Clubfeet『Heirs & Graces』インタビュー


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オーストラリアのメルボルンを拠点に活動するシンセ・ポップ・バンド、Clubfeet(クラブフィート)。メンバーは、Sebastian Cohen(Vo/G)、Yves Roberts(B)、Montgomery Cooper(keys, synths)、Bennington Le Bruce(programming, synths, perc)、Vivian Croft(Dr)の五名。2010年にファースト・アルバム『Gold On Gold』をリリースすると、カット・コピーやホット・チップといったバンドにも通じるような、メロウかつダンサブルな独特のエレクトロニック・ロック〜ポップ・サウンドが評判となり、着実に活躍の場を広げてきた注目株です。

そんなClubfeetが、日本を含めて実質上のワールド・デビューとなるニュー・アルバム『Heirs & Graces』(エアーズ&グレーシズ)をリリースしました。前作をリリースして以降、世界各地でライヴを重ねつつ、二年以上の時間を費やしレコーディングしてきたという意欲作です。その内容は、ニュージック・ビデオの映像でも話題をさらった「Everything You Wanted」や、女性ヴォーカルをフィーチャーした「Heartbreak (feat. Chela)」を筆頭に、シルキーで甘く切ないメロディーとサウンド、そして緻密に組み立てられたアレンジの光る楽曲群が詰ったものとなっています。

ここでは、本作『Heirs & Graces』の内容とバンドの音楽的背景について語った、Clubfeetのインタビューをご紹介しましょう。


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Clubfeet『Heirs & Graces』インタビュー

__最新アルバム『Heirs & Graces』が日本や本国オーストラリアでリリースされてから数ヶ月経ちますが、世間からの反応やアルバムへの気持ちはどんな感じですか?

「こんなに快く受け入れてくれて、本当に感謝してるよ。ヨーロッパとUKでのリリースはこれからなんだけど、地元オーストラリアでは特に凄かったよ! 今まで最も大規模なライヴをやらせてもらってるし、ボーカルのセバスチャンとかは、どこに行っても気付かれるようになったしね。とにかく嬉しい驚きばかりだよ」

__今作は、作品自体が実質上のデビュー・アルバムのようにも感じました。世界的に展開されているのもそうですが、より一体感のある作品でもありますね。その辺のことは、ご自身ではどのように感じてますか?

「確かにそのような感じはするね。最初のアルバム『Gold On Gold』は、まだバンドとしての形もサウンドも固まる以前につくったようなものだったし。両作とも自分たちの家で制作したけど、より統一感のある『Heirs & Graces』と比べると、最初のアルバムは、それまでにつくった曲を集めただけのような作品だった。今作をつくるにあたっては、ライヴも重ねてきたし、より“バンド感”がしっかり前に出ている作品だと思う」

__もともとClubfeetが結成された経緯は、どのようなものだったのですか?

「セバスチャン(Sebastian)がモンティ(Montgomery)とイーヴ(Yves)の家に居候してて、他のバンドや仕事の合間をぬって、三人でMac一つ使って音楽をつくり始めたんだよ。本業にするとか、そんな大したことをやるっていうよりも、趣味の延長のようなもので、ミックスも自分たちでやって、友人に無料でマスタリングしてもらってた。そうしたら、曲のいくつかがアメリカのブログで取り上げられたり、話題になり始めて、UKにライヴで呼ばれたり、南アフリカのパーティーで演奏するようになったり、活動のペースが急激に加速していったんだ。そこで、友人のベニングトン(Bennington)とヴィヴ(Vivian)をバンドに加入させて、今の編成になった。探り探りだったよ。でも仲間だけでやり続けたいし、ツアーをする時はちゃんと全部生演奏するようなバンドになろうって決めて、頑張ってきたんだ」

__今作の作曲は、どのように進められたのでしょうか。スタジオでジャムって形にしていった感じですか? それとも誰かがある程度構成を決めてきてから、レコーディングした感じですか?

「みんなそれぞれで曲はよく書くんだ。だから誰かがアイディアを思いつくと、それをみんなで共有して、それぞれが付け足していく感じででき上がるって感じだね。僕らのやり方としては、これが一番一般的かも」

__アルバム全体のテーマなどは意識して制作しましたか?

「たぶん、何も考えずにやっていたと思う(笑)。テーマとかコンセプトを話し合ったことはないかもね。とはいえ、本作ではどこかノスタルジアが共通項になってると思うし、多くの曲は、人と人の関係性(恋愛、失恋、寂しさなど)が間接的なテーマになっているかもしれない」

