「La Rock 01」や「My Friend Dario」など、数々のフロア・アンセムを生み出してきた、フランスを拠点に活動するプロデューサー、ヴィタリック(Vitalic)。本名パスカル・アルベー・ニコラス。デビュー・アルバム『OK Cowboy』(’05)で世界的ブレイクを果たして以降、『V Live』(’07)、『Flashmob』(’09)とコンスタントにアルバム作品を発表し、大規模なライブ・ツアーを開催。確固たる人気と地位を獲得している実力派です。
そんなヴィタリックが、待望のニュー・アルバム『Rave Age』(レイヴ・エイジ)をリリースしました。彼が近年積極的に行ってきたDJ/ライブ活動で得た感覚や成果を、彼ならではテクノ、ディスコ、ポップ・センスで新たにまとめ上げた本作。その内容は、彼自身が“今回のアルバムの曲は、すごくライブで演奏したくなる”、“自分がDJする時にプレイしたいものになっている”と語る、パワフルでエネルギッッシュなものとなっています。
ここでは、そんな意欲作『Rave Age』の内容について、ヴィタリックに話を聞きました。
Vitalic『Rave Age』インタビュー
__最新アルバム『Rave Age』の完成おめでとうございます。前作『Flashmob』リリース以降、あなたは長期にわたるツアーを行ってきましたが、今作の制作はいつ頃から、どこでスタートしたんですか?
「簡単なループのようなものを2年くらい前からつくり始めて、本格的にアルバム制作を始めたのは1年半前くらいからだね。まだツアーには出ていたんだけど、アルバムづくりに集中するため、ギグの本数を減らしたよ」
__『Rave Age』は、ライブでの演奏を意識した内容になっているそうですね。制作当初にあなたが思い描いていた作品の青写真とは、どのようなものだったのでしょうか?
「具体的なアイデアは特になかったけど、エネルギッシュなものにしようとは思っていたんだ。前作『Flashmob』は、どちらかというとダウンテンポな作品だったから、『Rave Age』では、ライブで演奏した時に自分もオーディエンスも踊れるものにしようと思ったんだ」
__『Rave Age』というアルバム・タイトルには、あなたのどんな思いが込められいるんでしょうか?
「このアルバムはタイトルの通り、確かにオールドスクール・テクノやレイヴに影響を受けている。でも僕は、このアルバムを単なるレイヴに影響されただけの作品にはしたくなかった。だからそれを超えた内容にするために、相容れないであろうジャンルのミックスにも挑戦したよ。今回のアルバムは、本来のレイヴやテクノとは全く違うものになっている。僕自身は、“レイヴィスコ”(Ravisco)って呼んでるんだけどね。テクノとレイヴの合いの子さ」
__今作は、結果としてバラエティー豊かな楽曲群を収録したアルバムとなりましたね。曲づくりや音づくりの面で特に重視したこと何でしたか?
「12曲がそれぞれ全く違うものなのに、アルバム全体として聴いた時には一貫性があるものにしたかったね。レイヴ、ディスコ、シン ガーをフィーチャーしたポップ・ソングまでね…。で、それらの楽曲全てが、同じ期間に同じ機材を用いてつくられたものだと分かるようにもしたかった」
__ボーカリストのJoe Reeves、Mickael Karkousse、Julia Lanoë、Owlleは、それぞれどういう経緯や理由で参加することになったんですか?
「Joe ReevesはShit Discoのメンバーで、僕は前々からこのバンドのことを気に入っていたから、いつか一緒に曲をつくろうって言い合っていたんだ。Mickael KarkousseはGooseのメンバーで、彼らとは日本も含めていろんな場所でツアーしたね。このグループのことも大好きさ。Juliaは、フランスではとても有名なパンク・シンガーさ。彼女と曲をつくるなんて、なんだかおかしなミックスのような気がしたけど、挑戦してみたかったんだ」
__彼らとのコラボレーションはいかがでしたか?
「正直に言うと、実際にスタジオで一緒に作業したのはOwlleだけなんだ。もっぱら、曲のインストを僕が指示を添えて送り、 彼らがボーカル・パートを送り返す…っていう手法だった。効率よく作業ができたけど、ちょっと人間の感情が恋しくもなる作業だったね」
__ビデオが公開された「Stamina」は、どのようにして誕生した曲ですか?
「かなり前から“スタミナ”という単語を使って、活力に関する曲を書きたいと思っていたんだ。で、制作の時、1ヶ月ほどずっと僕の頭の中に曲のアイディアがあった。ユーモアのある、パワー全開のテクノパンクにしたいっていうアイディアがね。この曲に関するアイディアには様々な要素があって、聴いていると楽しくなって、体が踊り出すようなファンファーレすらあったんだ」
__ちなみに、今作の中であなたが個人的に特に満足している楽曲は何ですか?
「おそらく、「Stamina」と「No More Sleep」だね。この2曲では、やりたかったことをほぼ実現することができたと思う」
__今作の制作作業で、特に印象に残っているエピソードは何でしたか?
「僕は、楽曲をどこででも書くんだよね。宿泊先のホテルでも、電車の中でもね。で、それを自分のスタジオで完成させて、そしてエール(AIR)との仕事でも知られているプロデューサー、Alfと共に、パリでミックスするんだ。今回のアルバムは、文字通りそこかしこで制作したよ。アルバムの最後のパズルのピースは、パリで5〜6月に組み立てた。最も憶えている瞬間は…「No More Sleep」のほとんどを、オーストラリアのゴールドコーストのホテルで書き上げた時かな。全く眠りにつくことができなかった夜に、この曲は書き上げたんだよ」
__それで「No More Sleep」という曲名なんですね。で、今回の『Rave Age』のツアーでは、どんな内容のショーを計画中ですか?
「今回は、ドラマー、キーボーディストと一緒にステージに上がるつもりさ。機械から離れた、より肉体的なショーになるはずだよ。あと、以前僕のショーの映像をデザインしてくれた1024に、引き続き映像をつくってもらう予定だ。これで技術面でも肉体面でも、さらに限界を押し上げることができると思う。翌月からヨーロッパをツアーする予定になってるよ」
__ところで、あなたは最近南ヨーロッパで過ごすことが多いそうですね。南ヨーロッパのどんなところを気に入っているんですか?
「ここ3年くらい、ローマにはよく行くね。あと、バルセロナは本当に魅力の尽きない場所だよ。楽しく生活できるし、良い友達がいるというところが魅力のポイントかな」
photo Vincent Arbelet 2012
interview iLOUD
【リリース情報】
Vitalic
Rave Age
(JPN) Pias/Different/Hostess / DIFF250CDJ
10月31日発売
HMVでチェック
tracklist
1. Rave Kids Go
2. Stamina
3. Fade Away
4. Vigipirate
5. Under Your Sun
6. No More Sleep
7. Nexus
8. The March of Skabah
9. Lucky Star
10. La Mort Sur Le Dancefloor
11. Next I’m Ready
12. The Legend of Kaspar Hauser
13. Morbido (from the soundtrack “The Legend of Kaspar Hauser”)*
14. Stamina (Club Cheval Remix)*
15. Stamina (Le Castle Vania Remix)*
* 日本盤ボーナストラック
【オフィシャルサイト】
http://hostess.co.jp/
http://www.vitalic.org/
【フリー・ダウンロード】
Rave Age Minimix
http://soundcloud.com/vitalicofficial/rave-age-minimix
【VIDEO】