Dornik、デビュー・アルバム『Dornik』インタビュー

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英クロイドン出身でロンドン在住のシンガー・ソングライター/ミュージシャン/プロデューサー、Dornik(ドーニク)。ジェシー・ウェアのツアーにドラマーとして参加したことがきっかけで、彼女やディスクロージャー、ジェイ・ポール、ジュリオ・バッシュモアらが所属するレーベル、PMR Recordsと契約を果たし、2013年に「Something About You」でデビューした新鋭アーティストです。

Dornikは、その後シングル「Second Thoughts」や「On My Mind」などを発表し、’80年代のソウル~R&Bを彷彿とさせるそのシルキーでメロウなサウンド、歌声でじわじわと評価を獲得。そして、今年ついにデビュー・アルバム『Dornik』をリリースしました。ミゲルやアリシア・キーズとの仕事で知られるヒットメイカー、ポップ・ワンゼルとの共作曲を含む本作は、「Drive」や「Strong」を筆頭に、昨今のオルタナティヴ~インディーR&B系アーティスト勢の音楽性とリンクした、スタイリッシュな楽曲が詰った注目作となっています。

そんなDornikが、先日開催された<Hostess Club Weekender>で初来日を果たしました。ここでは、彼のアルバム『Dornik』と彼の音楽性について語ったインタビューをご紹介しましょう。


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Dornik、デビュー・アルバム『Dornik』インタビュー

__まずは、あなたが音楽好きになったきっかけについて教えてください。

どうして音楽が好きになったか、というと、常に周りにあったんだよね。両親が大の音楽好きで、父親はDJをやっていたことがあるし、従兄弟にはミュージシャンが何人かいる。だから常に周りにあって、血に流れているっていうか…フフフ。

__音楽活動をはじめたきっかけや理由は何でしたか?

う~ん、子供の頃からやりたいのはそれだった。5才ぐらいの頃からいつもモノを叩いたり、楽器を目にすればプレイしてみたいと思ったし…うん、だから、その年齢からなんだろうな、僕の中にはずっとそれがあって、それがやりたいことで、大きくなるにつれて、もっとやりたくなって…。

__お父さんたちを感心させたくて?

そうだね、僕って、うるさい子供だったと思うよ(笑)。いつも音を立てていたからね、そこらにあるモノとか、キーボードがあれば弾いてみたり。

__あなたのつくり出す楽曲は、新鮮かつどこかノスタルジックなものばかりですよね。

クール!

__どのような音楽やアーティストに影響や刺激を受けたり、リスペクトを抱きながら、あなたは現在のスタイルを確立していったのでしょうか?

偉人たちだよ。マイケル・ジャクソン、プリンス、ジェームス・ブラウン、スティーヴィー・ワンダー、ディアンジェロ、新しいアーティストではジ・インターネット…いっぱいいるよ。ジャングルもそう。素晴らしいアーティストがいっぱいいるから…自分ではうまく説明できないんだ、どうやっているのか。なんかこう、出てくるっていうか(笑)、そうなるっていうか。でも、間違いないのは、そういう音楽を聴いて育ったっていうことと、その組み合わせなんだろうっていうこと。ね? それで自然とこうなる。

__いま挙げてくれたような音楽は、学校の友達も聴いてたんですか?

いや、あんまり…。

__周りのみんなは、どういう音楽を聴いてましたか?

当時流行ってた音楽、なんじゃない? 僕は好きじゃなくて…まあ、ヒップホップは好きだけど、ポップってことで言うと、僕の子供時代は…学校時代のポップ・ミュージックは好きになれないのが多かったよ。大学時代は、僕もネプチューンズは好きで、彼らはグレイトだったし、いい感じだったけど、聴かずにいた音楽もたくさんあったな。2000年代の初めはスゴイのがいろいろ出てきて、あの人たちは今だにそうだよね。ファレルなんか天才だし。でも僕は、一方で古い音楽をしきりに聴いてたんだよ。80年代のとか、70年代のとか、90年代のとかを。

