Washed Out『Within And Without』インタビュー


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’09年にMexican SummerからリリースされたデビューEP、『Life Of Leisure』で一躍脚光を浴び、ネオン・インディアンやトロ・イ・モアらと共にチルウェイブ~グローファイ・サウンドの中心的アーティストとなったウォッシュト・アウト。米ジョージア州出身のアーネスト・グリーンが手がける、世界のインディー・シーンで話題のエレクトロニック・ポップ・プロジェクトです。

そんなウォッシュト・アウトが、遂に待望のデビュー・アルバム『ウィズイン・アンド・ウィズアウト』を7/6に日本先行リリースします。アニマル・コレクティヴ、ディアハンター、ナールズ・バークレイらの作品を手がけてきたことで知られるベン・アレンとレコーディングし、完成させたという注目作です。

ここでは、その『ウィズイン・アンド・ウィズアウト』の内容と、ドリーミーなウォッシュト・アウトのサウンドについて、アーネスト・グリーンに話を聞きました。なお、ウォッシュト・アウトはフジロックで来日することが決定しています。


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WASHED OUT

よりオーガニックでエレガントな音世界を手にした、
チルウェイブのイメージを牽引する注目アーティスト

__デビュー・アルバム『ウィズイン・アンド・ウィズアウト』の完成とリリース、おめでとうございます。アーティストとして一躍脚光を浴びる存在となってから、この1~2年でご自身をとりまく環境にかなり変化があったかと思いますが、現在の心境はいかがですか?

「色々と注目されたことには、凄く興奮したよ。今まで、こんなに誰かと音楽をシェアしたことはなかったから。だから、皆が僕の曲を楽しんでくれるのが本当に嬉しかったんだ。同時にアルバムに対してのプレッシャーも感じるようになった。だから最初はアルバムの曲を書くのが少し大変だったんだ。でも結果的に、そのプレッシャーがベストな作品をつくるのに大きく役立った。今までフルレングスのレコードを書いたことがなかったから、今はアルバムを完成させることができてホッとしている。今回の作業で沢山のことを学んだから、早くも次の作品をつくるのが楽しみなんだ」

__では、早速ですが、そのアルバムについて教えてください。まず、本作の準備、レコーディングはいつ頃からスタートして、どのようなプロセスで進めていったのでしょうか?

「アルバムの大部分はジョージアの田舎にある湖際のコテージで書いて、そこでレコーディングした。その後一週間くらい、ジョージアのアトランタにある本格的なスタジオで、プロデューサーのベン・アレンと一緒に作業して、レコーディングとアルバムのミックスを仕上げた。結果的には、制作には5ヶ月かかった」

__ベン・アレンとの作業はいかかでしたか?

「作業は、自分が想像していたよりもずっとスムーズに進んだよ。ベンは僕の音楽のファンだったらしく、僕が何を求めているかを本当によく理解していた。もともとベンのほうから一緒につくらないかとアプローチしてきたんだ」

__曲づくり自体は、どんな楽器や機材を使いながら進めていったのでしょうか?

「以前から曲づくりに使っているのと同じソフトウェアを使って、今回も曲を書き始めたんだ。何故なら以前の曲とのサウンド的な繋がりも持たせたかったからね。で、作業がある程度進んでから、よりオーガニックなたくさんの楽器を使った。ベース、ドラム、ホーン、ストリングス、そしていろんな種類のシンセサイザーなんかをね」

__音楽的には、あなたが注目されるきっかけとなった『Life Of Leisure』(’09)の音世界をさらに押し広げたような、とてもドリーミーでソフトなサウンドを楽しめる作品となっていますね。曲づくりやサウンドメイキング面で重視したことは何でしたか?

「アルバムをつくる上で、特に具体的なサウンドのアイディアは持ってなかったよ。だから、まずアルバムをつくるにあたって、いろいろなサウンドをつくる実験をしたりもしたんだ。で、その実験のおかげで、お互いに上手く響きあう音の組み合わせなんかを、直ぐに発展させていくことができた。一番重要だったのは、それぞれの曲に合ったトーンを見つけることだったと思う。何故なら、今回はサウンドではなく曲そのものが一番大きなポイントだったからね」

__楽曲性そのものを重視したんですね。では、アルバム・タイトルを“ウィズイン・アンド・ウィズアウト”とした理由と、タイトル曲の「Within And Without」はどのようにして誕生した楽曲なのかについて教えてください。

「これは聖書の古い言葉だったと思うんだけど、”Within And Without”というフレーズには、深い意味があるんだ。大まかに言うと、人の内面的世界と外界の関係についての言葉だね。僕はそこから、非物質的で本質的な考えやアイディアを描写しようとしているんだ。で、「Within and Without」は、アルバムの収録曲の中でも確かかなり最後の方に書いた曲だったよ。その時までに、アルバム用に既にアップテンポな曲を何曲も書いていたから、アルバムのバランスを考えるともう少しスローな曲も必要だな、と考えていたんだ。僕の記憶が正しければ、この曲はかなりパパッとかけたと思う」

