18歳の時に参加した世界的DJオーディション/コンペティションで才能を認められて以来、国内外のクラブや数多くの国内ビッグフェスに出演し、また数多くのリミックスやミックスCDを手がけるなど、着実に活躍の場を広げてきた人気女性DJ、DJ Yummy。2010年にはオリジナル・アルバム『D.I.S.K.』をメジャー・リリース、さらに2012年には自身のレーベル、Donutz traxを立ち上げ、フォトブックとDJミックスが一体となった『Y.mag』をリリースし、話題を集めています。
そんなDJ Yummyが、Donutz traxから新たなミックスCDシリーズの第一弾、『Electronic Donutz Mix』を4/24にリリースします。“ピークタイムにDJする時のテイストに近い”という、彼女ならではの視点でセレクトされた計19曲を、“駆け抜ける”ようなフィーリングでミックスした本作。その内容は、現在進行形のハウスやEDMトラックから、オリジナルの「You don’t forget」「Godfest」までを収録した、DJ Yummyの“今”が伝わる楽しくハジけたものとなっています。
ここでは、本作『Electronic Donutz Mix』の内容について、DJ Yummyに話を聞いてみました。
DJ Yummy『Electronic Donutz Mix』インタビュー
__まずは、昨年夏にご自身のレーベル、Donutz traxを立ち上げた理由について教えてください。また、レーベルの方針やコンセプトについても教えてください。
「私はせっかちで飽きっぽい性格なので、時間と共に熱を失ってしまうアイデアのためにスピード感のあるプラットフォームが欲しいと思って、まず個人レーベルをつくりました。まだまだ小さな足場ですし支えてくださる方も沢山いらっしゃいますが、今、コンスタントに何かを発表し続けようと思えば思うほど、欲張らず自分でつかめて見渡せる規模がベストだということに気がついて」
__なるほど。
「Donutz traxは究極のワンマンレーベルなんです。今はまだ制約に不自由を感じる余裕も無いくらいマイペースにできていますが、自分の作品しか扱わないと決めているわけではないんですよ。音楽や芸術の好きな仲間と語り合うようなひらめきの中に輝くものはあるし、そういうダイヤの原石を一緒に育てて最高の形で実現できたら、クールだと思います。“DONUTZ”は、4年くらいレギュラーで続けている自分のパーティの名前ですが、思い入れがあるのでそのまま使っています」
__Donutz traxからは、まずフォトブックとDJミックスが一体となった『Y.mag』のリリースがありましたね。『Y.mag』のアイディアは、どのようにして出てきたものだったんでしょうか? また、作品の評判はいかがでしたか?
「今回のCDのジャケットも撮ってくれたのですが、当時同じパーティによく遊びに来ていたカメラマンの清野勇介君が、あれこれフィルムやカメラを試しつつ綺麗なポートフォリオを撮り溜めてくれていたので、“これをフルに使ってZINEを出してもいいですか?”ってダメもとでお願いしたら、OKしてくれたのが直接のきっかけです。書籍扱いでCDをオマケに付けたZINEをつくったらどうかな?と思って、早速見積もり出して。流行ってるせいか、案外ZINEって安くつくれるんですよね。ZINEには、つくり手のピュアなイメージがぶつけられている作品が多いし、初期衝動や作者の生っぽい感情と相性が良いメディアだから、Donutz traxのコンセプトにもうまくハマりました。全国のツアー会場でめいっぱい手売りもして(笑)、ステッカーもつけたのが功を奏して、ほとんどの会場で完売でしたよ。本当にありがたいですね」
__では、この度リリースされる『Electronic Donutz Mix』について教えてください。今作のテーマやコンセプトは、どのようなものでしょうか?
「リスナーさんは、最後にリリースしたタイトルのイメージで、そのアーティストの音を判断されることが多いと思います。リリースの時点ではベストを尽くした内容になっているけれど、別にアーティストとしての結論ではないことが多いですよね。その人の人生が続いている限りは。DJ固有のサウンドだって時代とともに更新されているはずなので、DJ Yummyにまつわる皆の持っているイメージも、どんどん変わっていってもらわないと逆に落ち着かない(笑)。だから、オフィシャルのミックスCDっていうずっと残るものを出すからには、コンスタントにリリースし続けたいなと思っていたところに、ちょうど幾つかミックスCD制作のお話を頂いて。それで、今のDJ Yummyがフロアと向き合うときの気持ち、そしてDonutz traxのスタンスをいちばん自由に反映できそうだったので、BBQさんと年2回シリーズで制作させて頂くことになりました」
__選曲は、実際に最近現場でよくプレイしているトラックが中心になっているんですか? モダンなエレクトロニック・ハウスを軸に、EDM方面のテイストも詰まった楽しい内容となっていますね。
「楽しいと言ってもらえたら、凄く嬉しいですね。ピークタイムにDJする時のテイストに近いです。後半は大バコでわちゃわちゃしてるフロアをイメージしてもらえたら、ですね」
