65daysofstatic『Wild Light』インタビュー/5月に来日決定


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英シェフィールド出身のSimon Wright(bass)、Paul Wolinski(guitar/piano)、Rob Jones(drums)、Joe Shrewsbury(guitar)からなるインストゥルメンタル・ポストロック・バンド、65daysofstatic(‪65デイズオブスタティック‬:65dos)。2004年に『The Fall of Math』でアルバム・デビューを果たして以来、轟音のギター、美しいピアノ、エレクトロニックなリズム/サウンドを融合した独自の音世界で高い評価を得てきた実力派です。ここ日本でも、2006年のサマーソニックで話題を集めて以降、そのライブ・パフォーマンスの評判も含めて、安定した人気を誇っています。

そんな65daysofstaticが、昨年リリースした通算5作目のニュー・アルバム『Wild Light』を携え、5月13日(火)大阪 梅田AKASO、5月14日(水)東京 LIQUIDROOMの日程で来日公演を行うことになりました。というわけで、ここでは最新アルバム『Wild Light』の内容と今回の来日について語った、65daysofstaticのインタビューをご紹介しましょう。『Wild Light』は、進化した65daysofstaticのサウンドが詰った進展作となってますよ。


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65daysofstatic『Wild Light』インタビュー

__最新アルバム『Wild Light』は、前作『We Were Exploding Anyway』から約3年ぶりとなる、通算5作目のアルバムになりますね。まず、今作の曲づくりはいつ頃スタートさせたのでしょうか?

「2011年の終わりくらいに作曲を始めたと思う。最終的に仕上がったのが2013年の春で、その年の秋にリリースしたね。もう2014年になったけど、ようやく日本に行けるよ。この作品の何曲かとは2年以上の付き合いになるけど、いまだに新鮮だし、とてもエキサイティングに感じる。とても誇らしいね。思うに『Wild Light』は、僕らの制作した中でも最も力強いレコードじゃないかな」

__今作の制作を進めていくにあたって、何か作品のテーマやコンセプトはありましたか?

「いくつかの点でにおいては、そう言えるかもね。何か特定の物語を伝えるような意味での“コンセプト・アルバム”というわけではないんだけど、自分たちが伝えたいムードがあって、そのムードを各曲で違った手法でアプローチしたんだ。そのムードについてを言い表せる言葉が見つからないんだけど…そのための曲になっている、というかね。何とか説明するとすれば、それは緊急と恐怖の間に横たわっていて、たぶんほんの少しの希望がその中に隠されている(けど、そうじゃないかもしれない)…そんな感じかな」

__アルバム・タイトルの“Wild Light”は、どのようにして出てきた言葉でしたか? “Wild Light”という言葉に託した意味合いなどについても教えてください。

「この作品に名前を付けるのは、とても難しかった。この“Wild Light”というタイトルは、最後の方になって出てきたんだ。今となっては、“もちろんこのレコードは『Wild Light』っていうんだ。他になんて呼べばいい?”みたいに明確に感じるけど、そこに至るまでは長い時間がかかったよ。思うに、このタイトルの裏には違った意味合いがあるんだ…それは意図して曖昧になっていて、恐らくメンバー四人それぞれにとって違った意味があるんじゃないかな」

__今作のサウンドメイキング、レコーディング面で特に重視したこと、またチャレンジしたかったことは何でしたか?

「このレコードのサウンド・デザインには、とても長い時間を費やした。僕らの初期の作品はとても気に入っているけど、公平に言って“戦闘的な”パンクの要素が一定以上含まれていたから、(今作では)今のベストな音像をつくりあげたかったんだ。ああいった要素は、初期の65daysofstaticの音源にはとても効果的だったんだけど、新曲にはこれまでとは違ったアプローチが必要だと感じて、より高解像度な音を目指したよ。大きな違いで言えば、大量の曲をスタジオに持ち込むかわりに、アルバムに必要な曲だけを決め込んで作業を始めたところかな。一つ一つの曲にフォーカスする時間が長くなったし、一曲としての完成度も高まったね」

