‘00年代後半から盛り上がりを見せ、現在でもその勢いが衰えないフレンチ・エレクトロ・シーン。その大看板と言えば、間違いなくジャスティスの名前が挙がるでしょうが、彼らを生んだEd Banger Recordsには、他にも優れた才能が生息しています。その筆頭格と言えるセバスチャンのコメントを、ここではご紹介しましょう。
SEBASTIAN
ジャスティスを生んだEd Banger期待の
フレンチ・エレクトロ・アーティスト
セバスチャンは、音楽をつくり始めたきっかけについて、こう語る。
「僕は音楽に囲まれた環境で生まれ育った。兄のNoel Akochote (有名ジャズ・ミュージシャン)は、僕が小さかった頃から、かなり変わったものを聴きに連れまわしてくれた。だから、僕が音楽をつくり始めたのは、極めて自然なことだった。14歳の時には、コンピューターを使って、いろいろいじり始めていたよ。当時は宅録カルチャーが出てきたばかりの頃で、手段は限られていたけど、何とか音楽をつくり始めるようになったんだ」
それからしばらくたって’05年、『Smoking Kills(?)』、『H.A.L』という二枚のEP、ダフト・パンク「Human After All」のリミックスで一躍注目を集めるようになった彼が、満を持して発表したデビュー・アルバムが『TOTAL』だ。新作では、シングル曲「エンボディ」、メイヤー・ホーソーンをフィーチャーした「ラヴ・イン・モーション」などで、これまでになかったポップなアプローチを見ることもできる。
「この4年ずっと使ってきた激しいビートを使ったやり方は、なるべく避けたかった。何か新しいもの、ポップみたいなものを試したかった。僕はアルバムというものを、自身を完璧に定義づけする作品を集めた結果とは捉えてない。どちらかというと、やりたいプロジェクトの一つとして考えている。他の多くのアーティストと同じく、僕はこの作品を一つの“区切り”として認識している。ここ一年か二年の間に、たぶん僕は違ったことをやったり、違うスタイルを試したりしていると思う。僕のインスピレーションの源は一筋ではない。それにまた、ここにあるトラックには、ミュージシャンとしての純粋な欲求よりも、その時使用可能だったソフトウェアを使おうとか、その時の流行を再現しようという欲求が出ていると思う。だから、よりソフトなものを作ろうというのは、決して意識的な決定ではなかった。クリエイティブの過程は複雑でもあり、自分がなぜああいった曲を思いついたのか、本当に分からないときもある。もしかすると、単に女の子たちが踊れるレコードを作りたかっただけかも知れない…」
M.I.A.やジャスティスのギャスパール・オジェをフィーチャーした楽曲も収録されている『TOTAL』は、実に多彩な作品だ。フレンチ・エレクトロのファンならずとも、ぜひ一度手にとってみて欲しい。
photo JEAN BAPTISTE MONDINO
text TOMO HIRATA
【アルバム情報】
SEBASTIAN
TOTAL
(JPN) WARNER / WPCR-14134
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【LIVE INFORMATION】
SUMMER SONIC 2011で来日決定!
08/13(Sat) TOKYO(MIDNIGHT SONIC)
INFO:www.summersonic.com
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