヒップホップだって好きだし。ひとつのジャンルに留まり続ける気はまったくないね。今はエレクトロニックがほとんどだけど、できる限りいろんな可能性にオープンでいたいと思っているよ」
――じゃあ例えば、“どうやってこのアーティストはすごいアーティストになるぞ”とか、見分けていますか?
「そういうことって、一切考えないんだ。ビッグなアーティストになるかどうかなんて、誰にも分からないものだからね。あまり考えずに、ただ“いいな”って感じることが大事なんだ」
――誰かに恋する時の気持ちと同じですかね(笑)?
「そう、まさにその通りだよ。そういう風にリリースしていきたいね。好きだからリリースするってこと以外に、あまり理由を考えたくない。上手くいったら嬉しいし、上手くいかなければそれまでのこと、ってだけさ。音楽で大儲けしようなんて、そもそも思ってないし」
――では『Ed Rec Vol.3』について教えてください。すべて未発表曲ですが、どれも新たに書かれた曲なんですか?
「うん、そうなんだ。音楽を常にフレッシュなものにしていきたいからね。新しい音に。いろんなジャンルの音楽を織り交ぜながら、Ed Bangerから新しい時代の新しい音楽を提案していきたいんだよ」
――今作の中で、日本のDJやファンにオススメしたい曲、アーティストを教えて下さい。
「アルバムの最後の曲、デカルコマニアの「So Me」って曲かな。これはクラブ向きのキラー・チューンだと思う。あとは、フィーズとスパンク・ロックが共作した「Back it Up」もすごい曲だよ」
――Ed Bangerの今後の活動予定を教えてください。
「今、いくつかアルバムをつくっているんだ。ミスター・オワゾーのアルバムが秋に出るんだけど、これはもう僕自身待ちきれない作品だね。それから、アッフィーのファースト・アルバムと、セバスチャンのベスト・リミックス・コンピレーションの企画もある。とりあえず、この三作は年内にリリースする予定さ。あとは、世界中でDJイベントの予定が入っていて、ジャスティスがサマソニで日本に行くよ!」
――最後に、日本のキッズへメッセージをお願いします!
「2008年のサウンドを楽しんでほしい。日本のファンには、本当に感謝してるよ。初期の頃から僕らに注目してくれていたからね。また日本でイベントをするのを楽しみにしているよ!」
interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
translation NANAMI NAKATANI
本編は、LOUD163号で