__いま語ってくれた通り、この作品にはどこか不思議な懐かしさが漂っていますね。でもサウンドはモダンで、ビートもかなり現代的な要素が多いと思います。音楽的な影響は、どのようなところから来ているのでしょうか?

「確かに、メンバーが聴いている多くの音楽は現在のものだったりするから、自然とその辺の影響は入り込んでくるよね。ジェームス・ブレイクとかサンダーキャットは、みんな大ファンさ!一方で、ホール&オーツ、クインシー・ジョーンズ、ポール・サイモン、アンダーワールドまで、みんなよく聴いてるよ。でも音楽だけじゃなくて、本や映画、テレビなども含めて、お互いにいろんなものを薦めて、感性を常に尖らせておくことは意識してる。今の世の中って、本当に莫大な数の表現者がいるから、本当に面白いよ」

__Clubfeetのサウンドには、凄くスムーズで、シルクのように優しい質感がありますね。洗礼されているのですが、機械的ではなく、人間味があります。これを実現するのに、ミックス面なども含めて、どのような部分を特に意識しましたか?

「ありがとう。でも、実は特に意識して出した質感ではないと思うな。当然ミックスはとても大事なプロセスだったし、凄く丁寧にやったけど、サウンドの核となったのは最初にあったアイディアだね。いろいろとアイディアを付け足す段階から、自然とこうした質感のサウンドになっていたと思う」

__何か特殊な録音方法や、変わった楽器を使ったりはしましたか?

「シンバルをバナナの皮で叩く、というのは実際にやったよ!(笑)。でもジョン・ケージは、昔ピーマンをアンプにして録音したことがあるからな…」

__ところで、Clubfeetは、音楽だけでなくヴィジュアル面にも凄くこだわりを持っていますね。アートワークだけでなく、映像等もしっかりつくり込まれています。あなた達にとって、Clubfeetの世界観を表現する上で視覚的な要素はどのような存在ですか?

「バンドのストーリーを語る時、イメージや視覚面ってとても大事だと思うんだ。ある意味で、バンドのアイデンティティにもつながるしね。とても優れたアーティストや写真家、映像作家と一緒にイメージをつくり上げることができていて、とてもラッキーだよ。この『Heirs & Graces』では、バイロン・スペンサーという素晴らしい写真家と仕事をしていて、彼はストリートなファッション、ヴィヴィッドでキラキラとした世界観を持っているんだ。このアルバムの世界を形成する上でも、とても大切だったよ。前の『Gold On Gold』の時は、’70年代ファッションに焦点を置いて、ヘルムート・ニュートンの写真とか、アレックス・ゴダードという作家の、アンディ・ウォーホル的なスーパー8っぽい映像を使ったね」

__ツアーを行っていますが、今作の楽曲はライヴではどのような感じで反映されていますか?

「僕らの音楽にはダンス・ミュージックやエレクトロニックな要素も多いけど、やっぱりバンドだという意識が強いし、生演奏でしっかりと表現することを大切にしている。だから、アルバムとはまた異なる、生々しい感じが出てると思う。凄く忙しくライヴをやり続けているんだけど、嬉しいことだね。まずは全国ツアーをやって、さらに海外にも行けたらって思っているよ。せっかく南アフリカ、日本、そしてヨーロッパとアメリカでもリリースされるから、ライブでみんなに会えたらいいね!」

__最後に、日本のファンに一言お願いします。

「僕らのアルバムが日本でリリースされて、多くの人が聴いてくれていることを本当に嬉しく思っているし、とても光栄に思っているよ。できれば、近々ライヴで一緒に音楽を共有できたらいいね。本当にありがとう!!」

photo: Chris Parkinson


【リリース情報】

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CLUBFEET
Heirs & Graces
(JPN) P-VINE / PCD-18711
発売中
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tracklist
01. My Shadow
02. Cold Rain
03. Heartbreak (feat. Chela)
04. Acapulco & LA
05. Cape Town
06. Get Loose
07. Everything You Wanted
08. Follow Me Down
09. Nastassja
10. Kinski
11. City Of Light
12. This Time
13. This Time (Jeremy Glenn Remix)
14. Heartbreak (feat. Chela) (Royce & Walker Remix)

【VIDEO】



【オフィシャルサイト】
http://p-vine.jp/artists/clubfeet
http://helloclubfeet.com/
https://www.facebook.com/HelloClubfeet

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