9/6(火)、東京・代官山Unitでライブイベント「CUE vol.2 AMPS & DUBFORCE」が行われ、大沢伸一率いる新バンドであるAMPSと、話題のライブダブバンドDUBFORCEが共演を果たした。
今年1月末に行われた同イベントの初回にて、初ライブを披露することになったAMPSは、先述の通り、長年、日本の音楽シーンの先陣を切って、シーンを切り開いてきた日本を代表する音楽プロデューサー、ミュージシャン、DJである大沢伸一が、インディーライブシーンで高く評価される、ベース&ドラムによるツーピースバンドMOJA、ギターに大沢伸一の右腕ともいえるナゴミスタイルの北郷満春、そしてボーカリストとしてtouch my secretの二神アンヌを加え、結成した5人組バンド。
大沢伸一率いるAMPS x DUBFORCE「CUE vol.2」ライブレポート
9/6(火)、東京・代官山Unitでライブイベント「CUE vol.2 AMPS & DUBFORCE」が行われ、大沢伸一率いる新バンドであるAMPSと、話題のライブダブバンドDUBFORCEが共演を果たした。
今年1月末に行われた同イベントの初回にて、初ライブを披露することになったAMPSは、先述の通り、長年、日本の音楽シーンの先陣を切って、シーンを切り開いてきた日本を代表する音楽プロデューサー、ミュージシャン、DJである大沢伸一が、インディーライブシーンで高く評価される、ベース&ドラムによるツーピースバンドMOJA、ギターに大沢伸一の右腕ともいえるナゴミスタイルの北郷満春、そしてボーカリストとしてtouch my secretの二神アンヌを加え、結成した5人組バンド。
一方、DUBFORCEは、1981年に結成された日本のダブバンドの草分けである元MUTEBEATのメンバーである屋敷豪太、増井朗人、DUB MASTER Xを中心に、いとうせいこうら大物ミュージシャンが多数参加する、音楽シーンの重鎮達による確かな演奏力と経験が反映されたバンド・サウンド話題となり、すでに、二度のワンマンライブ、そして「GREENROOM FESTIVAL ’16」といった大型音楽フェスでも活躍し、ライブの度に評判となっている注目バンドだ。
今回のライブイベントでは、イベントの触れ込みどおり、ソリッドなバンド・サウンドと打ち込みを融合させたNEW WAVEなサウンドを内省的に響かせ、その内側へと引き込んでいくAMPSと、これまでで培ってきた経験、センスを元に音楽的に研ぎ澄まされた、外側へ波及していくライブ・ダブ・サウンドが観るものを魅了するDUBFORCEといった、異なる方向性をお互いに持つ、その対照的な音楽をそれぞれにその場にいた観客が、味わうことができるものとなった。
イベントでは、まずAMPSのライブが、青い光で彩られたステージ上で、開幕を告げる大沢伸一の12弦ギターの音で幕を開け、それに引き続くようにバンドメンバーの力強いグルーブ、サウンドが会場に響き出し、ライブ本編がスタート。そして、ステージ演出に使われている照明が、深い水の中を思わせる青から、赤、緑、と色を変えていく中で、あたかも「秘密」のような、まだ誰にも知られていない、隠された音楽とでもいうようなものが、バンドの生々しい音とそれに絡まりあう電子音、ボーカリストが発する、言葉に込められたメッセージを具現化する歌声が重なり合って生み出され、徐々に浮上してきては、その度に、会場を引き込み、その深く内側に潜る世界に誘われるかのようなイメージをその場にいた人々に与えているようだった。そしてそのとおりに、疾走していくAMPSは、曲を追うごとに、観客を躍らせ、魅了し、最後の一曲が終わる頃には、バンドはAMPSという内なる世界の中に全てを飲み込み、会場をひとつにしていた。
そして、数分間のステージ転換を挟み、DUBFORCEのメンバーがステージに登場。先行したAMPSがその内側に取り込んだ観客を、DUBFORCEが奏でる、ゆったりとしたバンド・サウンドが、リアルタイムにダブワイズされながら、曲を追うごとに外側に向かって歩ませていくような印象を与えた。それはまさにDUBFORCEが立つステージを中心に放射状に音が拡散され、そこに沿って広がる世界を見せられているようだった。
また、ライブの後半では、新曲や、メンバーのDUB MASTER Xによる名曲「Tokyo dubストーリー」のDUBFORCEバージョン「Tokyo Dub」も披露されるなど、活動以来、彼らを追いかけるファンにとっては、何物にも変えがたい、まさに音楽的な至福を感じる展開となった。緩く、柔らかく、寄せては返す波のように引き込んでは解放する、そのライブは、AMPSとはまた違った魅力を十分に伝えるライブ内容となった。
このようにテイストが異なる、現行シーンの2組のNEW WAVEなアティチュードを持つバンドが、形成した今回のライブでは、本稿中でもすでに述べたとおり、音楽体験をする上で、「内側へ引き込む」こと、「外側へと解放する」ことという対照的で、異なる2つのものを一度で実際に体験することができたことが、このライブイベントの持つ、良さであり、大きな意味を持つ点であった。
そして、経験豊富な大物ミュージシャンが新たに提唱する音楽のみを体験するだけでなく、対照的なライブ構成から音楽性に至るまでを楽しむことができるものとなり、大盛況のうちに幕を閉じたハイブリッドで、「NEW WAVE」な今回のイベント「CUE」は、ひとつのスタイルに縛られることのない、柔軟で、音楽に対して深い愛情を持つ、非常に満足度の高いイベントになったと言えるだろう。
また、両バンドのサウンドのスペックを最大限に引き出していたDUB MASTER Xのライヴミキシングによる出音も素晴らしく、ライブハウスのみに限定することなく、DJや他のバンドも巻き込んだ一夜を通してのクラブイベントとして開催しても面白いのではと感じた、まさに、“音楽の可能性”を示す場であった。
Photo by YUKI OHASHI