DAISUKE NAKA「poker / EL」インタビュー


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トップDJ/プロデューサーとして活躍する大沢伸一と、LOUDが共同主宰で立ち上げたデジタル・レーベル、LDK。その第四弾としてリリースされたのは、DAISUKE NAKAの「poker」、「EL」。ここまで大沢伸一関連作品のみを配信してきたLDKからは、初の新人楽曲リリースです。

DAISUKE NAKAは、大阪を拠点に活動する23歳。MySpace(http://www.myspace.com/naka1987)で楽曲を公開してきた彼は、Mac BookとAbleton Liveをベースとする自宅スタジオで楽曲制作する、新世代アーティストです。今回発表された2トラックでは、エレクトロともテクノとも解釈できる、オリジナリティーの高い作風で、その非凡な才能を披露してみせました。

トラック・ダウンには、大沢伸一も手を貸したというこの二曲と、DAISUKE NAKAのここまでの道のりについて、ここではメール・インタビューで掘り下げてみました。なお、「poker / EL」は、beatportjunodownload、iTunes Storeに加えて、本日からwasabeatでも配信が始まっています。


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DAISUKE NAKA
LDK第四弾リリースは、
大阪発の新人クリエイターによる、斬新なエレクトロ・トラック!

ーーダンス・ミュージックにハマるようになったきっかけは何で、それはいつ頃のことでしたか?

「二十歳の時に、友人に誘われて、人生で初めてプロの音楽を生で体感しました。それが大沢さんのクラブ・イベントででした。ダンス・ミュージックを全く聴いたことのなかった私は“ダンスミュージック=野蛮な音楽”というイメージをもっていました。しかし、実際には、音楽にルールなんてないと思わせるような自由さ、今までに感じたことのないグルーブ感、そして革新的な音楽に衝撃を受けました。その日が、私の人生を変え、ダンスミュージックにハマるきっかけとなりました」

ーーダンス・ミュージックをつくるようになったのは、いつ頃からですか?

「二十歳の頃に、ダンスミュージックを知ってすぐに“自分も音楽をしたい。自分がもっと革新的な音楽をつくってやる”という気持ちで作曲を始めました。とはいっても、音楽の“お”の字も知らなかった私は、まずは、ピアノを習い、またそれに並行して、DTMのスクールに通い、音楽理論書を読みあさりました。一日中何をしていても音楽のことが頭から離れませんでしたね」

ーーLDKに曲を送ってみようと思ったのは、なぜですか?

「クラブミュージックにハマって以来、LOUDをずっと愛読しておりまして。リリース楽曲の募集をしているのを見て、今まで自分のつくった曲を、自分の中だけで眠らせるのはもったいない、一人でも多くの人に聴いてもらって、自分の可能性を試したいと思い応募しました」

ーー今回のリリースが。初リリースですか?

「はい。そうです。リリースが決まった時は、やっと霧がかっていた、音楽の世界の入り口が見えたように感じました」

ーー楽曲制作で一番大事にしていることは、どんなことですか?

「作曲をしていると“これは本当に自分がつくりたい音楽かな”と思うことがあります。そういった時には、少し時間を置いて、自分の音楽観と向き合い、自分の理想とする音楽の軸がぶれないようにしています。作曲の方法に関しましては、頭の中だけで生まれる曲には、自分的にはもう限界があると思うので、まずは自分の中で一つのメロディーを考え、そのメロディーに対して、さまざまなアプローチで働きかけます。やっている時には自分でも、結果がどうなるか分からないということも多々あります。また、何度も実験を繰り返しますので、作曲には非常に時間がかかるんですよ。100時間音楽と向き合って、自分の中で“これは良い”というメロディーが一つ思い浮かんだら上出来ぐらいの感覚で作曲していますね。“技術、運、センス”この三つの軸がちょうど重なり合った時に、革新的な音楽ができるのだと思います」

ーー特に影響を受けているアーティストはいますか?

「今回リリースされた曲に関して、特別に影響を受けたアーティストはいませんが、他者の音楽を聴いて、部分的に自分の中で良いなと思った表現や、技法をとりあえず自分で試し,そこで自分なりにさらに試行錯誤して、全然違う新しいモノに変えて使うことはあります」

ーー「poker」が生まれた経緯を教えてください。

「初めは、かなりアップダウンの激しいハマリ系で、ドラム楽器を多く使用した曲をつくってみようと思っていたのですが、完成後、試聴してみると、ダウンからアップへの時間が長く、フロアが冷めてしまうと思ったので、その時間を短くして、フロアで踊りやすい曲になるようにしました」

ーー「poker」で表現したかったこと、追求したことはどんなことですか?

「多様なエフェクトを組み合わせて、クラブで音楽を聴いている錯覚に陥ってしまうような、アグレッシブな曲にしようと思い、つくりました。けれど、作曲し始める前に、あまりイメージを固めすぎてしまうと、表現の幅が狭くなってしまうので、今回でしたら“エフェクト” 、“ドラム楽器”、“ハマリ系”というキーワードを頭の隅に置いといて、後は無心になって、自分の感性を曲にぶつけました」

ーー「EL」が生まれた経緯を教えてください。

「今まで自分がつくってきた曲は、音だけで構成されているモノが多かったので、今回は声ネタを使って新しいことをしてみようと思ったのと、ダンスホールで聴いていて、無意識の内に体が動いてしまうようなグルーブ感のあるモノをつくろうと思い、作曲しました」

ーー「EL」で表現したかったこと、追求したことはどんなことですか?

「エレクトロというジャンルでは、声ネタをカット、ペーストしたり、それにエフェクトをかけたりして、声を音として使用することが多いんですが、そこで自分の個性を出すにはどうしたら良いか考え、いろんなことを試してみました。その結果、声ネタを“これでもかっ”て程に何度も加工をし、自分でも予想していなかったような、グルーブ感のある狂った音をつくることができました」

ーー「poker」や「EL」は、リスナーにどんな風に楽しんでもらいたいですか?

「特にこんな風に楽しんでもらいたいというのはないですね。人それぞれ音楽の感じ方は違うので、その人自身が一番ベストだと思う方法で楽しんでもらえたらと思います」

ーーこれからやってみたいことは、どんなことですか?

「今回リリースされた楽曲は、クラブで通用する音楽を意識して作曲したのですが、今はリスニング向けで、エレクトロに少しアンビエントを加えた、幾何学的な曲をつくっています。まだ世の中にない自分だけの色を出して音楽をつくっていきたいと思います」

ーー将来目標にしているアーティスト像があったら教えてください。

「ジャンルは違いますが、坂本龍一さんと上原ひろみさんです。このお二人のように、知的好奇心が燻られるような、自分にしかできない音楽をつくりたいと思います」

interview & text TOMO HIRATA


【リリース情報】

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DAISUKE NAKA
poker / EL
(JPN) LDK LDK004

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