’08年にリリースしたメジャー・デビュー・アルバム『In Silico』が、全英アルバム・チャート初登場2位を記録、プラチナ・アルバムに到達するセールスを記録し、一躍スタジアム級ライブ・アクトに仲間入りを果たしたペンデュラム。’02年にオーストラリアのパースで結成された、6人組のヘビー・エレクトロニック・ロック・グループだ。ライブ・パフォーマンスの実力は折り紙つきで、日本を含む世界各国のフェスティバルで、不動の人気を獲得している。
そんな彼らが、待望のニュー・アルバム『イマージョン』をリリースする。彼らが編み出した、ルーツであるドラムンベースゆずりのパワフルな高速ビート、メタリックかつシンフォニックなシンセ・サウンドを、より華麗に、よりワイドに発展させた意欲作だ。その内容は、シングル「Watercolor」や「Salt In The Wounds」を筆頭に、正にビッグ・ステージ映えする、フィジカルで開放感に満ちたサウンド・ウェイブが押し寄せるものとなっている。
ここでは、ペンデュラムの中心メンバー、ロブ(Vo/Synth/Producer)とガレス (B/DJ) が語る、最新作『イマージョン』のオフィシャル・インタビューをご紹介しよう。なお、彼らは、8月にサマーソニックで再来日することが決定している。
ーーニュー・アルバム『イマージョン』の完成、おめでとうございます。現在のペンデュラムが立っている場所は、どんなところですか?
ロブ「このアルバムは、ペンデュラムのこれまでの活動の中で、最大かつ最高の作品だね。ファースト・アルバム『Hold Your Colour』(’05)にはなかった自由、セカンド・アルバム『In Silico』(’08)に欠けていた“時間”と“経験”が、ようやく自分達のものになって、今までで一番良いアルバムが完成した、っていう気持ちだ」
ガレス「全くその通りだね」
ーー今、ペンデュラムを初めて聴く人に、自分達の音楽を説明するとしたら、どうなりますか?
ガレス「僕らのサウンドは、ダンス・ミュージックをつくる人なら誰もが通過する、ヘビーなエレクトロニック・ミュージックから影響を受けている。ダンス・ミュージックと言っても、僕らのルーツはもっとサブ・ジャンル的なところにあるけど、全体的には、それよりももっとキャパシティーのある、幅広いサウンドを目指しているんだ」
ーー本作では、テクニック的にも音楽的にも成長したと実感していますか?
ロブ「このアルバムで、僕らは間違いなく進化を遂げたと思う。前作の時は、テクニック面でまだ学んでいる段階の部分があったからね。フル・ボーカルの取り込み方とか、ギターとドラムのレコーディングの仕方とか。だから、このアルバムでは、より多彩なサウンドを目指したんだ。今回のスタジオ作業では、自分達の意図するままに音を操れたから、気持ち良かったよ。納得いくまで、好きなようにやれたしね」
ーー本作には、ダブステップ、ハウス、ラガ、ダブ、メタルなど、様々なスタイルが取り込まれていますが、アルバムのインスピレーション源は何でしたか?
ロブ「僕らがこれまで聴いてきた音楽の全てだと思う。このアルバムを制作していた日に聴いた曲も、10年前に聴いていた音楽も、全部が一つに混ざり合った感じで、インスピレーション源になっている」
ガレス「今作は、特にそうだね。現時点で僕らが感じていることだけじゃなくて、メタルに夢中だった十代の頃に受けた影響なんかも、このアルバムには現れているんだ」
ーー前作よりもギターの量が少ない気がしましたが、これは意識的なものですか?
ロブ「ここにギターは必要ないと感じた時は、無理せずにギターなしで曲を完成させたんだ。どのみちライブでは、即興でギターを入れるかもしれないしね」
ガレス「僕らの演奏スタイルでは、原曲のパーツに、ギターを好きな形でフィットさせることが可能なんだ」
ロブ「(反対に)ギターがある曲では、たぶんこれまでのペンデュラムの作品の中でも、最も多くギター・サウンドが入っていると思う。良いバランスのアルバムができたと思うよ
ーー先行シングル「Watercolor」について教えてください。
ロブ「「Watercolour」は、今作のイントロダクション的な役割を果たすのに、最適な曲だと思う。アルバムの全てを伝えている曲じゃないけど、試聴にはピッタリな感じさ」
ガレス「そうだね。ペンデュラムっぽさが十分に出ているから、聴く人が“方向性がガラッと変わってない、良かった!”って、安心できるでしょ(笑)」
ーー世界初の360度インタラクティブ・ミュージック・ビデオで公開された、「Salt In The Wounds」の方はいかがですか?
ロブ「「Salt In The Wounds」は、アルバムの中で、一番ハッピーな時にできた曲だったな」
ガレス「「Salt In The Wounds」みたいな曲って、つくっていて一番気持ちが良いよね。僕らのギタリストは、この曲のことを“The Son of Slam”って呼びたがっているよ」
ーーコラボレート曲の、「Immunize (feat. Liam Howlett)」「Self vs Self (feat. In Flames)」「The Fountain (feat. Steven Wilson)」について教えてください。これらは、どのように進めていったんですか?
ロブ「それぞれ違うやり方で進めたよ。例えば、イン・フレームスっていうバンドは、大所帯でさ。何人いたっけ?」
ガレス「メンバーが6人いて」
ロブ「さらにクルー、マネージャー、ツアー・マネージャーもいた」
ガレス「彼ら全員が、ロンドンのカムデンにある、俺達の小さなスタジオに来たんだ。しかも、みんな大柄なスウェーデン人だったから、部屋の密度がかなり高かったよ」
ロブ「彼らとのコラボは、すごく理想的な形で、自然に進んだね」
ガレス「あとは、メールでのファイル交換を使ったコラボになったかな。忙しい時は、そうせざるを得ないから」
ーーところで、あなた達はスタジオで曲をつくっている時、ライブで演奏することを想定していますか?
ガレス「曲を書く時は、あんまりライブ・パフォーマンスのことは想像しないように気をつけているよ。そっちに神経を集中しちゃうと、逆に妥協した曲を書いちゃいそうでさ。悩ましいところだね。まあでも、曲によるかな」
ロブ「「The Vulture」は、ライブのことをイメージしないで完成させる方が、逆に難しかった。もともと、すごくライブ感のある曲だったからね。曲をつくっている間、ついついグラストンベリーのステージで演奏している自分達を想像しちゃったよ」
ーー最後に、今後の活動予定を教えてください。
ガレス「僕らは、これからも常にチームとして動いていくよ。このアルバムをツアーに連れて出るのが、すごく楽しみだね。ここまでライブで演奏するのが楽しみなのは、初めてだよ。絶対にオーディエンスの反応がポジティブだっていう確信があるんだ」
ロブ「今、リハーサルで、さらに成長したペンデュラムをバリバリ感じているから、アルバムの曲をライブで披露できることに興奮しているよ」
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