ハリウッドを拠点に、EDMシーンのトップDJ/プロデューサーとして活躍するSteve Aoki(スティーヴ・アオキ)。そのワイルドなパフォーマンスで世界的人気を獲得している、唯一無二の個性を誇るアーティストです。Dim Mak Recordsの運営でも知られる彼は、今や音楽以外の分野でも話題を集める存在となっています。
そんなSteve Aokiが、Fall Out Boy、will.i.am、Luke Steele (Empire of the Sun)、Waka Flocka Flame、Machine Gun Kellyらが参加したアルバム『Neon Future I』(ネオン・フューチャー Part.1)の続編となる最新アルバム、『Neon Future II』(ネオン・フューチャー Part.2)をリリースしました。Linkin Park、Moxie Raia、Rivers Cuomo (Weezer)、Snoop Lion、Matthew Koma、NERVO、Harrisonなどなど、前作同様多彩なアーティストが参加した注目作です。
というわけで、ここではゴールデンウィークに<Electric Zoo Beach Tokyo>と<electrox Beach Osaka>で再来日を果たしたSteve Aokiの、『Neon Future II』の内容とコンセプトについて語ったインタビューをご紹介しましょう。
Steve Aoki『Neon Future II』来日インタビュー
__『Neon Future I』と『Neon Future II』は、どのようなセレクション、内容の違いを意識したものになっていますか?
「『Neon Future I』は、よりパーティー向けの曲が入っているね。参加アーティストもその方向性に寄り添った面子になっている。Kid Ink、Machine Gun Kelly、Waka Flocka Flame、will.i.amとね。Fall Out Boyにしてもアップビートな曲に仕上がっている。そしてタイトル・トラックの「Neon Future」や「Get Me Out Of Here」のような、『 I 』と『 II 』の橋渡しになるようなエモーショナルな曲も中には入っていた。『Neon Future II』の音楽的方向性は、その延長線にあるんだ。NERVOやWalk Off the Earth、Linkin Park、そして新しいシンガーのHarrisonらが参加した、より感情移入したボーカル・トラックが多く収録されているよ。Rivers Cuomoとの曲も、同じような感情を表現している」
__そうですね。
「また『Neon Future I』では、Ray KurzwellやAubrey de Greyが参加し、科学的な見地からの技術の進歩について語っていたけど、それ対して『Neon Future II』では、より超次元で、宇宙や時空間移動について語っているんだ。映画『スターウォーズ』の新作の監督でもあるJ.J. Abrams、映画『インターステラー』のプロデューサー/監督のKip Thorneが参加しているだけでなく、「Light Years」や「Time Capsule」といった曲も、そのテーマに沿っているよ」
__今作のハイライトの一つとも言える、Linkin Parkが参加した「Darker Than Blood」について教えて下さい。「A Light That Never Comes」に続くコラボレーションになりますが、どのようにして誕生した曲ですか?
「「Darker Than Blood」について一つネタを明かすと、この曲は、実は「A Light That Never Comes」と同じ時期に書き始めたものなんだ。というのも、Linkin Parkと一緒に曲をやろうってなった時、いろいろなアイディアを一緒に試したんだ。その中で最後まで光を放ち続けたアイディアがこの2曲だった。「A Light That Never Comes」が完成した後も、「Darker Than Blood」は進化を繰り返し、今の形になったんだ。この曲はある意味、今の時代に多くのプロデューサーがやっていることの正反対を象徴している曲だと思う。今はできるだけ早く曲をつくって世に出すという風潮があるけど、それに対してこの曲は、色あせない魅力を持ったアイディアを見つけることにこだわった」
__なるほど。
「時間をかけて進化していった曲ではあるものの、2年半前にできたものを残している部分もあるけどね。時代を選ばない曲だという確信があったからこそ、ここまで出さずにいられたよ。そういう曲はなかなかつくれるものではない。非常に誇りに思っている曲だし、自分がこれまでにプロデュースしてきた曲の中で、最も気に入っている曲の一つさ」
__WeezerのRivers Cuomoが参加した「Light Years」についても教えて下さい。彼はファースト・アルバム『Wonderland』(2012)収録の「Earthquakey People」にも参加していましたが、今回の曲はどのようにして誕生したのでしょうか?