__音楽の好みが合う友達はいたんですか?

何人か友達もいたけど、どっちかというと家族の方が多かったかも。従兄弟とはよく一緒に聴いてたよ。友達だと2人くらい同じような趣味の人がいて、だから良さをわかってくれる友達はいたんだけど…。そういえば(笑)、このまえ友達とチャットしてたら、そいつも僕と似ていて古いのをよく聴いてるヤツなんで、仲間内で好きな曲の話をしていて、スティーヴィー・ワンダーの名前を出すと“なんでそんなの出してくるんだよ”って言われて、“でも好きなんだもん”って抵抗したっけな、ってさ。だから僕らは、そういうのは個人的に聴くようにしてたんだ。

__個人的に、ですか(笑)。

うん、クールじゃないってことで…。でもさ、もっと遡ればそういうのがクールだったわけじゃん? だから僕らはよく言ってたんだよ、“あ~あ、もっと早く生まれたかったな”って。僕らは生まれる時代を間違ったんだ(笑)。

__インターネット時代に育ったあなた達にとっては、昔の音楽を聴くのは簡単なことでもありますよね。

そう、楽勝! それがインターネットのいいところだよ。でも僕らは、まだそういう音楽がクラブで流れるのを聴くこともできたからよかったんだよ。今はもう、フツ―のクラブじゃそんなのかからないからね。

__あなたはその後ジェシー・ウェアと出会って、ツアーにドラマーとして参加していた時にデモを聴いてもらって、PMRレーベルのファミリーに入れることになったそうですね。そのデモは、あなたが彼女に聴かせたんですか? それとも送ったんですか?

e-mailで送ったんだ、彼女に頼まれたから。“ドラムを叩く以外に何かやっているの?”って彼女に聞かれて、“音をつくっている”って答えたら、“聴かせて”って言われたんだよね。

__気軽に送ったんですか? それとも、聴かせるには勇気がいりましたか?

いや、その夜のうちに送っちゃったよ(笑)。ハードドライヴに入れてあったヤツを、聴きたいっていうなら何でもいいから送ってやろう…って感じで。まあ頭の中では、僕がプロデュースしてるって言ったら聴きたいって言ってくれたんだから、“彼女といつか一緒に仕事ができるかも”とは思ったよ、たしかに。彼女の曲のプロデュースをするなり、曲を提供するなり、ね。なんで、とりあえず自分がやっていることのサンプルとして、彼女に何か送ってみようって感じだった。そうしたら、彼女が“このシンガー誰? 誰が歌ってるの? すごいじゃない”と言うから、“あ、僕だよ”って答えたら、“あなた、自分で何かやるべきよ”って(笑)。

__それが、あなたに必要だった最後のひと押しだったのかもしれませんね。

「うん、うん。彼女はその後、ライヴで僕に一緒に歌わせたりして…もちろんビビったけどさ、彼女にノーとは言えないもんね(笑)。彼女がボスなんだから。やるしかない」

__で、うまくいきましたか?

うん、よかったよ。やってよかったと思ってる。すごく感謝してる。刺激になったし、立ち止まらずにやり続け、上達していこう、っていう励みになった。

__そのライヴというのは、基本はドラムをプレイしていて、歌う時だけ前に出て行ったんですか?

そう、一緒に歌う曲が二つあって、一つは「Imagine It Was Us」っていう彼女のアルバム『Devotion』(2012年)のデラックス版に入っている曲だね。アルバムでは僕があの曲のバック・ボーカルをやったんだけど、彼女が歌って僕が後ろで歌うって形で、僕はドラムをプレイしながら歌ってたよ。で、彼女が一緒に歌ってくれと頼んできた二つ目の曲は、前に出てきてドラムパッドを叩きながら歌うよう言われた。「Valentine」っていう、サムファ(Sampha)と彼女がデュエットした曲なんだけど、当然ながらサムファは自分の仕事で忙しくて来られないってことで、僕に一緒に歌ってって頼まれたんだ」