__リード・トラックの「You And I」は、どのようにして誕生した楽曲ですか?

「ピアノでベーシックなリフを書いたんだ。基本的な曲のストラクチャーは、僕の頭の中にあったからね。で、ニューヨークのミュージシャン、キャロライン・ポラチェック(チェアリフト)の家で、曲の仕上げをしたんだ。曲を通して聴けるボーカルのループは、キャロラインが歌ったものだよ。で、彼女のボーイフレンドのジョルジ(・エルブレヒト/バイオレンス)と僕が、一緒に歌ったんだ」

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__ところで、あなたの楽曲特有の、スローで、エコー~ディレイをたっぷり配したシンセ・サウンドというのは、もともとどのようにして誕生し、形成されていったものなんですか?

「もう長いこと曲を書いているから正直わからないな。ただ自分でつくっていて楽しいサウンドをつくっているだけなんだけどね」

__ちなみに、曲づくりをしていく際のあなたのインスピレーション源や、あなたが理想としている究極の音世界というのは、どういった感じのものなんですか?

「僕は、何かの経験に基づいて曲を書いたりはしないんだ。ただ楽器の前に座っていることが楽しいんだよね。で、そうすると自然に曲が湧き出てくる。作業をしながら試行錯誤したりするのが大好きなんだ。特に理想としている音世界みたいなものはないけど、僕はどちらかと言えばメランコリーな曲を書く傾向にあるかな」

__あなたは米ジョージア州出身ですが、どのような音楽環境で育ってきたんですか?

「もともとはロックを聴いていたんだよね。それで音楽に興味を持つようになった。ロックの後、ヒップホップにハマってたんだけど、その影響でエレクトロ・ミュージックを発見して、音楽をつくり始めたというわけさ」

__ウォッシュト・アウトという名前を思いついたきっかけは何でしたか?

「ウォッシュト・アウトっていう名前には、特に意味はないよ。他の言葉と比べて、ただその響きが本当に気に入ったから、そう決めたんだ」

__ブロガー達が、あなたやトロ・イ・モア、ネオン・インディアンに対して形容した、チルウェイブやグローファイといった言葉には、どんな印象をお持ちですか?

「僕は、チルウェイブやグローファイと言われる音を、もう何年もつくり続けている。だから、これは自分自身の中から自然に出てきたサウンドなんだ。何かを分類するのに必要不可欠なことなのは分かるけど、ジャンルとかそういったことは、全く気にしていないよ。チルウェイブだと呼ばれている、他のどのミュージシャンも、最初からチルウェイブ・ミュージックをつくることを目指していたわけじゃないと思う。共通項よりも、それぞれの違う部分を見る方が、ぜんぜん面白いとは思うけどね」

__その通りですね。あなたが音楽活動をしていて、今一番楽しいことと、反対に一番大変だと感じていることは何ですか?

「新しいイクイップメントをプレイする時が一番楽しいよ。だって、それを使うだけで、いろんな新しいアイディアが浮んでくるからね。一番大変なことは、いろんな作業を時間内に間に合わせる形で終わらせる、ってことかな。今回のレコーディングの後半は、かなり大変だったんだ。スタジオの使用期間が決まっていたからね」

__では最後の質問です。あなたの次なる活動目標と、フジロックではどんなパフォーマンスを行う予定なのか教えてください。

「前進し続けていきたい。その時その時で、新しい音楽をつくり続けていきたいね。フジでは、『ウィズイン・アンド・ウィズアウト』からの新曲を、もっと演奏するよ!」

interview & text Loud Magazine


【リリース情報】

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WASHED OUT
Within And Without
(JPN) YOSHIMOTO R and C / YRCG-90060
7月6日 日本先行発売
HMVでチェック

tracklisting
01. Eyes Be Closed / アイズ・ビー・クローズド
02. Echoes / エコーズ
03. Amor Fati / アモール・ファティ
04. Soft / ソフト
05. Far Away / ファー・アウェイ
06. Before / ビフォア
07. You And I / ユー・アンド・アイ
08. Within And Without / ウィズイン・アンド・ウィズアウト
09. A Dedication / ア・デディケーション
日本盤ボーナス・トラック
10. Eyes Be Closed (Alex Version) / アイズ・ビー・クローズド(アレックス・ヴァージョン)
11. Step Back(ステップ・バック)

【オフィシャルサイト】
http://bignothing.net/washedout.html
http://www.randc.jp/washedout/discography.html

【VIDEO】

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