アクスウェル(Axwell)、セバスティアン・イングロッソ(Sebastian Ingrosso)、スティーヴ・アンジェロ(Steve Angello)からなる、スウェーデン出身のエレクトロニック・ダンス・ミュージック・グループ、スウェディッシュ・ハウス・マフィア(Swedish House Mafia)。2010年に「One」をリリースして以降、「Miami 2 Ibiza」「Save The World」「Antidote」「Greyhound」、そして最新シングル「Don’t You Worry Child」と、ヒット・シングルを連発し、スタジアム・クラスの会場を満員にするアーティストへと成長。EDMと呼ばれるシーンの頂点に君臨する存在となったスーパー・アクトです。
そんなスウェディッシュ・ハウス・マフィアが、その活動の最終章を飾るアルバム『アンティル・ナウ』(Until Now)をリリースしました。彼らがこれまでリリースしたシングル全てを網羅すると同時に、EDMシーンのアンセムや最新ヒットをふんだんに盛り込んだ本作。計34曲もの楽曲を、彼ら独自のセンスでミックス、マッシュアップしながらノンストップで紡いだ内容で、正にスウェディッシュ・ハウス・マフィアの歴史を凝縮した注目作となっています。
ここでは、スウェディッシュ・ハウス・マフィアの集大成とも言える本作『アンティル・ナウ』の内容について、ご紹介しましょう。
Swedish House Mafia『Until Now』特集
人気DJ/プロデューサーとして活躍していたスウェーデン出身のハウス・ミュージック・クリエイター三名、アクスウェル(Axwell)、セバスティアン・イングロッソ(Sebastian Ingrosso)、スティーヴ・アンジェロ(Steve Angello)が2008年に結成したグループ、スウェディッシュ・ハウス・マフィア(Swedish House Mafia)。2009年に、彼ら三人とレイドバック・ルークの連名でリリースした「Leave The World Behind」のヒットを経て、2010年にスウェディッシュ・ハウス・マフィア名義での初リリースとなる「One」をリリースすると、瞬く間にクラブで人気を獲得し、各国のクラブ・チャートで1位を記録。後に発表したファレルのボーカルを加えたバージョン「One (Your Name)」は、全英チャートの7位を記録し、一躍名実共にシーンをリードする存在となった重要アーティストです。
その後の活躍も目覚ましく、同年にリリースした、続くセカンド・シングルでタイニー・テンパーをフィーチャーした「Miami 2 Ibiza」は、チャートの4位を記録。そして2010年10月に、ドキュメンタリー・フィルム『テイク・ワン』のサウンドトラックという前提で、三人がタッチしたプロダクションや他アーティストのトラックをノンストップ仕立てにしたファースト・アルバム『アンティル・ワン』(Until One)を発表すると、全英チャート2位、ゴールド・ディスク獲得、100万枚を売り上げる大ヒットを記録しています。2011年以降も、第54回グラミー賞にノミネートされた「Save The World」(全英10位)、ペンデュラムのメンバーからなるEDMユニット、ナイフ・パーティと組んだ「Antidote」(全英4位)、「Greyhound」(全英13位)、そして最新シングルの「Don’t You Worry Child」(全英1位)と、リリースするシングルは全てヒット作となっています。
彼らスウェディッシュ・ハウス・マフィアがこれほどの人気を獲得した理由は、なんと言ってもそのライブ・パフォーマンスの圧倒的なパワーにあり、それを証明するように、例えば2011年暮れにニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催された、2万人の前で行ったライブ・チケットは、わずか10分で完売。さらに2012年のコーチェラ・フェスティバルでは、サブ・ヘッドライナー扱いとなり、UKではスウェディッシュ・ハウス・マフィア史上最大級のヘッドライン出演となった、6万5千人収容のミルトン・ケインズ・ボウルで、ヘッドライナー・ギグを行うに至っています。
また、彼らの活躍とほぼ同時進行するかたちで、アメリカではEDM(Electronic Dance Music)と呼ばれる、エレクトロ・ハウス、プログレッシブ・ハウス、ダブステップの一部を中心とした新たなムーブメントが形成され、世界的ブームに。スウェディッシュ・ハウス・マフィアは、もちろんそんなEDMシーンの最重要ユニットとして認知されており、彼らの活躍なしにEDMの隆盛はなかったと言っても過言ではないでしょう。
しかし今年、そんなスウェディッシュ・ハウス・マフィアは、残念ながら2012年~2013年の世界ツアー、“ONE LAST TOUR”をもって解散することを表明。そのかわりに、ここにご紹介する第二弾にして最終章となるアルバム『アンティル・ナウ』(Until Now)を届けてくれました。本作は、彼らがこれまでリリースしたシングル全てを網羅すると同時に、彼らのライブ・ギグの醍醐味も体感できる、スウェディッシュ・ハウス・マフィアの歴史を凝縮した注目作となっています。
トラック数としては22曲ですが、トラックをブレンド(マッシュアップ)したスウェディッシュ・ハウス・マフィアのオリジナル・エディットも数多く収録されているので、延べでカウントすると34曲もの楽曲が使用されている本作。まず注目すべきは通算6枚目となる最新シングル「Don’t You Worry Child」でしょう。「Save The World」同様、同郷のシンガー、ジョン・マーティンが歌い上げるこの楽曲は、彼ら自身が“大人をも泣かせる”と述べるほどエモーショナルで開放感に満ちた内容で、リリースと同時に全英チャート1位を記録。アデル「Skyfall」(映画007シリーズ最新作主題歌)とのチャート・レースでも話題になったばかりです。ちなみに本作では、「Don’t You Worry Child」はアルバムのピークタイムで、「Save The World」はアルバムのラストを飾るナンバーとして収録されています。
なお、彼らの本作における彼らのシングル曲ですが、「Greyhound」はアルバムのオープニング・トラックに、「Antidote」とDirty South & Those Usual Suspects feat. Erik Hecht「Walking Alone」とマッシュアップされた「Miami 2 Ibiza」は、連続して前半の山場に、「One」は、Florence + The Machine「You Got The Love (Mark Knight Remix)」とマッシュアップされ、アルバム終盤「Save The World」の前に収録されています。キック・ドラムの音がメロディーとなり、そのメロディーがビルドアップしていき、壮大なシンセ・リフが炸裂する「One」は、スウェディッシュ・ハウス・マフィアのトレードマークとなるサウンドが完成したという意味においても、エレクトロニック・ダンス・ミュージックの歴史に残る名曲でしょう。なにはともあれ彼らのオリジナル曲を聴き進めると、他のEDM系アーティストとは一線を画す卓越したメロディー・センスも再認識できるのではないでしょうか。