__アーティストとして、仲間にそういうチャンスを与えられるのは素晴らしいことですね。

うん、彼女は本当に優しい人だよ。

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__それではアルバム『Dornik』について教えてください。今作について、あなたは“サマー・アルバムなんだ、晴れた日のドライブで聴くための”とのコメントを出していますね。

うん、うん。

__アルバムを制作するにあたって何かテーマやコンセプトは考えていたのでしょうか? それとも、完成したアルバムを聴いた印象がそういうものだったのですか?

後づけだね。アルバムが完成してから思ったことだよ。多くの曲にそんなフィーリングがある、ということに気が付いたんだ。まあ、だからアルバムにまとめたんだろうけどね。しっくりきたというか、一体感があったというか。あらためて聴いてみた時に、“あぁ、こういう感じか”って思って、そういう結論を出したんだ。

__アルバムの曲は、基本的にはすべてあなた自身で手がけたものなんですよね?

そうだよ。ただ、うち三曲は共作だけどね、ポップ(アンドリュー・ポップ・ワンゼル:Andrew “Pop” Wansel)との。でも、大半は僕が自分でやった。

__どのようなアイディアや着想で曲づくりを始めて、どのような手順や方法で曲づくりを進めていくことが多いんですか?

決まった方法はないし、その方法に正解も間違いもないよ。何でもあり。自分を自由にしてやることで生まれて来るものがあるんだ。ドラムが先に出てくればそれでいいし、メロディーやキーボードが先に出てくればそれもアリ。いわゆるルーティンに従うってことはなくて、なるようになるって感じさ。まあ、おおよそはドラムが先ってことになるんだろうけど、場合によっては…曲によってはそうじゃないし。

__歌詞から書くこともあるんですか?

いや、それはない。このアルバムではなかった。思うんだけど…2枚目のアルバムはもっとそうなるかもしれない。というのも…まあ、僕はあくまでミュージシャンで、音楽が大事なのは変わらないんだけど、今はソングライターとしても成長した気がしてるから、歌詞から書くってことがあっても自分では驚かないと思う。実際、リリックをノートに書き留めたりしてるから。それって僕にとっては新しいことなんで、自分でも楽しみだよ。ソングライターとしての成長が見られるんじゃないかって。ミュージシャンとしてもまだまだ成長過程だけどさ。常に勉強だよ。

__で、今回のアルバムは、基本的には自分のベッドルームでつくったものなんですよね?

うん、ほとんどそうだよ。

__2枚目のアルバムも、その予定ですか?

アハハ、まさか! 今度はスタジオさ。スタジオのスペースがあるから、そこでやった方がいいと思う(笑)。夜中に親や近所に迷惑をかけなくてすむしね。でも、ウチの近所の人は、一度だって文句を言ってきたことがないんだよ。両親もそう。文句を言われたことがない。ちょっと音量を下げろって頼んでくることはあったけど、でもそれは夜中過ぎのことだからしょうがないよね。みんなすごく好意的で…でも、スタジオに隔離された方が快適だよ。デモをつくっていた頃なんか、歌を誰にも聴かれたくなくてコッソリ歌入れしたりしてたから(笑)。みんなが留守になるのを待って歌ったりして。で、誰かが帰ってきちゃうと、せっかくその気になって歌ってたのに腰を折られちゃったりして。

__トラックを作る時、表現したい雰囲気を自分の周りに創り出してみたりしますか? 例えば、色をイメージしながらつくる、という人もいたりしますが。

ああ、イメージに触発されるというのはたしかにあるね。環境も、僕には重要さ。傾向として、レコーディングの時は灯りは暗めにする場合もある。その時の気分次第だけど。自分の気持ちが落ち着けば、何でもいいんだ。気持ち良くやれるように必要なことをする、という感じかな。周囲のこともそうだし…うん、アートには様々なイメージなどが果たす役割って必ずあるよね。

