DAISHI DANCE『GEKIMORI』インタビュー


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1990年代に札幌でDJ活動をスタートし、現在は国内屈指のDJ/プロデューサーとして活躍するDAISHI DANCE。’06年に初のオリジナル・アルバム『the P.I.A.N.O set』をリリースして以降は、クリエイターとしても活躍し、アルバム『MELODIES MELODIES』『Spectacle.』『Wonder Tourism』を発表。昨年は、新たなイメージを打ち出した通算5枚目のオリジナル・アルバム『NEW PARTY!』をDD名義でリリースしています。

そんなDAISHI DANCEが、5月にリリースした最新ミックスCD『EDM LAND』に続き、日本の新たなフェス時代をさらに盛り上げるべく新作『GEKIMORI』をリリースしました。“GEKIMORI”(激盛り)というタイトルの通り、彼のDJセットで即戦力となる、フロア直下型のフェスサウンドのみ計10曲を収録した意欲作です。

ここでは、本作『GEKIMORI』の内容について語った、DAISHI DANCEのインタビューをご紹介しましょう。


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DAISHI DANCE『GEKIMORI』インタビュー

昨年、リブランディング・アルバム『NEW PARTY』を発表し、よりDJにシフトした新たな音楽性を提示したDAISHI DANCE。そんな彼が早くも新作『GEKIMORI』をリリース。DJという彼の主軸となる活動をより高みへと導くべく、今作では前作以上に現場とリンクしたサウンド——それはEDMを取り入れながらも、自身のアイデンティティ:ハウスを中心としたフェスにも対応可能な、タイトル通り“GEKIMORI”なアッパーサウンドを展開。絶えず変化し続ける混沌としたシーンのなか、DAISHI DANCEはDJという確固たるメンタリティを崩すことなく世界的トレンドを積極的に導入し、次なるステージへと移行する。

「海外では、ここ数年大型のDJフェスが大きなムーブメントになっていますが、今年はようやく<Ultra Music Festival>が上陸し、日本にもその流れが入ってきました。そういった状況のなか、今夏は僕自身過去最大、12本のフェスに参加することになって、そうなると必然的に現場でかける音源もフェス仕様になるし、そういった場所で即戦力になる楽曲がほしかったんですよね」

楽曲制作において、“野外”とか“フェス”を意識するようになったということ?

「特に場所を意識することはないんですけど、毎週DJをする中で“フェス感”というのは一つのキーワードになっていますね。それは音楽性の面だけでなく、プレイスタイル、パフォーマンスにおいても。数千人、数万人のオーディエンスを相手にすることが多くなり、その人数を引っ張っていくためにもより大きなパフォーマンスで一体感を出すようになりました。プレイする曲もアッパーになり、それに比例してパフォーマンスも大きく、フラッグを振ったり、マルチコプターを飛ばしたりと確実に派手になってきていますね」

そういった現場感が、今作には詰め込まれている?

「そうですね。内容的にはEDMがメインではありますけど、僕のルーツであるハウス、’90年代から様々な形に派生した流れの中で僕が通過したダンス・ミュージックを今の音でかけられるようにリニューアルした、という感じがですね。往年のハードハウスやトライバルな要素、はたまたジュリアナ時代の楽曲の要素もあったり、エッセンスは様々ですけど、ベースになっているのはオールドスクールなダンス・ミュージック、あくまでハウスの感覚なんです」

ただ、その中にもヒップホップやダンスホールを取り入れていたり、すごくジャンルレスな感じが。

「ダンスホールに関してはもともと大好きで、前作(『NEW PARTY』)でも取り入れてフロアの反応もすごく良かったので。特に今回の「WE WON’T STOP」はヤバいですね、“ZUNDOKOヤーマン”って感じで。これは“GEKIMORI”に続く、今の僕のキーワードになってます。次は“ZUNDOKOヤーマン”だけでアルバム1枚作りたいぐらい(笑)。そして、今回フィーチャーしたStushもすごくかっこよくて。彼女はイギリスのレゲエ・アーティストなんですけど、Beatportで発見してすぐにアタックしました」

