2008年に、仙台の人気ヒップホップ・ユニット、LGYankeesのアルバム『No DOUBT!!!-NO LIMIT-』に参加、その収録曲「Because…feat.中村舞子」がデジタル配信で爆発的ヒットを記録し、一躍注目を集めたシンガー、中村舞子。19歳の若さとは思えない、感情表現豊かな歌声と深いメッセージ性で、同世代のリスナーを中心に支持を獲得している実力派です。2010年1月には、ミニ・アルバム『CURE』を発表、メロウな楽曲でリスナーを魅了しています。
そんな中村舞子が、このたびメジャー・デビューを果たし、アルバム『Answer』をリリースすることとなりました。これまで彼女が見せてきた、切なさ満点のバラードから、R&B、エレクトリックなダンス・チューンまで、彼女の新しい魅力を堪能できる本作。CLIFF EDGE、LISA、逗子三兄弟といった、豪華ゲストが参加している点も注目です。
ここでは、メジャー・デビュー作『Answer』に懸ける思いと、その制作背景に迫るべく、中村舞子本人のインタビューをお届けします。
中村舞子
メジャー・デビュー・アルバム『Answer』インタビュー
__メジャー・デビュー・アルバム、『Answer』を完成させた手応えはいかがですか?
「『Answer』は、いい緊張感の中で制作することができました。“プレッシャーも、あったんじゃないですか?”って聞かれるんですけど、それはあんまり無くて。スタッフさんやレーベルの環境もすごく心地良いので、みんなが支えてくれることが自信につながりましたね。今できることはやり尽くしたので、思い残すことは無い、表現したいことが実現できたアルバムです」
__アルバム全体に、一貫したテーマはあるのでしょうか?
「はい。私は、音楽活動をする上で、二つの要素をずっと持っていたいと思っているんです。例えば、“可愛らしさとカッコ良さ”、“ナチュラルとモード”とか。このアルバムでも、そういう対極の要素を常に表現することを意識しましたね」
__『Answer』は、中村舞子さんが持っている、様々な側面を凝縮したアルバムとも言えるのでしょうか?
「そうですね。今までは、みんなが私に求めているイメージを意識して歌うことが多かったんですけど、今作は自分の名刺代わりになるアルバムなので、私がもともと好きな音楽や、自分の本質的な歌い方を見せたいと思ったんです。これまでは、いただいた曲を歌うことが多かったんですけど、今回は選曲やコンセプトにも自分の意見を反映できたので、今まで以上に私の色が出せましたね」
__これまでの中村舞子さんは、バラード曲のイメージが強かったのですが、それとは全く違うスタイルの音楽も、ご自身のバックグラウンドにはあるのでしょうか?
「母の影響で、小さい頃からマライア・キャリーやホイットニー・ヒューストンのような、代表的な女性シンガーの曲を聴いていたんですけど、ブレイクダンスをやっていた兄の影響で、ヒップホップやR&B、ファンクも聴いていたんです。だからバラードだけじゃなく、ブラック・ミュージックの要素も、自分の中心にはあるんですよね」
__なるほど。『Answer』には、バラードからダンス・チューンまで、様々なスタイルの楽曲が収録されています。それらを一枚の作品にするにあたり、こだわった点はありますか?
「曲順や全体の構成にはこだわりましたね。1、2曲目では、リスナーが私に求めているスタイルを、ストレートに表現しました。そして、3曲目のスキット「Next Door」には、“扉を開けたら、みんなが今まで知らなかった私がいるよ”という意味を込めています。そこから3曲は、アッパーな楽曲や、1960年代風の「GIRL」があって。“ベーシックなアルバムかと思いきや、遊び心もある”という内容を、ぜひ楽しんでもらいたいですね」