__アルバムの各曲についてもいくつかご紹介ください。リード・シングルの「Drive」は、どのようにして誕生した曲でしたか?

ポップ・ワンゼルが…あ、僕は彼と曲づくりをするためにフィラデルフィアに飛んだんだけど、そこで一緒に思いついたのがこの曲だった。あと「Standing In Your Line」と「Chain Smoke」も。もう帰国するという最後の日、一番最後の日に彼が「Drive」のインストを出してきて、“こういうインストを創ったんだが、キミ欲しい?”って言うから、聴いてみて“はい、もちろん!”ってことで持ち帰ってきたんだよね。で、メロディーのアイディアが浮かんできて、スタジオに入って、それででき上がったんだ(笑)。

__話を聞くと簡単にできてしまったような印象がしますね。

うん。でも、そんな感じ。音楽に導かれるにまかせてという…この曲はそうだったし、僕はいつもそうだから。自分が音楽に導かれていく、という感じ。あのインストはチルな感じで、車を走らせたくなるような雰囲気があった。僕が「Drive」で伝えたかったメッセージも、ほとんどそのまんま。歌なりインストなりを聴いて、その場で惚れ込んで、もっと聴きたくなるっていう、その感じが伝わればいいんだ。そうやってできた曲だから。

__初めて会ったポップ・ワンゼルは、どんな人でしたか?

ラヴリーな人だよ。本当に優しい人。そっこうでウマが合って、考え方も同じだし…僕は彼の作品の大ファンだったから、きっと気が合うに違いないと思っていたけど、彼も同じことを言ってくれた。僕らはその…周波数が同じというか、考え方がすごく似ていたから、一緒に仕事をさせてもらって最高だった。フィラデルフィアの町もまた最高で、すごく気に入ったよ。チーズステーキも最高だったし、毎日食べちゃった(笑)。滞在中、ずっと。

__デビュー曲の「Something About You」は、どのようにして誕生した曲でしたか?

ベッドルームで、その日はトラックをつくるつもりもないままキーボードをいじっていて、そいしたらああいうコードとメロディーが出てきたんで、“あ、何かできそう…”って感じでアイディアを記録しておいて、それを元に曲を書いたんだ。

__昨年のシングル「Second Thoughts」についてもご紹介いただけますか?

う~ん、あれもやっぱりラヴストーリー、というか別れ話…いや、違うか…うん、いわゆる別れの歌だと僕は思ってるよ。まあ、よくあることだよね。恋に落ちて、恋に破れて、過ちを犯し…みたいな。そういうこと。「Second Thought」はそういう歌だ。

__実体験ですか?

え? あ、違う、違う! あれはフィクションだよ(笑)。でも、みんな共感するところはあるんじゃないかな。かなりムーディだよね。

__では最後に、あなたの今後の活動目標やヴィジョンについて教えてください。

日本の後は、地元で何本かショウがあって、あとマドリッドで一本やるんだ。それで終わり。それで一段落して、スタジオに戻って曲を書く。待ちきれないよ! 書きたいことが山ほどあるから。今はプレイリスト的なものをまとめているところさ。インストの状態だけど、メロディーを乗せたりし始めてる。でも、まだ本腰は入れてないから、楽しみなんだよ。

__他にプロジェクトの予定は何かありますか?

僕は極めてオープンに構えてるから、今は特に予定はないけど、他の人に曲を提供したりプロデュースしたりもしたいと思ってるよ。

質問:iLOUD
通訳:染谷和美


【リリース情報】

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Dornik
Dornik
(JPN) Hostess / HSU-19158
発売中
iTunes / Tower / HMV

tracklist
01. Strong

02. Blush

03. Stand In Your Line

04. Shadow

05. Second Thoughts

06. Mountain

07. Chainsmoke

08. Something About You

09. Drive

10. On My Mind
11. Rebound *
12. Drive (BadBadNotGood Remix) *
13. Stand In Your Line (Jungle’s Edit) *
14. Drive (Kito Remix) *
* JAPAN BONUS TRACKS



【オフィシャルサイト】
http://dornikmusic.com/
http://hostess.co.jp/

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