__曲づくりのプロセス自体に関して、これまでの作品と比較して何か変化したこと、進化した要素はありましたか?

「あったね。すべての曲はまだとてもノイジーだけど、65daysofstaticにとっては比較的ミニマルなんだ。すべてのメロディーを本質的な部分まで削ぎ落として、そこから音が効果的に鳴るように配置する。すごくシンプルな教訓のようだった、“余計なものがない方がいい”…。長い間この金言が言われ続けてきた理由が分かるよ。『Wild Light』は、僕らにとって大きな前進だった」

__アルバムのリード・トラック「Prisms」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「この曲は、電子機器とプログラミングから始まったんだ。ここ一年くらい、タフなダンス・ソングを作りたいと考えていて、仕上げるのに最も手こずった曲の一つだね。激しい打撃音、そしてキックとシンセ・ベースから始まる曲を作ろうとしていて、なかなか上手くいかなかった。最終的に、一年経ってようやく後半のギターを入れてみたところで、突然別の曲みたいになったんだ。最後に気づいたのは、「Prisms」はダンス・ソングではなく、それよりも何かもっと変わったものだったんだ…ってことかな」

__「Taipei」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「これは、台北のホテルの中で、ピアノのポリリズムとしてスタートしたんだ。もちろん、それだけでこの名前にしたわけじゃないんだけど、それも理由の一つだね。その時のピアノ・ラインを65HQに持ち帰って、大量のノイズを足して、最終的に“大きな”響きの曲になる方向となったから、再度ノイズを引いて、それに合ったコードとプロダクションになった。5/4だけど、とてもシンプルで、アクセスしやすい曲に仕上がったと感じているよ」

__今作のアルバム制作で、特に印象に残っているエピソードなどがありましたら教えてください。

「たぶん、この作品のレコーディングに関する楽しい逸話を探しているんだと思うけど、何を伝えていいかわからないんだ。この作品は、かなり暗いレコードのように聞こえるにもかかわらず、制作全体のプロセス自体は、本当に素晴らしかった。それを楽しいって表現していいものか分からないんだけど、愉しかったとは言えるかな。レイチェル・クシュナーというアメリカの作家がいるんだけど、手元にある彼女の本から引用したい――“いくつかの楽しみは簡単だが、その他の種類のものは容易ではなく、ハードワークの残滓にのみ存在し、スリルよりも満足感のように感じるものだ”。この答えは、キミが望んでいるものと同じくらいエキサイティングな答えではないかもしれないけど、この描写が一番ぴったりくる表現に感じる。スタジオにいたときは、とてつもない“スリル”があった。ブッ飛んだディストーションに囲まれて、スリルがないわけがないよね?」

__5月の来日公演では、どんなライブ・パフォーマンス、どんなセットを披露する予定ですか?

「もちろん、ふるい曲もいくつかプレイするつもりだけど、日本で『Wild Light』の曲を轟音で演奏できるのが待ちきれないよ!』

__最後に、65daysofstaticの次なる活動目標、次なるヴィジョンを教えてください。

「この時代にまだバンドとしていられることに、とても興奮している。『Wild Light』のことはとても誇りに思っているし、日々何かを学んで、次のステップはより良いものになるはずさ。今も、いくつかのエキサイティングなプロジェクトが進行していて、バンドにとって別の地平に向かっていければいいと思っているよ。こうやって続けていけることは、本当に幸運だと感じているよ」

interview iLOUD


【リリース情報】

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65daysofstatic
Wild Light
(JPN) 残響 (zankyo) / ZNR-131
発売中

tracklist
1. Heat Death Infinity Splitter
2. Prisms
3. The Undertow
4. Blackspots
5. Sleepwalk City
6. Taipei
7. Unmake the Wild Light
8. afe Passage
9. Artismal (Japan Bonus Track)

http://zankyo.jp/artist/455

【来日情報】


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65daysofstatic JAPAN LIVE 2014

大阪
5月13日(火)
梅田AKASO
Support act: cinema staff
OPEN 18:00 / START 19:00
TICKET ¥5,500(オールスタンディング/税込)
問)キョードーインフォメーション 06-7732-8888

東京
5月14日(水)
LIQUIDROOM
Support act: cinema staff
OPEN 18:00 / START 19:00
TICKET ¥5,500(オールスタンディング/税込/別途1ドリンク)
問)クリエイティブマン 03-3499-6669

http://www.creativeman.co.jp/artist/2014/0565dos/
http://zankyo.jp/event/469

【65daysofstatic オフィシャルサイト】
http://www.65daysofstatic.com/

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