Kitsuneからリリースしたシングル3連発、「Idealistic」(’05)、「Zdarlight」(’05)、「Jupiter Room」(’06)で一躍脚光を集め、デビュー・アルバム『デジタル主義』(’07)と、同作に収録されたスーパー・アンセム「Pogo」のヒットで、ニュー・エレクトロ・シーンの中心的存在へと駆け上がった、ハンブルク出身のJenceとIsiからなるユニット、デジタリズム。昨年11月に、配信限定で久々のニュー・シングル「Blitz」を発表した彼らが、1月にDJツアーで来日を果たしました。
というわけで、ここでは、その来日時に行ったインタビューを、iLOUDエクスクルーシヴでご紹介。デジタリズムのJenceとIsiに、「Blitz」のこと、さらにニュー・アルバムの制作状況についても聞いてみました。出演が決定した今年のフジロックまでには、きっとアルバムを完成し、リリースしてくれることでしょう!? 早速どうぞ。
FUJI ROCK FESTIVAL’11 出演決定!
デジタリズム「Blitz」&ニュー・アルバム中間報告インタビュー
__今日はよろしくお願いします。’09年末の<WOMB ADVENTURE’09>以来、約1年ぶりの来日ですね。
Jence 「そうだね。前回は、Kistuneの仲間達と一緒だった」
__明日(1.14)は、東京のStudio Coastでプレイしますが、どんなDJをする予定ですか?
Isi「うーん…わかんないな(笑)。あのハコは大きくて、すごく良い音だよね。僕は、前回の来日の時に病欠してしまったから、日本でのプレイには、ちょっと特別な思いがあるよ。僕個人としては、約2年ぶりのプレイになるからね」
__最近のDJセットのサウンド傾向について、少し教えていただけますか?
Jence 「ハハハ。僕らは、特に計画立ててDJをしているわけじゃないから、その時々でどうなっていくのか分からないけど…」
Isi「そうだね」
Jence 「テクノ・トラック、クラブ・トラックと、例えばフランツ・フェルディナンドのようなバンドの曲が一緒にかかるスタイルに、変化はないよ。僕らは、いろんなタイプの音楽を織り交ぜながらDJをしていくんだ」
Isi「’09年の夏に関しては、女の子のためにセクシーなトラックをかける、というテーマがあったから(笑)、それを重視していたけどね。まぁ、もちろんデジタリズムのオリジナル曲もかけるよ。で、アップダウンがあって、迫力がありながらも、聴いているヒトが決してイライラしないような、良いバランスのDJを心がけたい。自分達の新しい曲のアイディアを試して、そのリアクションも見てみたいと思ってるよ」
__なるほど。ともかく、根本的な音楽観は、あなた達がエレクトロの旗手として注目を集めるようになった5~6年前から変わっていないということですね。
Isi「そうだね。他のDJに合わせていくとつまらなくなってしまうから、僕らはずっとデジタリズムのスタイルをキープしながらやってきた。その上で、前進しているということさ」
Jence 「デジタリズム・スタイルの基本とは、『KITSUNE TABLOID – Compiled & Mixed by Digitalism』でやったような感じだと思ってくれればいいよ。インディー、テクノ、ヒップホップとか、本当に何でもミックスしていくDJスタイルなんだ。だから、僕らがいきなりミニマルものだけをプレイするようなことは、あり得ない…だからみんな、心配しないで(笑)」
__では、昨年11月にリリースしたニュー・シングル「Blitz / Stratosphere」について教えてください。まず、このトラックは、ニュー・アルバムに向けての先行シングルだと考えてOKなんでしょうか?
Jence 「いや、そういうわけじゃないな」
Isi「スナックだね(笑)」
Jence 「そうそう、オヤツみたいな感覚で捉えて欲しいシングルさ。この「Blitz」は、急遽リリースしようと思い立ったもので、思ってから3週間後には、実際にリリースしていたよ。“blitz”という言葉には、ドイツ語で“素早く・速い動き”といった意味があるんだ。もちろん、ニュー・アルバムの一環でもあるとは思うけど…必ずしもニュー・アルバムを象徴する、代表するサウンドではないと思っている」
__そうですか。「Blitz」のアイディア自体は、リリースしようと思った時に、突然ひらめいたものだったんですか?
Jence 「去年の夏頃には、もうなんとなく完成していたと思う。夏のツアーで結構プレイしていたんだけど、お客さんの反応がすごく良かったから、リリースしちゃおうよ、って話になったんだ」
