デビュー・アルバム『Myths Of The Near Future』がUKアルバム・チャートの2位を記録、大きな話題となっているクラクソンズ。最新シングル「Golden Skans」もトップ10入りを果たし、順風満帆です。“ニュー・レイヴの旗手”として知られている彼らですが、意外や意外なコメントが…
ー昨年から今年にかけて、クラクソンズは一つのムーブメントを生み出したバンドとして注目されていましたね。そんな中、ついにデビュー・アルバムが完成しました。今、どのような心境ですか?
「すごくエキサイティングだね!アルバムを聴いた人達からの反応もいい。最近は、ずっと取材でアルバムの“話”ばっかりしてるよ。ビジネスだから仕方ないけど・・・音楽業界ってヘンだよね(笑)。アルバムがリリースされて、やっと肝心の音をみんなに聴いてもらえるようになったから嬉しいよ。みんなが気にいってくれることを願うばかりだね」
ークラクソンズのブリーピーなロック・サウンドや享楽的な歌詞は、どのような物事からインスピレーションを得て書いているのでしょうか?
「歌詞を書いているのは俺とジェイミーなんだ。二人で一緒に歌詞を決めていくこともあるし、1曲の歌詞を1行ずつ交互に書いていくこともある。一人がメインの歌詞、もう一人がコーラスっていう風に書くこともあるな。毎回やり方は変わるんだ。インスピレーションね・・・、そうだね、日々道端で見かけること、あと本とかその作家の人生から影響を受けることが多いな。ウィリアム・バロウズとか。物事を全然違う視点で見ることや、日常の中に混在している奇妙なことに目を向けるっていう意味でね。何だってインスピレーションになるんだよ。ネズミとか一切れのチーズとかヘアブラシだって(笑)」
ー本作に漂っている暗いムードは、若者の荒れて切ない青春時代を表現しているかのようで、素敵だなと思いました。アルバム全体にテーマやコンセプトがありましたら、教えてください。
「特定の時間、空間、時代とかを象徴しないアルバムにしたかったんだ。いつ聴いても決まった時代や日付を連想させない、そして現実世界には存在しないものがテーマだったね」
ーシミアン・モバイル・ディスコがアルバムのプロデュースを手掛けたことによって、クラクソンズのサウンドには、どのような変化がもたらされましたか?
「ジェームスはとんでもなくすごい人だよ。彼は独特の空気感をアルバムに吹き込んでくれた。雰囲気作りの達人だよね。彼が持つサウンドへの影響力やアプローチは職人技の域に達していたな。彼は、僕らの音楽観を察しながら、新しいサウンドに導いてくれた。レコーディングの時も決して批判的になりすぎなかったよ。俺達の意見をきちんと聞いて考慮してくれたから、彼にかかると上手くいかないアイディアはないって感じだった」
ー10年前にヒットしているグレースの「Not Over Yet」をカヴァーしたのはなぜでしょうか?
「俺達全員が、あの光り輝くポップ・ソングを聴いて育ったファンだからだよ。大好きな90年代初期のダンス・ミュージック・スピリットを感じるあの曲で、オリジナルなことをやりたいと思ったんだ。カヴァーをやるなら特別なことをしないと意味がないと思ったから、最初は色々と試行錯誤したな」
ーかなりブリーピーでパンキッシュなカヴァーになりましたね。原曲と比べてみて、感想はいかがですか?
「意外とアルバムに似合う曲になったと思う。アルバムの全体像を意識してあの曲を聴くと、なんかしっくりくるんだ。出来上がりには満足だよ。原曲を越えるのは本当に難しいことだけど、俺達らしい個性的なサウンドになったから嬉しいよ」
ー原曲のプロデューサーはポール・オークンフォールドですが、オーキーは好きですか?(笑)
「当時は彼の作品をわりと聴いていたけど、最近フォローしてないな。彼の作品の中にはすごく面白いものもあると思うけどね」
ー話し飽きたと思うのですが、ニュー・レイヴについて質問させてください(笑)。あなたたちはニュ-・レイヴ・ムーヴメントの第一人者ですが、“ニュー・レイヴ”についてどのように考えていますか?
「実際には何も起こっていないし、革命なんか存在しないよ。期待を裏切って申し訳ないね・・・。知らない人はニュー・レイヴを聴ける場所があるって信じているみたいだけど、そういうリアルなものじゃないんだ。俺達の出したレコードが初のニュー・レイヴ作品だったらしいけど、別にレイヴみたいな音じゃなかったしね。俺も混乱しているんだよ。ジェイミーが“ニュー・レイヴ”っていう言葉を使ったのは、エレクトロ・クラッシュやニュー・ロックに対する、皮肉をこめたジョークのつもりだったのに、知らない間に言葉が一人歩きしちゃったんだ。笑っちゃうよね」
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