Basement Jaxx『Junto』インタビュー

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フィリックス・バクストンとサイモン・ラトクリフからなる、イギリスを代表するハウス/ダンス・ミュージック・デュオ、Basement Jaxx(ベースメント・ジャックス)。1994年に活動をスタートして以来「Samba Magic」「Fly Life」「Red Alert」「Where’s Your Head At」などなど、数々のヒット曲を送り出してきた人気アーティストです。スタジオ・アルバムは、1999年のファースト作『Remedy』以降、『Rooty』(2001)、『Kish Kash』(2003)、『Crazy Itch Radio』(2006)、『Scars』(2009)、『Zephyr』(2009)の6作を発表。2005年には『Kish Kash』でグラミー賞を受賞し、さらにベスト盤『The Singles』で全英チャート1位の座を獲得しています。ライブ・アクトとしての評価も高く、グラストンベリーやフジロックでのパフォーマンスでも知られるところですね。

そんなBasement Jaxxが、前作から約5年ぶりとなるニュー・アルバム『Junto』(フント)をリリースしました。古巣のXL Recordingsを離れ、制作環境を新たにし、自分達の原点を再認識し、自身のレーベルであるAtlantic Jaxxから送り出した注目作です。その内容は“Junto”(スペイン語で、一緒に/共に、の意)というタイトルの通り、彼ららしいポジティブな精神を、彼ららしい多彩なダンス・サウンドで表現したものとなっています。

ここでは、本作の内容とその背景について、先日フジロックで来日を果たしたBasement Jaxxのフィリックス・バクストンに話を聞きました。


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Basement Jaxx『Junto』インタビュー

__新作『Junto』は、オリジナル・アルバムとしては2009年の『Scars』と『Zephyr』以来約5年ぶりの作品となりますね。その間、どのようなプランで過ごしていたんですか?

「まあ、2011年には映画『Attack the Block』のサウンドトラックを手がけたし、オーケストラとのライブ・アルバム『Basement Jaxx vs Metropole Orkest』も手がけたし、あとドキュメンタリー映画『The Hooping Life』のサウンドトラックも手がけたりしていたから、今作の制作期間は、実際には2年半間くらいだったと思う。で、XL Recordingsとの契約を終えて、自主レーベルでやっていく道を選んだんだけど、それは昨今の音楽業界の在り方として、レーベルの存在意義はもうかつてほどじゃないだろうって判断したからなんだ」

__なるほど。

「だからこそ、今作を制作するにあたっては、より多くの人々を結びつけられるようなものをつくりたい、より多くのDJがプレイしたくなるような曲をつくりたい、という思いが強かったね」

__今作のアルバム・タイトルの“Junto”(フント)は、制作当初から頭の中にあった言葉だったんですか? また、このタイトルに込めた意味合いについても教えてください。

「このアルバム・タイトルは最後に決めたんだ。当初は、ずっと“make.believe”というタイトルにしようと思っていたよ、ソニーのキャッチコピーだと気付くまではね(笑)。だから、“make.believe”はボツになった。で、このタイトルの考えとしては、現実をただ受け入れるだけではなくて、もっと積極的に、前向きに自分自身の現実をつくっていく、というものがあるかな」

__それは、どういうことですか?

「この世の中に存在する人やモノはみんなつながっていて、やはりお互いになくては生存していけないものだと思うんだ。僕らはそういう思いや哲学を持っていて、これが今作の背景にあるものだね。だから、“Junto”というタイトルを付けることにしたんだ」

__Basement Jaxxの音楽には、以前からポジティブなフィーリング、ヴァイブスがあったと思うのですが、今作ではそういった要素をさらに強調したかったということですか?

「うーん、前作の『Scars』はけっこうダークな作風だったから、その反動という面が一つあるかもしれないね。あと、スタジオも変わったんだ。以前のスタジオは地下にあったんだけど、今回は窓のあるスタジオで作業したんだ。これも、前向きな変化だったと思う。ちゃんと光がさし込む場所で音楽をつくったんだからね」

__かなり制作環境が変わったんですね。

「個人的にも引っ越しをして、実は断捨離をしてね。物質主義はあまりよくないって口では言っていたけど、実際に行動にうつしたんだ。人生をよりシンプルにしたことで、Basement Jaxxにおいてもある種の原点回帰的な思いを持てた気がするよ。クラブ・ミュージック自体も、最近は再びハッピーな方向性の曲が多いし、実際に流行ってるよね」

__そうですね。

「現在は、ちょっとヒネってあったりダークなものじゃないと受け入れられない、という雰囲気ではなくなったと思う。だからこそ、シンプルに自分達らしく音楽をつくってもまたオッケーになった、という気持ちにもなれたかな。それと、僕は人生の中で二度泥棒にあったんだけど、なかなかヘヴィーな経験だったよ。そういったこともあって、ポジティブな方向に持っていきたかったのかもしれないね(笑)」

__ちなみに今作のアートワークで用いている新しいロゴマークも、その“Junto”を表現したものなんですか?

「そうだね。僕らは“Power to the People”(http://powertothepeople.fm/)という活動を行っていて、このプロジェクトを通じて様々な国の人々の音楽を収録した作品をつくろうとしているんだけど、これも、国境や文化を越えたところでみんなつながっているということを伝えたいからなんだ。復興輪太鼓の人達とレコーディングをしたりもしたんだよ。で、このロゴは、そのpowertothepeople.fmのホームページをつくってもらうという企画の一環でコンペティションを行って、その中で出てきたシンボルなんだ。より明快ですっきりとした、従来のイメージとは違う新しいBasement Jaxxを打ち出したいとも思っていたから、コレすごくいいじゃんってことになってね」