__曲のインスピレーション源は何でしたか?
Isi「強いて言うと、新たに導入したギア(機材)だったかもしれないけど、コレといったインスピレーション源はなかったよ。スタジオで他の作業をしていた時に、たまたま良いサウンドができたから、“これで曲をつくれないかな”って話になって、つくり込んでいったものなんだ」
Jence 「よく、“「Blitz」は新しいデジタリズムの方向性ですか? トランスっぽいですね”って聞かれるんだけど、僕らからしてみれば、かなり“クラシックでオールド・スクールなデジタリズム・サウンド”だね(笑)。いままでに結構やってきたサウンドだと思うんだけどな」
__「Stratosphere」の方は、いかがですか?
Isi「このトラックは、もともと2年間くらいハイ・ピッチでプレイしていたんだけど、それをスタジオで100bpmくらいにしてみたら結構面白くなるんじゃないか、と思ってつくったものだね」
Jence 「サウンド自体は、ハイ・ピッチのバージョンと変わらないんだけど、シングルに収録したものの方が、ゆったりとしていて、いいね。「Zdarlight」は計12バージョンあったけど、そのことからも分かる通り、僕らは自分達の曲をリミックスするのが好きなんだ」
__ところで、新作に向けてのスタジオ作業というのは、日々コツコツとやっているんですか? 前作『デジタル主義』(’07)を発表してから、もう3年くらい経ちましたが。
Jence 「ツアーで忙しくしていた時期があったから、3年間ずっとスタジオに籠っていたわけじゃないね。スタジオに入る時間が取れるようになったのは、’09年の末頃だったから、そこから作業をするようになって、去年の後半には結構やったよ。ライブ・ツアーを一旦止めて、前作のことは忘れて、ライブをやる場合は普通のDJセットで対応するようにして、なんとか制作時間をつくったんだ」
Isi「でも、そんな急にニュー・アルバムをリリースするのもどうかな?って感じだったから、ちょっと時間を置いてみることにした。それで、まだアルバムを発表していないというわけさ」
__ニュー・アルバムの制作は、実質どのくらい進んでいるんですか?
Jence 「曲のアイディアはたくさんあるんだけど、それをどういう形で仕上げていくかという作業を、これからやっていく感じかな。その作業がまだ残っている」
Isi「だから、自分達の気分次第で、どうなっていくか分からない状態だね。終わらそうと思えば、来週にでも終わらせられるんだけど(笑)、もうちょっと考えて、いろいろ見極めたいと思っているんだ」
Jence 「少なくとも今年の夏までには、必ずニュー・アルバムからシングルをリリースするよ(笑)」
__アルバムじゃなくて、シングルなんですか(笑)。夏までにシングル1枚じゃ、もうみんな待ちきれないと思いますよ。
Jence 「いや、まぁ制作過程自体は、もういいところまできてるから。僕らは、商業的な事情に左右されずに、ちゃんと良い作品ができ上がってから出したいんだよ」
Isi「そうだね。あまりにもバンバン出すと、だんだん面白くなくなっていくでしょ」
__ニュー・アルバムの大まかな内容だけでも、少し教えていだだけませんか?
Isi「うーん、今はまだ多くを語りたくない(笑)。ヘタにいろいろと語って、みんなの期待を裏切りたくないからさ。…まぁ、前作のテーマが“宇宙”だったとすると、ニュー・アルバムのテーマは、“宇宙から帰ってきて、地球を探索中”、といった感じかなぁ…。これで、勘弁して」
__ありがとうございます。ニュー・アルバムが完成するのを、楽しみに待ってますね。では最後の質問です。前作『デジタル主義』は、今振り返ってみると、あなた達にとってどのようなアルバムでしたか?
Jence 「あのアルバムは、とても多くの要素を詰め込んだ作品だった。だから、やり残したこと、心残りに思っていることはないね。デジタリズムの第1章は、あの作品で十分完了しているよ。しかもお客さんの反応を見ていると、まだまだ成長し続けている作品だって感じている。だからこそ、今はデジタリズムの第2章に100%集中できている、とも言えるね」
Isi「ニュー・アルバムは、いろんなジャンルのサウンドが楽しめるという点では、前作と変わりないと思うし、そこからさらに進化したサウンドにもなっていると思うから、前作を気に入ってくれたヒトは、必ず入ってくれると信じているよ」
live photo by Jin Miura
interview iLOUD
【リリース情報】
Digitalism
BLITZ EP
(EMI)
※ PC/着うた(R)で配信中
tracklist
01 ブリッツ/Blitz
02 ストラトスフィア/Stratosphere
03 ブリッツ (Harvard Bass Remix)/Blitz (Harvard Bass Remix)
04 ブリッツ (Villa Remix)/Blitz (Villa Remix)
【オフィシャルサイト】
http://emij.jp/digitalism/
http://thedigitalism.com/
【VIDEO】