日本にUKスタイルのクラブシーンを持ち込んだDJ/プロデューサーで、LOUDの編集局長でもあるトモヒラタと、’90年代末にカルト的人気を誇ったロック・バンド、The Fantastic Designsのメンバーだったギタリスト、アキラ。Nibiruとして、UKの名門レーベルTIP WORLDに楽曲提供したこともある二人が、このたびUKを拠点とするニューレーベル、ATZ Recordingsから、TOMOAKIRA名義で新曲「Is Rock」をリリースしました。iTunes Storeでの配信も2/2より始まっています。
ATZ第一弾リリースとなる本作は、4つ打ちのクラブ・トラックとグランジ・ギターをストレートにミックスした、ジャンルレスなもの。クラブ・ミュージックファンからロック・ファンまで要チェックの、ちょっとユニークな作品となっています。
ここでは、そんな「Is Rock」の内容と、TOMOAKIRAの音楽性について、アキラとトモヒラタの二人に話を聞きました。
TOMOAKIRA
新レーベル、ATZの第一弾リリースとなる、
ギタリスト、アキラとトモヒラタの、グランジ・ダンス・ミュージック
__TOMOAKIRAのお話の前に、アキラさんとは一体どのような人物なのか、ということからお話いただきたいのですが、アキラさんとトモさんは、もともとどのようにして知り合ったんですか?
アキラ「以前、僕はThe Fantastic Designsっていうバンドをやっていたんですけど、その時に、トモさんと一緒に1曲何かやってみましょうか?って話になったんですよ」
トモ「僕とThe Fantastic Designsのマネージメントが一緒だったんで、そういう話になってね」
__それは、’90年代末の話ですか?
アキラ「そうですね。まだ、ちょっとグランジの匂いがしていた頃だったと思います(笑)。で、クラブ・ミュージックの人と一緒にやってみるのも面白いんじゃないか、ということで、実際にやってみたら、意外と歯車が合って、本当に面白かったんですよ。それで、以後ずっと長いお付き合いを…という感じですかね」
__二人の共作で一番知られているのは、Nibiru名義でTIP WORLDのコンピに提供したトラック、「Paranoid」(’04)辺りになるんですか?
トモ「いや、その前にThe Fantastic Designsとやった曲があるからね。僕がリミックスを手がけた曲が、2〜3曲くらいあったんじゃないかな」
アキラ「そうですね。ちなみに、Nibiruでは他の曲もいくつかつくって、ライブで披露したりしましたよね」
トモ「そうだった。でも、なんか途中でフェードアウトしちゃったね…特に理由もなく」
アキラ「今回のTOMOAKIRAも、当初はNibiruでいこうかどうか相談したんですよ。でも、僕がNibiruはやめましょうって言って、TOMOAKIRAになりました」
__では、このたび新レーベル、ATZからリリースされる、TOMOAKIRA名義の新曲「Is Rock」について教えてください。この曲でトライしてみたかったことは、何だったのでしょうか?
アキラ「“ロックなギターがほしい”っていう、ちょっと不思議なリクエストをもらいましたね(笑)」
トモ「20年くらい前のロックなギター・リフが欲しくてね」
アキラ「それで、YouTubeとかで昔の曲をチェックしながらさぐっていって、グランジっぽいギター・リフをいくつか弾きました。だから、真新しいリフでは全くないんですけど、そもそもギター・リフって、レッド・ツェッペリンの頃からそういうものじゃないですか」
トモ「20年くらい前の音って、とりあえず寝かせごろでいいんだよね。それに、一番重要なことは、アキラさんはロックの人だってことなの。ちゃんとロックの人に、ロックのリフをひいてもらいたかった。テクノの人がギターものをやりました、みたいな感じには、絶対したくなかったから。それって、やっぱり聴くと分かっちゃうものでしょ?」
__そうですね。
トモ「クラブ・ミュージックの人がギターものをやると、やっぱりロックしてないというか」
アキラ「違いますよね、確かに。それは、ジャズ畑の人と一緒にセッションすると、やっぱりキレイすぎて何か違うっていうのと、同じだと思います。粗い感じが出ないんですよね。コード感とかも違うと思いますし」
__ちなみに、ダンスものでは必然的にBPMに縛られてしまう部分がありますが、そういった制約は気になりませんでしたか?
アキラ「それは確かにあるんですけど、何年も一緒にやってきたんで、もう慣れましたね。何回弾いても、絶対に機械のビートとは完全に合わないってことも分かりましたし」
トモ「長く弾いてもらっても、結局エディットしちゃうしね(笑)」
アキラ「それで全く問題ない(笑)。ただ、TAKE 3くらいのプレイが一番いいような気がする」
トモ「でもね、僕の立場としては、そのちょっとズレているけど合っている感じが欲しいんだ。その矛盾しているフィーリングがポイントなの。ワイルドな感じというか」
__曲づくりは、どのように進めていったんですか?
トモ「まずは、ほとんどドンカマのリズムにギターのアイディアを乗せてもらって、それをもとに僕が曲をまとめていくスタイルだから、最初の主導権はアキラさんにあるんだよね」
アキラ「で、“あとはよろしくお願いします”って感じで(笑)」
__かなりシンプルですね。
アキラ「一番やりやすい方法だと思いますね。だから、曲の方向性で意見が対立するような場面は、ほとんどないですよ。もちろん、コレはなし、コレはアリって相談はしますけど」
トモ「でも、ああだこうだってなることがない。ロックとクラブという、ある種一番遠いジャンルに属している人間どうしだから、対立しないんだろうね。で、そこに、このユニットをやる意味もあるわけ」
__なるほど。では、実際に完成した「Is Rock」を聴いた、アキラさんの感想を教えてください。
アキラ「3バージョンありますけど、途中のブレイクでモロにそのままのギター・リフが出てくる方は、逆にちょっと恥ずかしくなりますね(笑)。あれは、正直恥ずかしいなぁ」
トモ「ハハハ」
__トモさんとしては、どういったテイストのトラックに仕上げたかったんですか?
トモ「ロックな感じのダンス・トラック(笑)。ただそれだけを意識してつくっていったから、結果として、エレクトロでも、テクノでも、Psyトランスでもない曲になったと思うな」
__確かに、その通りですね。よくよく分析してみると、どの区分にも属してませんね、この「Is Rock」。
アキラ「この曲は、そこがなんか新しくて面白いですよね」
トモ「ジャンル不明(笑)。TOMOAKIRAって名前は海外でウケそうだから、外国の人も聴いてくれるといいな」
【楽曲情報】
TOMOAKIRA
IS ROCK
(JPN) ATZ Recordings / ATZ001
beatport
Juno Downloads
wasabeat
iTunes Store
にて、デジタルリリース
【オフィシャルサイト】
http://www.atzrecordings.com/