X-tra 復活記念 Yo-C+Tomo対談


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“日本人DJをメインとする、誰でも気軽に楽しめるアッパーなパーティー”をキャッチフレーズに、’95年~’00年にかけて、新宿リキッドルームで開催 されていた、UKスタイルのクラブ・パーティー、X-tra。Yo-C+TomoをレジデントDJに、1000人近いクラウドを毎回盛り上げ、大阪、金沢 でもレギュラー開催されるようになった、歴史に残るパーティーです。そのX-traが、当時の選曲もそのままに、5月21日、恵比寿LIQUID LOFTにて一夜限りの復活を遂げるということで、ここではYo-CとTomoの対談をお届けしましょう。


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Tomo(以下T)「X-traはですね、’95年11月10日にスタートして、’00年の6月24日に、リキッドルームでは開催終了してます。その後に、velfarreやWombでもやらせていただいたので、実質5年続いたのかな。大阪と金沢は、それ以降もやってたよね」

Yo-C(以下Y)「そうですね」

T「オレが友達から“スゴいDJがいるよ”って、Yo-CのDJミックステープをもらって…最初どこで会ったんだっけ?」

Y「二丁目の3BOZUってお店でしたね(笑)」

T「当時オレは、クボケン(久保憲司氏)のClub VenusっていうパーティーでレジデントDJをやっていたんだけど、“これはスゴい”と思ったから、Yo-CにもVenusのレジデントに加わってもらったんだよね」

Y「そうです。ありがたいことに」

T「で、Venusをしばしやってたんだけど、Venusは基本的に海外DJを招聘してやるパーティーだったから、そこからは、日本人DJのパーティーは育っていかないだろうっていうことで、リキッドルームの山根さんに相談して、X-traを始めたんです」

Y「そうですね」

T「で、オレの記憶では、最初の何回かは、人が入らなくて、一瞬“やめようか”っていう考えが頭をよぎったんだ」

Y「そうでしたっけ? 僕、楽しくて、けっこう入ってるなっていうことしか覚えてないんですけど」

T「それは、後半の記憶が強いんだよ。最初は、あの巨大なリキッドルームに200人とかだったはず。本当に人が集まりだしたのは’96年に入ってから、いわゆる“ハッピー系”みたいな音がメインになってからだったと思う。オオバコで、そういう音をかけているパーティーが、ほとんどなかったからかな」

Y「ロケーションもシチュエーションも、どっちもよかったんですね」

T「X-traが軌道に乗るきっかけになったのは、音楽的には、’96年に、二人ともオランダもののハウスを積極的にかけてたことだと思う。KadocとかKlubbheadsとかBlueレーベルまわり。あとは、UKのハンドバッグって言われてたあたり。6 By 6とかYosh Presents Love Deejay Akemi(笑)とか。それとRhythm Mastersとか」

Y「イギリス、オランダものをかけてましたね。当時はCoutdown Grooveなんていう番組が日テレで放送されていたりして、シーンも元気がありましたね。で、PARATONEレーベルから、僕らもCDを出すようになったんですよね」

T「そうそう。それも’96年。あれはX-traが成功した大きな理由のひとつだったと思う。その後、’97年前後からはワープ・ハウスが流行り出すんだ」

Y「Tony De Vit先生の、ですね」

T「X-traはUKのTradeから大きな影響を受けていたでしょ。DJで言うと、Tall PaulとTony De Vitの影響は強かったね。実際、海外から、この二人だけは呼んだし。で、今その頃の音を聴いてみると、新鮮に感じるんだよ。レア・グルーヴ化してるのかな(笑)」

Y「おっ、おもしろいこと言ってますね(笑)。僕も、誰もかけてないし、今かけちゃってもいいんじゃないかなって思っちゃってます」

T「オレは最新のエレクトロも大好きだし、実際に大沢さんの作品に少しだけ参加させてももらったんだけど、エレクトロにはない何かが、そこにはあるでしょ」

Y「エレクトロには、いろいろ実験してるのもあるし、“これで騒げ~”っていうのもありますけどね」

T「大沢さんが先日言ってたんだけど、今のサウンドは“躍らせるための装置”になってるんだよね。それに対してX-tra時代の曲を聴くと、どれも過剰なぐらいエモーショナルなの。ハッピーな曲はめちゃハッピーだし、感傷的な曲はものすごく感傷的だし」

Y「デフォルメされてますよね」

T「うん。で、話を戻すと、ワープが流行って、Tidy TraxとかTripoli Traxとかが人気出だすわけ。そして、’98年になるとX-traクラシックの中でも最も有名なCamisra「Let Me Show You」やPerpetual Motion「Keep On Dancin’」が出る。この頃からが、X-traにとっては全盛期だったと思う。オレの“きっと来る~”が映画に使われたのも’98年、Yo-Cの「Sleeping Bag EP」が出たのも’98年だったし。ところで、“ハッピー系”って言葉は使われなくなったね(笑)」

Y「自分で“ハッピー系”っていうのは、恥ずかしいですしね(笑)」

T「そうだね。オレは、個人的にはUKハウスとトランスをかけていたっていう意識なんだよね。Yo-Cは何をかけてたっていう意識なの

Y「僕は、具体的に言うとワープ・ハウス(編注:Tony De Vitが名づけた、ゲイ・テイストのハウスやハード・ハウスを指す。UKでは普及しなかった言葉だが、和製英語ではない)ですかね。どっちかって言うとダサくて恥ずかしい曲の方が多かったと思うんですけど」

