ウィーンを拠点に活動するロンドン出身のシンガー・ソングライター/エレクトロニック・ミュージック・プロデューサー、SOHN(ソン)。2012年に発表した「The Wheel」で脚光を浴びた彼は、BANKSや Kwabsの楽曲プロデュース、Lana Del ReyやDisclosure、Rhyeなどのリミックスを通じて、インディー、ソウル、エレクトロニック…と、ジャンルを横断する活躍をみせてきた新星です。
そんなSOHNが、4ADからリリースしたデビュー・アルバム『Tremors』(トレマーズ)を携え、6/21(土)と6/22(日)に東京 新木場スタジオコーストで開催される第8回目の<Hostess Club Weekender>で来日することになりました(SOHNの出演日は6/21)。
というわけで、ここでは彼の来日を記念して、アルバム『Tremors』と自身の音楽性について語ったSOHNのインタビューをご紹介しましょう。<Hostess Club Weekender>の詳細も以下をご覧ください。
SOHN『Tremors』インタビュー
__まずは、あなたのバックボーンについて教えてください。あなたはロンドン出身ですが、どんな音楽を聴きいたり、どんな音楽シーンに属たりしながら育ったんですか?
「ロンドン生まれだけど、ロンドンの音楽シーンに育てられたとは思わないよ。僕が聴いていた音楽のテイストは本当に分裂していて、ポップからロック、インディーからエレクトロニック、そしてサウンドトラックまで聴いて、最終的にオルタナティブに着地したんだ。いろんなジャンルを聴いていたから、納得のいく着地点だろ?」
__音楽活動、作曲活動をスタートした経緯や理由は何でしたか? また、SOHNというアーティスト名になったきっかけは何ですか?
「音楽は、ずっと僕が“これ”だと思っていたものだったんだ。音楽以外で自分をどう表していいか分からなかったし、別のことで音楽ほど精を持って取り組むこともなかったからね。で、“SOHN”という名前を選んだのは、美学にこだわったっていう点もある。発音が強く短いんだけど、なんだか柔らかくも聞こえるところが気に入ったんだ。僕は今ウィーンに住んでいるんだけど、ドイツ語でsohnは息子(son)という意味なんだよね。再発明のアイディアが好きだったし、息子でいるっていうことも好きだった。だからそれに化したんだ」
__あなたは、シンガー・ソングライターで、エレクトロニック・サウンドを手がけるプロデューサーでもありますが、現在の音楽スタイルにはどのようにしてたどり着いたのでしょう?
「主に環境に影響されて、かな。10代の頃はバンドに入っていたんだけど、それをきっかけにLogic(Macの音楽制作ソフト)を使って、レコーディング法を独学した。ただ、レコーディング技術を自分ひとりで身につけるのって、すごく難しいんだよね。例えばドラム・キットをどうやってレコーディングするのかとか、どのマイクを使えばいいのかとか。それで、次第にエレクトロニックスをいじり始めた。バンドをやめて、エレクトロニック・プロデューサーよりのことをやり始めたんだ。その次にピンときたことと言えば、アナログ・シンセサイザー(Roland Jupiter-8)を初めて手にとった時かな。そこからSOHNが始まったんだ」
__ウィーンを拠点に活動するようになった経緯についても教えてください。
「特にロンドンと心通ずるものがなかったから、ウィーンに移ったんだ。さっきも話したように、どのシーンにも僕は属してなかったっていうこともあったしね。それに、ギターを持ってヨーロッパをちょっとツアーでまわったりもしたんだよ。その間に出会った友達が沢山いて、特にウィーンに友達が多かった。で、彼らが、僕はウィーンに移った方がいいって提案してくれてね。だからそうしたんだ」
__では、この度4ADからリリースされたデビュー・アルバム『Tremors』について教えてください。本作は、これまでに発表してきたシングル曲やアルバム用の新曲をまとめたものになっていますが、全体としてはどんな内容のアルバムにしたかったのでしょう?