「「Light Years」は、彼との二度目のコラボ曲になるね。彼とは本当に仕事がしやすいよ。今日においても、Rivers Cuomoは僕が最も敬愛するバンドのシンガーだってことに変わりはない。Weezerの『Weezer (Blue Album)』(1994:デビュー・アルバム)と『Pinkerton』(1996:セカンド・アルバム)は僕が一番好きなアルバムなんだ。自分が大好きなアーティストと仕事ができるわけで、仕事も早いから、躊躇なくぜひまた彼とやりたいって思ったね。で、この曲は、彼を念頭に書いた曲でもある。「Light Years」は、クラブ向けのダンス・トラックではなく、歌モノであり、物語を伝えている。彼は、その物語を本当に上手く伝えてくれている。彼らしさが凄く出ていると思う。凄く気に入っているよ」
__あなたは、トレンドが早いように感じる昨今のEDMとそのシーンは、今後どのように進展、変化していくと考えていますか?
「一般的に、エレクトロニック・ミュージックにおいてほとんどのプロデューサーはシングル単位で曲を発信している。今のこの時代を象徴する曲を自分ならではのサウンドで出すから、できるだけ多くのDJにそれをクラブでかけてもらいたいものだよね。でもアルバムをつくる際には、“何人のDJが僕の曲をかけてくれるか”ってことは考えないよ。そういう発想は完全に捨てる。人が全編通して聴いてくれるようなアルバムをつくる、という気持ちで制作に臨むんだ。もちろん、中にはクラブでかけてもらいたいダンス・トラックもある。その一方でじっくり聴いてもらって、”ネオン・フューチャー”というコンセプトを堪能してもらいたいんだ」
__それがアーティスト・アルバムならではの魅力でもありますからね。
「だからそこを強調するためにも『Neon Future I』と『Neon Future II』で、それぞれ二人の違う人物に未来について語ってもらったんだ。そうすることで、それぞれのアルバムのテーマを明確にしている。そういったアプローチの違いがまずあるね。そしてエレクトロニック・ミュージックの今後については、今後アルバムをリリースするプロデューサーが増え続ければ、自分の音楽がシーンにどう映るのか、考え方を変えるだろう。それが今後を占う上で大きな鍵になると思っているよ」
__最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
「日本のファンのみなさん、いつも応援してくれてどうもありがとう。みんなの応援があったからこそ、今回<Electric Zoo Beach>のトリを務めることができた。お陰で、これまでにやったライブで一番好きなライブの一つになったよ。みんなが『Neon Future I』を買ってくれて、本当に嬉しかった。配信セールスを聴いて驚いたくらいさ。ライブでみんながアルバムの曲を歌ってくれて、本当に嬉しかった。『Neon Future II』もぜひ楽しんでもらいたい。これは僕が心底気持ちを込めた作品だ。みんなも共感してくれたら嬉しいよ」
Live Photo: Caesar Sebastian
Steve Aoki
Neon Future II
(JPN) SONY / SICP-4426
発売中(5/13リリース)
iTunes / Tower / HMVでチェック
tracklist
01. Time Capsule (Intro)
02. I Love It When You Cry (Moxoki) [with Moxie Raia]
03. Youth Dem (Turn Up) [ft. Snoop Lion]
04. Hysteria [ft. Matthew Koma]
05. Darker Than Blood [ft. Linkin Park]
06. Lightning Strikes [with NERVO and Tony Junior]
07. Tars (Interlude) [ft. Kip Thorne]
08. Home We’ll Go (Take My Hand) [with Walk off the Earth]
09. Heaven On Earth [ft. Sherry St. Germain]
10. Holding Up the World [ft. Harrison and Albin Myers]
11. Light Years [ft. Rivers Cuomo]
12. Warp Speed (Outro) [ft. J.J. Abrams]
国内盤ボーナストラック
13. I Love It When You Cry (Moxoki) [Boehm Remix]
【オフィシャルサイト】
http://www.sonymusic.co.jp/artist/steveaoki/
http://steveaoki.com/