Boys Noize『Out of the Black』インタビュー


BoysNoize_jk.jpg

ベルリンのエレクトロニック・ミュージック・アーティスト、ボーイズ・ノイズ(Boys Noize)。本名、アレックス・リダ。2005年に自身のレーベル、Boysnoize Recordsを設立して以降、休むことなく勢力的に活動を展開してきた彼は、ニュー・エレクトロ・ムーブメントを牽引する存在として注視され続けてきた人気クリエイターです。オリジナル・アルバムは、これまでに『Oi Oi Oi』(’07)と『Power』(’09)の二作を発表。また、チリー・ゴンザレス、スパンク・ロック、サンティゴールド、シザー・シスターズらの作品プロデュースも手がけるなどして、活躍の場を広げています。

そんなボーイズ・ノイズが、待望のサード・アルバム『Out of the Black』(アウト・オブ・ザ・ブラック)を10/3にリリースします。今作を制作するための時間を設けて、ベルリンにある彼のスタジオで集中的に作業を進め、完成させたという意欲作です。その内容は、ボーイズ・ノイズならではの唯一無二のサウンドと新たなアイディアが詰まった、高い完成度を誇るものとなっています。

ここでは、本作『Out of the Black』の内容と制作背景について、9月に緊急来日した彼に話を聞きました。EDMのことや、新たにスタートさせるライブ・ツアーについても話を聞いてみましたよ。


BoysNoize_A1.jpg

Boys Noize『Out of the Black』インタビュー

__前作『Power』をリリースして以降、あなたはプロデュースやコラボレーションをずっと行っていましたね。今作『Out of the Black』の制作は、そういった仕事の合間に行ったんですか?

「いままでずっとツアーとプロデュースが続いているような状態だったんだけど、今回はちゃんと落ち着いて、アルバム制作に専念しようと思って、自分の時間を設けたんだ。だから、作業に集中することができたよ。そういう意味では、良いアルバムに仕上がったって自負している」

__制作期間はどのくらいですか。また、今年に入ってから一気に制作したものなんですか?

「去年制作したものが2~3曲入ってるんだけど、ほどんどの曲は今年の2月から4月の間に制作したものだね。で、基本的に、僕は曲づくりのスピードが早いから、このアルバムに入っている4~5曲に関しては、一日、二日ででき上がった感じかな。でも、例えば「Reality」という曲は、でき上がるまでに1年半くらいかかっているよ。曲はできていたんだけど、なかなかサウンドを上手くまとめることができなかった。まあでも、僕の制作は基本的に早いよ。ラッキーだね」

__早く楽曲を仕上げられるよう、常々意識しているんですか? それとも結果的に制作が早く終わる、ということなんですか?

「意図してそうやっているわけじゃないよ。早くできちゃうことが多いんだ。僕のつくる曲って、決して複雑なものではないし、単純に自分が良いと思った曲をつくっていくわけだしね。自分が思った通りに、忠実に、シンプルにやっていくと、結構早く曲ができるってことかな。極端な例だけど、「Rocky 2」なんて、本当に数時間でできちゃったよ。時々、そういうミラクルも起こるんだ」

__なるほど。

「実際に曲をつくる前段階、準備段階で、もともと僕はいろんな楽曲から好きなパーツを集めてレコーディングし直したり、音をサンプリングして溜めていたりしているから、それで曲が早くつくれるってこともあると思うよ」

__今作は通算3作目のアルバムになりますが、どんな内容のアルバムにしようか、何かイメージしていたものはあったんでしょうか?

「特になかったね。思いついたら曲をつくる、というのが僕のスタイルだから。以前、プランを描いてアルバムをつくろうとしたことがあったんだけど、作業中に別のアイディアが思い浮ぶと、結局そっちを先にやっちゃうんだよね(笑)。だからこのアルバムも、ひらめいたものを集めたらこういう内容になった、という感じさ」

__“Out of the Black”というタイトルは、どのような経緯から出てきた言葉なんですか?

「英語に“Out of the Blue”(突然に・思いがけず・はみ出し者・何者でもない)って慣用句があるけど、それをモジったんだ。単純に、blueをblackにしたらカッコいい感がしたし、誰も言わない言葉だから面白いと思ってね。あとは僕が音楽をつくるのって、やっぱり朝とか日中よりも、夜、静かな環境でやることが多いから、それもblackにひっかけてみた感じかな。黒って、全ての色を飲み込んでしまう、全ての色が含まれている色だし…」

__分かりました。では、曲づくりの具体的な制作プロセスについても教えてください。今作の音づくりで新たにチャレンジしてみたかったことは何でしたか?

「僕はいつも新たな機材を探し求めているんだけど、このアルバムでは、Dave Smith InstrumentsのTempestってドラムマシンをゲットして、使ってみたよ。あとは、Oberheimのオールド・シンセも使ったね。「Merlin」「Conchord feat. Siriusmo」とか「Reality」で使ってる。Oberheimは、暗いんだけどちょっとノスタルジックな雰囲気があって良いね。まぁ、僕は一回音を壊して、それを使うことが多いんだけど。それから、‪ElektronのOctatrack‬って機材も多用したし、僕の友人がやっているThe Sugar Bytesのプラグインも使ったね。ともかく、僕はいろんな機材を試して、それらの音を混ぜて使うことが多いんだ。何か特定の機材を一つだけ使う、というのではなくね」