「特に最初から決まったコンセプトはなかったね。3曲既にリリースされている曲があって、それを収録したいっていうのは最初に分かっていたけど、それに加えて一ヶ月間スタジオにこもって書き始めて、レコーディングしていくうちに、自然と形ができていったよ」
__あなたの場合、曲作り自体はどのようなプロセスで進めていくことが多いんでしょうか? また、作曲する際のあなたのインスピレーション源などについても教えてください。
「ほとんどの場合は、音楽のモチーフが浮かび上がったら、それを携帯に録音するよ。で、そのアイディアを歌に起こしている時、でたらめな歌詞をのせるんだ。そして、そのアイディアが使えそうだったら、スタジオに入って模索していく。音楽がまとまってきたら、そのでたらめな歌詞を意味のある言葉に置き換えていくね。自分のフィーリングにあったところに言葉を置いていって、歌詞を書き上げていくんだ」
__本作において、ソングライティング面で意識的に取り組んだことは、何かありましたか?
「全くないね。歌詞は自然と出てくる。自分でも意識しないほど、自然にね。曲を書くにあたって、僕は先にプランを立てたりは絶対しないんだ」
__アルバム・タイトル曲の「Tremors」は、どのようにして誕生した曲ですか?
「「Tremors」を制作する際に重視したのは、この曲を書くことによってアルバムの意味が見えてくる、ということかな。主要な歌詞のラインは、最初と最後に歌う“Vibrations of tremors that shook long ago”(ずっと前に感じた震えの振動)だ。これは、僕にとって大切な一行なんだ。人生で起きた出来事において感じた“震え”――それが良いか悪いかは別として、僕たちはその“震え”から成り立っていくんだよ」
__あなたの名が広く知られるきっかけとなった「The Wheel」は、どのようにして誕生した曲ですか?
「いら立ちを感じた時期があったんだ。斬新なものを作りたかったのに、いまいちピンとくるものができなくて、気持ちが落ち着かなかったね。それで、自分を作り上げる全てを放り捨てて、最初から始めようと思った。自分の嫌いな部分を全て投げ捨てて、直感を信じていちからやり直そうと思ったんだ。そうしたら、“I died a week ago”(僕は一週間前に死んだ)っていうフレーズが頭に浮かんで、それによって人生の転機をうまく描写することができたんだ。このフレーズを思いついた途端とても安心できて、サビの歌詞、“All this fuss over nothing, reinventing the wheel, all this searching for something that’s not real”(つまらないことで大騒ぎして、わかりきったことをやり直す、こうして存在しないものを必死になって探している)ができ上がった。それでいら立ちから解放され、SOHNという自分に到達することができたよ」
__本作には「The Wheel」のほか「Artifice」「Bloodflows」「Lessons」といったシングルが収録されていますが、アルバム全体の中であなたが特に気に入っている楽曲というのはありますか?
「「Lessons」のプロダクションと完成プロセスは、自分でもとても誇りに思っているよ。“これだ”と思えるものにたどり着くまでが難しいトラックだったからね」
__<Hostess Club Weekender>では、どのようなセットでのプレイ、パフォーマンスを行う予定ですか?
「物語のようなセットになるよ。シンセサイザーの波に乗せて、最終的に壮大なクレッシェンドへと持っていこうと思っている」
__最後に、あなたの今後の活動目標や、次なるヴィジョンについて教えてください。
「一枚以上アルバムを出しているアーティストになれるまでが、とにかく今は待ち遠しい。次の目標は、(一年間ツアーをした後)新しいアルバムを作れるようにアンテナを張っておくことさ」
interview iLOUD
photo Amelia Troubridge
【リリース情報】
SOHN
Tremors
(JPN) 4AD/Hostess / BGJ-10198 (CAD3403CDJ)
発売中
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tracklist
01. Tempest
02. The Wheel
03. Artifice
04. Bloodflows
05. Ransom Notes
06. Paralysed
07. Fool
08. Lights
09. Veto
10. Lessons
11. Tremors
※初回仕様限定盤ボーナストラック・ダウンロード(mp3)
1. Red Lines
2. Oscillate
http://sohnmusic.com/
http://hostess.co.jp/beggars/
【来日情報】
Hostess Club Weekender(第8回)公演詳細
日時
2014/6/21(土)
OPEN12:45 / START13:45
2014/6/22(日)
OPEN13:00 / START14:00
場所
東京 新木場スタジオコースト
出演
6/21:Blonde Redhead / Simian Mobile Disco performing WHORL / Perfume Genius / SOHN / Highasakite
6/22:Cat Power / Cloud Nothings / Joan as Police Woman / TOY / The Bohicas
チケット
1日券 7,900円(税込/1ドリンク別)
2日通し券 13,900円(税込/各日1ドリンク別)
オフィシャルサイト
http://www.ynos.tv/hostessclub/
http://www.facebook.com/Hostessclubofficial