また、スウェディッシュ・ハウス・マフィア関連のトラックとしては、Coldplay vs. Swedish House Mafia「Every Teardrop Is A Waterfall」、Usher「Euphoria (Swedish House Mafia Extended Dub)」も注目でしょう。どちらも本作で初めて公式に音源化された、エクスクルーシヴ・トラックとなっています。さらに本作には、スウェディッシュ・ハウス・マフィアのソロ関連トラックも数多く収録されており、特に、最近リリースされたばかりのシングル、Sebastian Ingrosso & Tommy Trash「Reload」、まもなくシングル・リリースされるSteve Angello & Third Party「Lights」は、本作の聴き所の一つとなっています。
その他、他アーティストのトラック群も強力で、Hard Rock Sofa & Swanky Tunes「Here We Go」、Ivan Gough & Feenixpawl feat. Georgi Kay「In My Mind (Axwell Mix)」、Miike Snow「The Wave (Thomas Gold Edit)」などなど、EDMファンにはお馴染みの人気曲から最新ヒットまでを、彼らならではの選曲眼で収録。『アンティル・ナウ』は、ロック~ポップ・スター・クラスの人気を獲得するまでに成長を遂げたスウェディッシュ・ハウス・マフィアのラストを飾るに相応しい、その集大成を楽しめる内容となっています。ちなみに、本作のiTunesバージョンは、各曲をセパレートしたかたちでも収録しているので、コアなファン、マニアの方は要チェックでしょう。
2012~2013年のツアーを終えると、それぞれが再びソロ・アーティストとして活躍していくことになるだろうスウェディッシュ・ハウス・マフィア。彼らの今後の活躍を願いつつ、まずはその前に、是非ツアーで来日してくれることを期待したいところですね。
【リリース情報】
SWEDISH HOUSE MAFIA / スウェディッシュ・ハウス・マフィア
UNTIL NOW / アンティル・ナウ
(JPN) EMI / TOCP-71388
10月24日発売(海外・輸入10/22 OUT)
HMVでチェック
tracklisting
01. Swedish House Mafia – Greyhound
02. Hard Rock Sofa & Swanky Tunes – Here We Go
03. Ivan Gough & Feenixpawl feat. Georgi Kay – In My Mind (Axwell Mix)
04. Sebastian Ingrosso & Alesso feat. Ryan Tedder – Calling (Lose My Mind)
05. Nari & Milani – Atom / Axwell, Ingrosso, Angello & Laidback Luke feat. Deborah Cox – Leave The World Behind
06. Swedish House Mafia vs. Knife Party – Antidote
07. Dirty South & Those Usual Suspects feat. Erik Hecht – Walking Alone / Swedish House Mafia vs. Tinie Tempah – Miami 2 Ibiza
08. Michael Calfan – Resurrection (Axwell’s Recut Club Version) / Coldplay – Paradise
09. Miike Snow – The Wave (Thomas Gold Edit)
10. Steve Aoki feat. Wynter Gordon – Ladi Dadi (Tommy Trash Remix) / Thomas Gold – Sing2Me / Red Carpet – Alright
11. Pendulum – The Island (Steve Angello, AN21 & Max Vangeli Remix)
12. Steve Angello & Third Party – Lights
13. Alesso – Raise Your Head / Sandro Silva & Quintino – Epic
14. Hardwell – Three Triangles / Arty, Matisse & Sadko – Trio / Adrian Lux – Teenage Crime
15. Sebastian Ingrosso & Tommy Trash – Reload
16. Usher – Euphoria (Swedish House Mafia Extended Dub)
17. Swedish House Mafia feat. John Martin – Don’t You Worry Child
18. M-3ox feat. Heidrun – Beating Of My Heart (Matisse & Sadko Instrumental) / The Temper Trap – Sweet Disposition
19. Coldplay vs. Swedish House Mafia – Every Teardrop Is A Waterfall
20. Florence + The Machine – You Got The Love (Mark Knight Remix) / Swedish House Mafia – One
21. Axwell – Heart Is King / Swedish House Mafia – Save The World (Knife Party Remix)
22. Swedish House Mafia – Save The World / Ferry Corsten – Punk (Arty Rock-n-Rolla Mix)
【オフィシャルサイト】
http://emij.jp/shm/
www.swedishhousemafia.com
www.onelasttour.com
www.facebook.com/swedishhousemafia