__機材に関しては秘密主義のアーティストも多いなか、あなたはオープンなんですね。

「結局誰でも手に入れられる機材だからね、僕は気にしないよ。ちなみに僕のスタジオには、本当にたくさん機材があるんだよ。特にドラムマシンが大好きで、いろんな種類を持ってるんだ。Roland系は全種類持ってると思う。いろんな機材を使うと、予想もしない音が出たりするから魅力的なんだ。ちなみに、シーケンサーにはLogicをずっと使ってるよ。そこにつくった音のデータを放り込んでいくわけさ」

BoysNoize_A2.jpg

__今作にはSnoop Doggをフィーチャーした「Got It feat. Snoop Dogg」も収録されていますね。これは、どのような経緯で誕生した曲ですか?

「Snoop Doggと一緒に曲をつくるのは、僕に録って夢のようなことだったよ。彼とはいつか一緒にやってみたいと思っていたんだけど、実は2〜3年くらい前に、レコード会社から公式にリミックスのオファーをもらったことがあったんだ。で、リミックスをやったんだけど、その時はレコード会社を通しての話だったし、直接会うことはなかったよ。でも彼のツイッターをたまたま見ていたら、そのリミックスに触れていたんで、そのツイートに僕の方から“僕のリミックス聴いてくれた?”ってメールを出してみたんだ。そうしたら、“すごいカッコいいから、もっとビートを送ってくれよ”って返事をくれてね」

__よかったですね。

「それをきっかけに直接やりとりをするようになって、去年と今年LAで会って、2曲レコーディングしたんだ。その内のひとつが、この「Got It」だね。みんなは、Snoop Doggと一緒にやるからにはかなりポップな曲なんじゃないか?って想像していたみたいだけど、僕はそんなことは気にせずにやったよ」

__ところで、今作のリリースに合わせたツアーでは、DJではなくライブ・ショーを行う予定だそうですね。どうしてライブ・ショーをやっていこうと思ったんですか?

「何か新しいことにチャレンジしたいという気持ちが、まずはあってね。で、いつもとは違うライブ形態でのツアーをやろうと思ったんだ。正直なところ、DJというスタイルからはちょっと距離を置きたい、とも思っていたしね。というのも、この1~2年で、DJというものに対して思っている人々の価値観が変わったと感じているんだ。で、それは何故かというと、DJって曲と曲をミックスしていくけど、自分でつくった曲を演奏しているわけじゃないからさ。だから、自分で自分の曲を演奏していくという試みをやってみたいと思っているんだ」

__基本的にDJはDJであって、自分で曲をつくって自分で演奏するアーティストとはちょっと違いますもんね。価値観が変化した要因の一つに、アメリカのEDMムーブメントというものがあると思うのですが、EDMについてはどう思っていますか?

「正直なところ、僕も自分が知らないうちにEDMアーティストになっちゃったんだけど(笑)、そもそもEDMという言葉自体は、とりあえずエイフェックス・ツインからデヴィッド・ゲッタまで含まれるものだったりするからね。だからまぁ、アメリカのメディアやプレスは、いちいちサウンドをエレクトロ〜、エレクトロ〜って分けるのが面倒だったんじゃない? それで、少しでもダンスの要素のあるエレクトロニックなサウンドは、全てEDMと呼ぶようになったんだと思う。すごくアメリカ的な発想で…アメリカンが感じがする(笑)。だから、それについてどうこう思ったりはしてないよ。で、現状では、自分もEDMの仲間に入っているということかな」

__分かりました(笑)。では最後に、あなたの次なる活動プランについて教えてください。

「まずは、自分のアルバムとツアーのことがメインだね。また日本にもツアーで戻ってきたいと思っているよ。で、今回のツアーも長くなるから、その間に他のプロジェクトを進めることは、あまりできないだろうね。いろいろ声をかけてもらったりはしているんだけど」

__スクリレックスとのDog Bloodというプロジェクトは、今後も継続していく予定ですか?

「Dog Bloodに関しては、まだ手探りの状態だよ。スクリレックスがベルリンに来た時、僕のスタジオまでやってきて、それがきっかけで何か面白いことをやってみようってスタートしたものだからね。だから、自分でも今後が楽しみだよ。僕は、もともと自分とテイストの違う人達とコラボするのが好きなんだ。エロル・アルカンもそうだし、ミスター・オワゾ(Handbrakes)もそうだし。彼らのようなアーティスト達とのコラボは、新たな刺激やヒントをもらえるから、自分にとって重要な作業でもあるんだよ」

interview iLOUD
photo BJÖRN JONAS


【リリース情報】

BoysNoize_jk.jpg

Boys Noize
Out of the Black
(JPN) Boys Noize/Beat / BRC-352
10月3日発売
HMVでチェック

tracklisting
01. What You Want
02. XTC
03. Missile
04. Ich R U
05. Rocky 2
06. Circus Full of Clowns feat. Gizzle
07. Conchord feat. Siriusmo
08. Touch It
09. Reality
10. Merlin
11. Stop
12. Got It feat. Snoop Dogg
13. Yellow feat. Siriusmo (Bonus Track for Japan)

【オフィシャルサイト】
http://www.beatink.com/Labels/Beat-Records/Boys-Noize/BRC-352/
http://boysnoize.com/
http://www.facebook.com/boysnoize

interviewカテゴリーの記事