__アルバムの後半に関してはいかがですか?
「7曲目に「BIRTH」というスキットがあるんですけど、これには“原点に戻る”という意味を込めています。なので、続く8曲目には、自分が小さい頃に聴いてきたような、王道のバラード「Kiss The Sky with 逗子三兄弟」を入れました。そしてラストは、R&Bフレイバーを私なりに解釈した、「Delicate My Love」で締めくくっています。これは、このアルバムの中で一番大人っぽい曲ですね」
__そんな中、「BREAK FREE feat. LISA」や、「GOSSIP HOLIC」のような、エレクトリックな楽曲に挑戦しているのは、とても意外でした。
「「GOSSIP HOLIC」は、最初は全編エレクトロだったんですけど、“何か違うよね?”って話になって生音を入れてみて、そこからイントロのギター・フレーズが生まれたんです。エレクトロの中でも新しい音にしようと考えて、遊んだ一曲ですね」
__この曲の歌詞は、まるでアメリカン・ドラマのような、まさにゴシップをモチーフにした内容になっていますね。
「はい。私、海外のゴシップ誌が大好きで、普段からよく読んでいるんですよ(笑)」
__“世界のセレブが…”みたいなやつですか(笑)?
「そうです(笑)。そんな、アメリカの映画やドラマみたいな、日常からかけ離れたストーリーが好きで、それをテーマに曲をつくりたいと思ったんですよね」
__「BREAK FREE feat. LISA」の方は、いかがでしたか?
「クウォーターという私のアイデンティティーは、LISAさんとも共通する部分があって。そこで意気投合して、“私たちにしか書けない曲にしよう”ということで、「BREAK FREE feat. LISA」はアッパーでストロングな楽曲にしたんです。トラックは今井了介さんに制作していただいたんですが、サウンド的にも、とても今っぽいものになっています。この曲には、“何かを打ち破って、信じるものをその手で守らなければいけない!”というメッセージを込めました。今の若い世代って、昔の若者よりも、良くも悪くも大人になっていると思うんですよ。すぐ、上の人たちにコントローラーを渡しちゃうというか。この曲では、“それって違うんだよ!”っていうことを、言いたかったんです」
__その一方、リード曲の「The Answer feat. CLIFF EDGE」は、ツライことや悲しいことを乗り越える、力強い姿を描いた楽曲となっていますね。
「はい。この曲では、“いつも当たり前のように朝を迎えているけど、よく考えるとそれは当たり前では無い。明日に保証が無いからこそ、今そばにいる人や、自分が思っている気持ちを大切にしなきゃいけないんだよ”というメッセージを表現しました。この曲が答えなのではなく、この曲を聴いて、リスナーそれぞれに答えを考えてほしい、という気持ちを込めています」
__「The Answer feat. CLIFF EDGE」は、リスナーへの投げかけでもあるんですね。CLIFF EDGEとの制作は、いかがでしたか?
「歌詞のストーリーや、登場人物の設定や性格などを細かく考えて、CLIFF EDGEのみんなとディスカッションしながら制作しました。彼らとは、以前「会いたくて、素直になれなくて feat. 中村舞子」で初めてコラボレートしたんですけど、その時に、彼らの音楽に対する姿勢に惚れて、パッションを持って音楽をやっているアーティストだと感じて、今回私のアルバムでも一緒にやりたいと思ったんです」
__今後は、どんなシンガーを目指していきたいですか?
「常にビジョンを見失わず、自分がやりたいことを持ったアーティストでいたいと思います」
interview & text EMIKO URUSHIBATA
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【アルバム情報】
中村舞子
Answer
(JPN) Venus-B / KING RECORDS / KICS-91638 [初回限定盤 (CD+DVD)]
(JPN) Venus-B / KING RECORDS / KICS-1638 [通常盤 (CD)]
Tracklist
■CD
01. The Answer feat. CLIFF EDGE
02. Fragile ~あなたがいた…~
03. Next Door ~skit~
04. BREAK FREE feat. LISA
05. GIRL
06. GOSSIP HOLIC
07. BIRTH ~skit~
08. Kiss The Sky with 逗子三兄弟
09. Delicate My Love
Bonus Track: 会いたくて、素直になれなくて feat. 中村舞子 / CLIFF EDGE
■DVD(初回盤のみ)
The Answer feat. CLIFF EDGE [MUSIC CLIP]
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【LIVE INFORMATION】
1/12(水)Z3 DRIVE MUSIC PARTY!!! @ 渋谷Star Lounge(東京)
1/17(月)第7回 神戸フリーライブ “ONE HEART” @ 西神戸センター街(兵庫)
1/23(日)中村舞子×逗子三兄弟 同日発売記念Special Live @ ラゾーナ川崎(神奈川)
1/26(水)ナマオト vol.4 @ Shibuya DUO(東京)
【Official Website】
http://maiko-n.com/