Stushもそうですが、「WORLD IS MINE」のSUBOIも日本ではあまり知られてません。

「SUBOIはベトナムのラッパーで、東南アジアではすごい人気なんですよ。今回は、「WORLD IS MINE」で同じくフィーチャリングしている地元繋がりのラッパー、HOKTくんがSUBOIをフックしていて、その流れで紹介してもらったんですけど、すごくよかった。東南アジアのシーンも面白くて、今後も彼らと一緒にやってみたいですね」

そんなフレッシュなアーティストの一方で、もはやお馴染みとなったGILLEとSHINJI TAKEDAも参加していますね。

「この二人は、僕の中ではもはや鉄板の組み合わせですね。今回の曲「HAVE A NICE DAY」はジュリアナ時代のピークタイム・アンセムを忠実にカバーした曲なんですが、フロアでの反応もすごくいいし、僕の新しいアンセムになりましたね」

ジュリアナ時代の曲というのはちょっと意外でした。

「高校生時代にジュリアナが流行っていたし、その昔札幌の大箱ディスコでレギュラーDJをやっていて、実はジュリアナのセットだけで一晩DJできるぐらい好きなんですよ。しかも、その要素はこれまでの楽曲の中にも結構入っているんです。当時の曲ってテンションがすごくいいし、特にこの曲は昔から大好きでカバーしたかったんです」

カバーと言えばもう一曲。ダンスホールの名曲、Wayne Wonder「NO LETTING GO」も。

「この曲も昔から好きなんですけど、僕はハウスのDJなのでダンスホールはかけたくてもなかなかかけられない、だからいつかハウスでカバーしたいなと思っていて。でも、今回はカバーできただけでなく、まさか本人まで参加してもらえるとは思っていなかったので、それには驚きましたね。楽曲的にもEDMとの相性もよく、なおかつ普段クラブに来ない人にも聴いてもらえるような、これまでのDAISHI DANCEらしさが強い曲になりました」

DAISHIさんらしさという意味では、メロディックな楽曲あり、過去の自身のアンセムをサンプリングした楽曲もあったり、既存のファンにもアプローチできる作品になっていますが、世界的にDJがクイックになってきているからか、全体的に楽曲の展開力が増した感があります。

「今世界でリリースされているEDMの曲は、フェス仕様のブレイク~ギミックをはさんでメインのパートへ、そういったフォーマットが似ているものが多いんですよね。僕自身その感じは好きでDJでもよく使っていますが、僕は同じタイプの曲をかけ続けるDJスタイルではないので、そこで使える別のスタイルやジャンルの曲が欲しかったんですよ。フォーマットに捕われず、DJセットに組み込める曲が。単純にEDMにこだわらず、構成も含めて意外性が出せるように、トレンドを取り入れながらも自分らしく作ることで、それがオリジナリティになるかなと思っていて」

最後に今後の展望を教えてください。

「よりクイックに作品を発表していきたいですね。今、海外のアーティストはシングルベースで矢継ぎ早にリリースをしていますから。今後は、海外に向けてシングルをリリースしていって、それを国内盤にリアレンジしてパッケージしていく、そういった形にシフトしていければと思っています。そのためにも、今は自由なスタンスで作品を発表できるような体制作り、自分の海外レーベルのようなものを作る準備もしているので、楽しみにしていてください」

インタビュー・文/杉山忠之


【リリース情報】

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DAISHI DANCE
GEKIMORI
(JPN) SPACE SHOWER MUSIC / PECF-3093
8月6日発売
HMVでチェック

tracklist
01. GEKIMORI in the HOUSE (intro)
02. HAVE A NICE DAY feat. GILLE, SHINJI TAKEDA
03. E.S.Y!
04. WE WON’T STOP feat. Stush
05. COME TO LIFE feat. Matt Cab
06. TRIBAL ZUNDOKO
07. SAMBA!DA!
08. WORLD IS MINE feat. HOKT, SUBOI, YOUNG DAIS
09. NO LETTING GO feat. Wayne Wonder
10. PARALLEL WORLD

【オフィシャルサイト】
http://music.spaceshower.net/artists/daishi-dance
http://www.daishidance.jp/

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