__とてもモダンで印象的なロゴだと思います。

「神聖な幾何学模様っぽい感じで、三つの要素から成っていて、それらが調和し、動きもあって、丸みのある雰囲気もいいし、気に入っているよ」

__分かりました。ところで、今回曲づくり自体は順調に進みましたか? それとも、難航気味でしたか?

「今回、2年間で50曲くらいつくったんだ。日本盤のボーナストラックに入っている「Wherever You Go (ゲスト Chara)」と「Oh Dear, Falling In Love With You (ゲスト MADEMOISELLE YULIA)」は、3年前に日本ツアーで来た時に、僕が残っていろんなミュージシャンとレコーディングした中からできた曲だね」

__そうだったんですか。

「「Galactical」も日本でレコーディングしたもので、Wrecking Crew Orchestraをフィーチャーしたビデオも公開するよ(編注:もう公開されています)。撮影も日本でやったんだ。あとはケニアのナイロビ、パラグアイ、インドなどでもレコーディングしたよ。このアルバムには、そういった素材がいろいろ入っているんだ。で、基本的には毎日スタジオで作業を続けて、時々他の人にも曲を聴いてもらってフィードバックをもらったりして…そんな感じだったね」

__昨年「Back 2 The Wild」や「What A Difference Your Love Makes」「Mermaid Of Salinas」を発表した頃には、もうアルバムの全体像や骨格はできていたんですか?

「去年リリースしたシングルやEPに関しては、まずはみんなの反応を見たいと思って出したものだったんだ。「Mermaid Of Salinas」は、ライブでプレイしながら2年くらいかけてアップデートしていった曲だね。イントロのジャジーなリフは、僕らのAtlantic Jaxxから曲をリリースしているAndrea Terranoが書いてきたもので、彼は“海辺を散歩していて出会った女性と恋に落ちて…”という彼にとって大切なエピソードも話してくれたんだけど、それもふまえて仕上げたんだ」

__今作の曲づくり、音づくりで特に重視したことはなにでしたか?

「クリーンでクリアであること、かな。かつての僕らのプロダクションって荒削りだったと思うんだけど、そのノリや雰囲気は維持、復活させつつも、サウンド自体は今っぽいキレイな感じにしたかったよ」

__では、ミュージック・ビデオの内容も話題となっている「Never Say Never (ft. ETML)」はどのようにして誕生した曲ですか?

「ビデオの再生回数が既にすごいことになっていて、興奮しているよ。この曲は、最近のディープ・ハウスっぽいノリをやってみたいねってことで、トラックとコードの基本パートはサイモン(・ラトクリフ)がつくったんだ。僕は、歌のパートをつくったよ。モトカノとのヨリを戻すのか戻さないのか、失ってしまったものと、その時の経験がいかに大切かという気持ちを歌にしたんだ。で、当初は女性ボーカルでやってみたんだけど、それが良かったんで、そのパートは中間部分に残してあるよ。その後ETML(サウス・ロンドン出身の、18才の新星)を呼んで、彼と一緒に曲を仕上げたんだ」

__分かりました。では最後に、今作の中であなたが特に重要視している曲について教えてください。

「やっぱり「Power To The People」かな。powertothepeople.fmの活動の中で、この曲の様々なバージョンをつくっているし、映画も撮っているからね。僕もカメラを持って撮影しに行ったりしてるんだよ。そういった諸々の作業が、今は何よりも楽しいんだ。オンライン上で、自分なりにいろんな楽器を組み合わせて楽しめる企画もあって、ワールド・ピースデイ(9/21)に合わせて発表したいバージョンも用意しているよ」

__それは楽しみですね。

「アルバムに入っている「Power To The People」には、ライブの時に5,000人の人達に歌ってもらった音源、パラグアイの子供達に歌ってもらった音源が入っているんだ。こんなにも多くの人達が僕らの曲に参加している点も、気に入っているよ。あと、この曲にある精神は、僕らのライブ・パフォーマンスからも伝わってくるんじゃないかと思う。実際に、世界各国の様々なバックグラウンドを持ったバンド・メンバー達が、ステージで一つになるんだからね」

Interview: iLOUD


【リリース情報】

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Basement Jaxx

Junto
(JPN) Atlantic Jaxx/Hostess / HSE-30335

2014年8月20日 日本先行発売

※初回仕様限定盤のみボーナストラック ダウンロードカード封入
HMVでチェック

tracklist
01. Intro
02. Power to the People
03. Unicorn
04. Never Say Never (ft. ETML)
05. We Are Not Alone
06. What’s the News
07. Summer Dem
08. Buffalo
09. Rock This Road
10. Sneakin’ Toronto
11. Something About You
12. Mermaid of Salinas
13. Love Is At Your Side
14. Wherever You Go (ゲスト Chara) *
15. Oh Dear, Falling In Love With You (ゲスト MADEMOISELLE YULIA) *
16. Back 2 The Wild *
17. What A Difference Your Love Makes *
* 日本盤ボーナストラック

(ダウンロード・ボーナストラック)
01. Galactical
02. Daddy Makes Boom Boom
03. Never Say Never (Jaxx Extended Mix)
04. House Scene (Edit)
05. Back 2 The Wild (Jaxx Extended Mix)
06. Mermaid of Salinas (Boris Brejcha Remix)
07. Moments In Dub
08. Back 2 The Wild (Korean Version)
09. Back 2 The Wild (Gorgon City Remix)
10. Never Say Never (GotSome Bring It Back Remix – Edit)

【アルバム全曲試聴】
http://www.iloud.jp/hotnews/basement_jaxxjunto.php

【オフィシャルサイト】
http://hostess.co.jp/xl/basementjaxx/
http://www.basementjaxx.com/
http://powertothepeople.fm/

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