TK(Vo/G)、345(B/Vo)、ピエール中野(Ds)からなるロックバンド、凛として時雨。自主レーベルから3枚のアルバムをリリースしてきた彼らは、現在、シリアスなインディー・ロック・ファンを中心に高い評価を得ている注目株です。ライブ・パフォーマンスにも定評があり、<COUNTDOWN JAPAN>や<FUJI ROCK FESTIVAL>など、大型フェスに出演を果たしています。
そんな彼らが、この秋約2ヶ月に渡る全国ツアー、“P-rhythm Autumn”を行いました。ここでは、赤坂BLITZで行われた東京公演の模様をお伝えします。
超満員のオーディエンスがあふれるなかステージに登場した三人は、一見、もの静かな青年といった佇まい…。しかし、演奏を始めるやアグレッシブな姿へと豹変し、たちまち会場の雰囲気を一変させたのでした。
美しいアルペジオからノイジーなディストーション・サウンドまで、一曲の中で多彩なプレイを繰り出すTKのギター。軽快な指さばきで弦を弾き、柔軟かつ強靭なグルーヴを生み出す345のベース。目まぐるしく変化する楽曲のリズムを的確にコントロールし、疾走感あふれるビートを繰り出すピエール中野のドラム。三人が生み出すエモーショナルかつヘヴィーなサウンドスケープに、みるみるオーディエンスは引き込まれていきました。楽曲の展開と見事にリンクした照明効果も相まって、その存在感は圧倒的なものでしたね。
また、TKと345のハイトーン・ボーカルも、轟音バンド・サウンドに負けず強烈なものでした。独特の言葉使いを駆使したシリアスな詞の世界は、聴く者の心に痛切に迫ってくるものばかり。会場は、そんな彼らの音楽世界に呼応するようにどんどんボルテージを高め、「DISCO FLIGHT」、「CRAZY感情STYLE」、「nakano kill you」では、会場全体が大きなうねりをみせるほどの盛り上がりとなりました。
すると彼らは、そんな加熱した会場の空気を一気にクール・ダウンさせるかのように、12月24日発売のニュー・シングル「moment A rhythm」を披露。背景に幻想的な映像が映し出されるなか、約17分に渡って演奏されたこの曲は、凛として時雨の叙情的な側面をより一層ディープに掘り下げた、スローでエモーショナルな楽曲でした。
ちなみに、会場の空気を変えるといえば、ピエール中野のMCも印象的でしたね。演奏中のヒリヒリとしたテンションを解きほぐすかのように、饒舌なトークでオーディエンスを笑わせてくれました。こうしたギャップも、彼らが高い人気を誇る理由なのかもしれません。
全16曲、約1時間半に渡って、オーディエンスを自らの世界へと引き込んだ、凛として時雨。常に斬新なサウンドを届けてくれる彼らの動向に、今後も注目したいと思います。
写真: (C) SUSIE
凛として時雨
ONE-MAN TOUR 2008 “P-rhythm Autumn”
2008年12月18日(木)@ AKASAKA BLITZ
<SET LIST>
01. 赤い疑惑
02. DISCO FLIGHT
03. Sadistic Summer
04. 想像のSecurity
05. COOL J
06. 新曲1
07. Re:automation
08. Knife vacation
09. Telecastic fake show
10. moment A rhythm
11. 新曲2
12. 鮮やかな殺人
13. CRAZY感情STYLE
14. nakano kill you
15. 感覚UFO
16. 傍観