T「X-traでかかってた曲には、一般的に言うとチージーで、恥ずかしい曲の方が多かったかもしれない。でも、それはワザとかけていたんです」

Y「はははは(笑)。そうです。そうです。真剣にバカをやりたかったから、ああいう曲をかけてたわけなんです」

T「“誰でも気軽に楽しめるアガれるパーティー”っていうのがコンセプトだったから、必然的にそうなったわけ」

Y「“安い”って言われたら、たしかにそうですって感じだし、“チャラい”って言われたらチャラいんですけど、それでしか出せないものを出そうとしてたんです」

T「当時の音楽には、そういうものが、たくさんあって、けっこうな人気だったんですよ~って話だよね。で、’99年ぐらいになると、“ハッピー系”をしのぐ勢いでトランスが台頭してくる。オレはトランスが大好きなので、’98年ぐらいからトランスをガンガンかけるようになったんだけど、Yo-Cはあまりかけなかったよね」

Y「僕はあんまり基本的に変わらなかったですね」

T「そこから、二人のカラーはクリアに分かれるようになったんだけど、それはそれでいいんじゃないかってとこでやってた。トランスは、その後、Sound CollectionやCyberTRANCEが出てきて、大ブームになったけど、その創成期にトランスをちゃんとかけてたパーティーのひとつは、X-traだったはず。常に新しいものをX-traがかけてたのは、間違いないと思う」

Y「そうですね~。一般的なDJ側から見ると“えーっ?っていう類のものも、たくさんかけてたと思うんですけど、それがまた自分でもやってて面白くて。お客さん側も、それを支持してくれていたんだと思います」

T「UKの最新潮流を取り入れつつプレイして、お客さんが楽しんでくれれば、それでよかったんだよね」

Y「そう言えば、潮流みたいなものは、今はなくなってきてますね」

T「それは、UKのクラブ雑誌いわく“2003年にクラブ・バブルがはじけた”からだと思う。そういう意味では、’03年以降にクラブを覚えた方には、新鮮な感覚を提供できるはず」

Y「そうですよね。それで、5/21のX-traに若いクラバーが来て、何か感じてもらえたらいいですよね」

T「今回のX-traには“懐かしいから行く”って言ってくれる人が多いと思うし、それはもちろん大歓迎なんだけど、’90年代クラブ・ミュージック全盛期のヴァイブスを感じてみたいっていう人にも、ぜひ来てもらいたいね」

Y「実際に、僕みたいに振り切れちゃった人がいたよっていうのを、垣間見てもらえれば嬉しいですね(笑)」

T「当時は、今みたいに、DJはセレブでオシャレで、っていう感じじゃなかったからね」

Y「黒いTシャツ着てプレイしたら、汗で白くなってましたもん」

T「ははは(笑)。パーティーのハジけ方が、“さあ、みんなでアガろうぜ!”程度のものじゃなかったのは、たしか」

Y「死ぬ気で遊んでたっていうのが、一番わかりやすいかな」

T「普通じゃない人が、普通じゃないレコードをまわして、普通じゃない人がそれにあわせて盛り上がっていた、というのが当時のヴァイブスだった。だから、2000年代に入ってからも何度か“X-traをやりませんか?”っていう話はあったんだけど、あれを再現するのは難しいと思ったんで、ほとんど断ってたんだよね。そもそも新宿リキッドルームでX-traの開催を終了したのは、X-traが下降線になったからじゃなくて、ドアポリシーが変った問題で、運営側と意見が合わなくなって、このままではヴァイブスを維持できないと判断したからなんだ」

Y「そういう意味では、新宿リキッドルームには、それまで支えてくれて、ありがとうという気持ちでいっぱいですね」

T「そうだね。X-traは、何もYo-Cとオレでつくってたわけじゃなくて、リキッドルームのオーガナイズとハコの雰囲気に支えられていたし、何より集まってくれたお客さんが最高のヴァイブスで完成形にしてくれていたと思うわけ。その点では、お客さんとリキッドルームには感謝の気持ちが絶えない。で、今回、10年ぶりにX-traをやってみようと思ったわけは、X-traとともに歩んでいたLOUDが8/1に200号を迎えるということで、こういう機会をきっかけにしないと、もう二度と復活することはないな、と思ったからなんだ。ちなみにX-traは、公式に“終了”を宣言したことはなくて、“休止”状態なんですよ」

Y「前向きな話ですね」

T「で、今回はオール当時の曲でいこうと思ってるわけ」

Y「僕もそうです。求められていることもそうですしね」

T「こういう、過去を振り返るようなことは、ごく稀な機会にやるのが一番いいかなと。レア・グルーヴの紹介として(笑)」

Y「僕、今でもレア・グルーヴDJですけどね(笑)。いまだにターンテーブルだし」

T「とりあえず、今回やったら、しばらくやらないと思うので、10年ぶりに皆さんぜひいらしてください。Yo-Cは何かけようと思ってるの?」

Y「Edge Recordsですかね。あと、Movin’ Melodiesを」

T「そのへん、ちゃんとまだ持ってるんだ。エラいね。オレは、アナログほとんど処分しちゃったんで、デジタルで再収集してます(笑)。オランダものからトランスまで、X-traクラシック100曲以上名曲そろいました。全部かけられないけど」

Y「あと「Fee Fi Fo Fum」とか、かけたいですね」

T「Candy Girls(笑)。X-traは、ある意味アホ・パーティーNo.1だったからなぁ」

Y「期待通りの全開な感じでいこうと思ってます」


X-tra開催詳細

2011/05/21(SAT) @ LIQUID LOFT
OPEN 23:59
Admission:2,500yen(members 2,000yen)
LINE UP
Resident DJs:Yo-C + Tomo
Guest DJ:Shinkawa
Live PA:Yo-C+BUS featuring Kaori
VJ:Visible Tune
INFO
LIQUIDROOM 03(5464)0800

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