Dave Clarke – ADE インタビュー


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2016年は10/19-23に、オランダはアムステルダムで行われたAmsterdam Dance Event (ADE)。1996年にスタートし、今では世界最大のクラブ・フェスティバル、エレクトロニック・ミュージック業界で最も重要なコンファレンスとして知られています。今年の参加者は37万5千人にものぼり、テクノ、ハウス、EDMを中心に2200アーティストが1000イベントを飾りました。

ここでは、1990年代からテクノ・シーンを牽引してきた大御所Dave Clarkeに話を聞きました。


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_あなたはもう25年以上にわたってこのシーンで活躍してきましたが、何か原動力になっているのでしょう?

うーん、これが僕の人生なんだよ。この惑星の人々は、人生において一生懸命に働くべきだと思う。そう、これが僕のほんとの人生なのさ。音楽も、ビジネス面も、事を推し進めて人にアドバイスしたり、パネル・ディスカッションしたり、川崎のDENONで技術的なヘルプをするのも、どれも僕の人生の一部なんだ。僕はこれをやらなくちゃいけないし、ビジネス・プランでさえない。ただ起きて、それをやるだけなのさ。

_ここ数年でコマーシャル・ダンス・ミュージックは大人気となり、シーンは巨大化しましたが、一方でテクノはずっと別の流れの中、アンダーグラウンドに存在し続けています。現状のシーンをどう見ていますか?

日本はヴァイナルを好んできた国で、みんな渋谷でレコードを買っていただろ。でも、レコードが最優先のフォーマットじゃなくなってから、シーンは大きく変わったと思う。レコードショップは過去のものになり、SNSとマーケティングがどんどん強大になって、日本のクラバーにも影響するようになっていった。アンダーグラウンド・テクノをやっているようなクラブがEDMに手を出すようになるとは思ってもみなかったね。でも、シーンが大きく変化したから、そうしなくちゃいけなかったんだろう。

_それは我慢できるものですか?

しょうがないね。怒ったり、小言を言うこともできるけど、起きてることを認識するだけで、自分は自分のやるべきことをやるだけなんだ。10万人の前でみんなを煽るのは自分のやることじゃないし、それをうらやましいとも思わない。気になるのは、ジャーナリストが“ダンス・ミュージック”っていうひとくくりをつくっているとき、EDMがもし終わったら、それはダンス・ミュージック全体にとってネガティブな影響を与えるだろうってことさ。ヨーロッパでは、それらは共存しているから問題にならないけど、日本やシンガポール、韓国ではそれは反動になってくるかもしれない。それは興味深く、複雑なテーマだね。

_それを救えるのはあなたではないでしょうか。

日本には頻繁に行きたいと思っているよ。日本の文化や日本のデザイナーが大好きなんだ。日本の良い点は、たとえばJuliusはテクノにハマっているだろ。アンダーグラウンドのファッションが、クールな音楽と結びついていることなんだ。そこには望みがあるね。

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_Tomorrowlandとは、自分のステージも持って良好な関係を保っていますね。これはどういう結びつきなのでしょう?

来年もやる予定だよ。ずっとお願いされてたんだけど、5年前にやっと実現したんだよね。彼らは僕にTomorrowlandで二番目に大きなステージをくれて、95%の自由もくれたんだ。彼らはベルギー人だからね。ものすごく成功している。テクノも好きだし、とても一緒にやりやすい。問題も起きないし、とてもプロフェッショナルだ。

_アメリカのフェスともTomorrowlandとやるようにできると思いますか?

ニューヨークやサンディエゴ、サンフランシスコ、シカゴなんかは好きだけど、もうアメリカに行く必要性は感じないんだ。彼らは自分たちのシーンを破壊してしまったように感じるからね。自分たちのやっていることを理解していない。旅行者としてならいいけど、DJとしてはNOだね。

_でもテクノやハウス、発祥の地なんですよね。

わかってるよ。皮肉で悲しいことだ。

_このあとの予定はどうなっていますか?

スタジオに戻って制作。来年4-5月にはWombに行くかも。行きたいと思っていてまだ行けていないフェスに、フジロックがあるから実現したらいいな。もっとフェスでプレイするつもりだよ。

_日本のダンスミュージック・ファンにメッセージをお願いします。

EDMを信じるな。トロイの木馬だ。

インタビュー:Tomo Hirata

【リリース情報】
Dave Clarke
Charcoal Eyes (A Selection Of Remixes From Amsterdam)

【オフィシャルサイト】
http://www.daveclarke.com/

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