__今作でのミックスと構成、またCD全体の流れで重視、意識したことは何かありましたか?
「ちょっと慌てるくらい、CD全体のBPMを速めにしてつくっています。131あるんですが、これは現場でもあまりやらない速さです。いままでは起承転結とかグルーヴのマッチングを工夫して、二部~三部構成みたいなことをやろうとしてきましたが、今回はそれが困難なくらい原曲のテンションも世界観もカラフルに取り揃っているので(笑)、60分全体で一巻というか、駆け抜けるように一枚を通して聴いてもらえる潔さに挑戦しています。これは『Electronic Donutz Mix』に続編があるからできることですね。とはいえメガミックスではなく、ちゃんとDJ Yummyっぽくなるよう、ミックスには“Yummyクサさ”が残せていると思いますが、どうでしょう」
__収録されているオリジナル・トラックについても教えてください。まず、DJ Yummy「You don’t forget」は、どのようにして誕生した曲ですか?
「大きめのクラブでスターターセットやクローズセットを組む時、こういう曲が欲しかったのでつくりました。曲ができた日、下北沢のバーで流れていた映画の印象的なシーンに、お洒落なフォントでこの言葉が出てきたので、そのまま曲名にしました。名付けは迷うので、曲づくりの先輩からのアドバイス通り、たいていそのとき身近にあったものの名前をタイトルに使ってます」
__DJ Yummy & Kan Takahiro「Godfest」の方は、どのようにして誕生した曲ですか?
「たしか、しぶや花魁でKanさんと会った時に、“最近派手な曲が沢山リリースされてるけど、なんだかんだ自分の曲が一番の武器になるし、アリーナ級のアンセムを自分たちでつくれたら絶対フロア盛り上がるよねー!つくりませんかー!”っていうような調子良いノリで話をしていたら、翌日くらいにKanさんがデモを送ってきてくれて。彼は、常にいろんなジャンルの新譜や動向をチェックされているので、私の曖昧な説明とかもちゃんとカッコ良い方向に解釈してくれるから、面白い化学変化になりました。「Godfest」半分はKanさんのやさしさでできている、と言って間違いないですね(笑)。この音から派生した曲もまた共作できたらいいですね!」
__今作に収録されているトラックの中で、DJ Yummyさんが特に気に入っている曲や、ぜひ聴いてもらいたいパート等がありましたら、ご紹介ください。
「今回はBooty Bronx君とかKen Oshimaさん、Toru S.さんなど、日本のアーティストさんの中でも特に個性的で濃い方々のオリジナル曲を収録しているので、注目して聴いてみるといろいろ面白いと思います。それとジャケットなど諸々CDのデザインは、全て今回も私自身がやっているので、YummyのDeepなファンの方はニヤリだと思いますよ」
__最後に、DJ YummyさんとDONUTZ TRAXの次なる活動目標やヴィジョンについて教えてください。また、今後エレクトロニック・ダンス・ミュージック~クラブ・ミュージック・シーンは、どのように進展していくと考えていますか?
「DJがこれからもどんどん外側へ冒険をしていけば、シーンはこれからもずっと面白いと思います。なので、これからもDJとして、未だ知らないフロアやクラウドのいる世界を冒険し続けていきたいですね。これは単に海外へ向かうという意味じゃなくて、開拓精神にちかいのかもしれません」
interview iLOUD
【リリース情報】
V.A.
DJ Yummy
Electronic Donutz Mix
(JPN) Donutz trax/BBQ / BBQ60CD
4月24日発売
HMVでチェック
tracklist
01. Yummy – You Don’t Forget
02. Digitalism – Zdarlight (Fedde Le Grand & Deniz Koyu Remix)
03. N2O, Nitrous Oxide – K.O.
04. Inner Life – Ain’t No Mountain High Enough (WhiteNoize Remix)
05. Toru S., Sli & Secs – Killing Pianoo
06. Flippers, StereoTalk – Dance in My Line (Matan Caspi Remix)
07. Toris Badic – Can You Dance To My Beat
08. DJ Falk – Been A Long Time (Federico Scavo Remix)
09. Todd Terry – Jumpin (Iban Reus Remix)
10. YMKT – Hooooooo!!! (Dj Yummy Edit)
11. Funkin Matt – Jaguar
12. Dj Yummy & Kan Takahiko – Godfest
13. galaxias! – future (DJ YUMMY & KAN TAKAHIKO remix)
14. De Leon, Gum Me – Kingsize
15. Eden, Whelan & Di Scala – Open Up Your Heart feat. Eden (Instrumental)
16. Dinka – Polarity (Feri & Multi Remix)
17. Booty Bronx & Ken Oshima – Do it
18. NERVO, Hook N Sling – Reason
19. Protoculture – Liquid Logic (Nhato Remix)
【オフィシャルサイト】
http://djyummy.net/