World Sketch 『Ready To Love』 インタビュー


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 World Sketchは、マルチ・インストゥルメンタリストであり、作曲、プログラミング、ミックスダウン、マスタリングまでこなす、札幌を拠点とする守屋友晴のクラブトラック・ユニット。’09年7月には、ジョナサン・メンデルソン、キマラ・ラブレース、ステファニー・クックら、海外で活躍するシンガーが参加した初アルバム『Wonderful』を発表、シーンで注目を集めるに至っています。

 彼が、セカンド・アルバム『Ready To Love』を完成させたということで、さっそくインタビューしてきました。


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World Sketch
美しいメロディーと、現場から生まれたグルーヴを操る
孤高のダンス・ミュージック・クリエイター

——World Sketchと言えば、ピアノが美しいダンス・ミュージック・プロジェクトというイメージなのですが、そのルーツはどこにあるのでしょう?

「ルーツは、90’sディスコサウンドですね。90’sのPopsのメロディーは美メロだと思います」

——特に影響を受けているアーティストとかいますか?

「ベースのリフが立った曲が好きなんで、アレンジ的にはマーカス・ミラーさんの影響とか受けてますね」

——このたびリリースされた『Ready To Love』と前作との違いは、どこにあると考えていますか?

「一番大きな変化は、アレンジに出ていると思うんですけど、フロアを意識しているという点ですね。最近、自分でも現場でプレイするようになったので、その影響が大きいと思います。クラブでは、DJをやりながら、キーボードを弾いていますね。レギュラーは札幌のSound Lab moleで毎月と、苫小牧で3ヶ月に一度やっています」

——タイトル・トラックになっている「Ready To Love」が生まれた背景を教えてください。

「このアルバムをつくるにあたっては、当初「We are the World」が軸になる曲だったんですけど、この曲はカバーなんで、それに代わる曲をオリジナルでつくりたいと思いまして、“世界愛、世界平和”をテーマに「Ready To Love」をつくったんです。そのテーマは、ジャケットのアートワークにも表れていますね。タイトルは、作詞をしてくれたジョナサン・メンデルソンがつけてくれました。僕、もともとバラードのメロディーが得意なんですけど、それが一番生かせた曲でもありますね」

——新作の制作面で、一番やってみたかったことは、どんなことでしたか?

「今回、ミックスからマスタリングまで自分でやっているんですけど、“音”で自分を表現したかったですね。クラブで聴いたお客さんに、高揚感を伝えたかったっていうのがあります。前作に引き続き、メロディーは押しポイントなんですが、音色的にクラブでウケるということにもこだわりました」

——制作には、どのくらいの時間をかけましたか?

「一年ぐらいですね。特にミックスに関してはこだわりぬきました。スタジオで聴いてOKだったのに、DJでプレイして納得いかないということが多々ありまして、何回もやり直しました。そういう意味では、本当にクラブを意識しています」

——DJは、いつごろ始めたんですか?

「前作の『Wonderful』を発売したとき、現場のプロモーションをする人がいなくて、僕もスタジオにこもって曲をつくりっぱなしだったんで、これは何かプロモーションをしないといけないなと思っていたんです。そんなとき、友人の結婚式二次会でDJをやってくれと言われまして、無理やりDJをやらされたんですけど、それが楽しくてハマりました。DJは、お客さんと近い位置で、音楽を通じてコミュニケーションができるんで、そこがすごく好きですね」

——アルバム中、一番思い入れが強いのは、どの曲ですか?

「思い入れが強いのは、3曲目の「Volcano」ですね。この曲は、唯一ピアノが前に出ているインストなんですけど、ワン・フレーズを何回も繰り返して、それでいかに高揚感と、お客さんの動きをつくるかっていう点にすごくこだわりました。新境地に踏み入れた曲です」

——前作でリード・トラックだった「Wonderful」の2011年バージョンも収録されていますが、リメイクする際、意識したことを教えてください。

「一番盛り上がるし、自分でも一番好きな曲なので、今の音に対応できるようビートを強化して、それでいて原型を崩さずっていうのをテーマにつくりました」

——美メロ・ピアノ・ハウスは、今や売れ線として定着していますが、そういうものとの違いは、どこで出そうとしましたか?

「僕は、ロック・バンドもやっていたことがありまして、ロックも好きなんですよ。で、このアルバムでは、ピアノ・ロックも実はテーマになっているんです。ヴァネッサ・カールトンとかダニエル・パウターあたりのピアノ・ロックをハウスに混ぜるというのもコンセプトに入っています。ピアノの音色も、ミッドの張り出すような、ロック的な音色をつくってチャレンジしているんですよ。型にハマりたくなかったんで」

——守屋さんは、ダンス・トラックをつくる一方で、中島美嘉さんやMay J、BIGBANGへの楽曲提供もしていますよね。

「それが、僕のプロデュース・ワークの最終地点で、やっぱりポップスがやりたいですね。目指しているのはプロデューサーなんです。とはいえ、ダンス・ミュージックからは離れないと思いますし、プロデューサーとDJが両立できればいいなとも思ってます」

——今後の計画を教えてください。

「サード・アルバムは、来年の5月か6月発売予定ですね。やりたいことは、いっぱいあります。ちょっと哀愁っぽいのも増やしたいと思ってます」

——『Ready To Love』は、リスナーに、どんなふうに聴いてもらえたらよいと思いますか?

「このアルバムをきっかけに、クラブの楽しみを知ってもらえたらいいなと思っています。歌もの以外の良さも知ってもらいたいですね」

interview & text TOMO HIRATA


【アルバム情報】

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World Sketch
Ready To Love
(JPN) blues interactions / XNAE-10041
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